フタルイミド(読み)ふたるいみど(英語表記)phthalimide

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フタルイミド」の意味・わかりやすい解説

フタルイミド
ふたるいみど
phthalimide

フタル酸イミド誘導体。フタル酸アミドやフタル酸アンモニウムを加熱すると、環化反応がおこってイミドとなる。無色結晶昇華性がある。水には溶けにくいが、熱エタノール(エチルアルコール)には溶ける。弱い酸性があり、アルカリ性水溶液には塩の形となってよく溶ける。カリウム塩のフタルイミドカリウムは、ハロゲン化アルキルを作用させるとN-アルキル誘導体となり、その加水分解でアルキルアミンとフタル酸になるので、アミンの合成試薬としてよく用いられる。

[務台 潔]


フタルイミド(データノート)
ふたるいみどでーたのーと

フタルイミド

 分子式 C8H5NO2
 分子量 147.1
 融点  238℃
 沸点  (昇華)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フタルイミド」の意味・わかりやすい解説

フタルイミド
phthalimide

フタル酸のイミド。化学式 C6H4(CO)2NH 。昇華性のある結晶。融点 238℃。冷水に微溶,熱エチルアルコールに可溶。イミド基の水素原子はエチルアルコール中で水酸化カリウムと反応して置換され,フタルイミドカリウムを生成する。これにハロゲン化アルキルを作用させると生成する N -アルキルフタルイミドを加水分解して,第一アミンを合成することができる (ガブリエル合成) 。

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