アルゴリス(その他表記)Argolís

改訂新版 世界大百科事典 「アルゴリス」の意味・わかりやすい解説

アルゴリス
Argolís

ギリシア本土の南部,ペロポネソス半島北東部に位置し,東西はサロニコス湾とアルカディア山地に,また南北はアルゴリコス湾とコリントス地方とに挟まれた,半島状の地方。現在は1県をなし,県都はナフプリオンNávplion(古名ナウプリア)。古代ギリシア史の最古期にあたるミュケナイ時代には,政治・文化の先進地帯として栄えた。ミュケナイティリュンスの王城址は,それを示す代表的な遺跡である。ミュケナイ時代終焉ののち,この地方にはドリス人の支配する都市国家が多数成立したが,それらのなかでもっとも有力だったのがアルゴスArgosで,このポリスは,以後,南方の強国スパルタと敵対しつつ,ペロポネソス半島の一方の雄たるの地位を占めつづけた。前5世紀には,ミュケナイ,ティリュンス,ナウプリア,アシネなどアルゴス平野の諸市がアルゴスに併合されている。アルゴスの力のおよばないこの地方の東部には,エピダウロス,ヘルミオネ,トロイゼンなどの諸市があったが,なかでもエピダウロスは,医学の神アスクレピオスの神域と野外円形劇場の遺跡によって名高い。アルゴリス北部の都市クレオナイの領域内に含まれるネメアNemeaも,ゼウス神殿とその祭典に伴って催される体育競技とによって,古代ギリシア人の間で宗教上の一中心地としての役割を果たした。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルゴリス」の意味・わかりやすい解説

アルゴリス
あるごりす
Argolis

古代ギリシアにおけるペロポネソス半島北東部の地域。アルゴス、ミケーネティリンス、エピダウロス、トロイゼンなどを含んだ。ミケーネ文明の繁栄する中心地となり、紀元前1100年ごろからドーリア人侵入、支配し、ポリス(都市国家)のアルゴスがもっとも有力になったが、アルゴリス全域のアルゴス領化には至らなかった。

 今日のアルゴリスはギリシア南部の県で、面積2214平方キロメートル、人口9万3020(1981)。県都ナフプリオンNávplionは人口1万0609(1981)。農業地帯で、オリーブブドウ綿花、タバコなどを産する。

[清永昭次]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルゴリス」の意味・わかりやすい解説

アルゴリス
Argolis

ペロポネソス半島東部に位置した古代ギリシアの一地方。現在のアルゴス平原と東部山岳地帯のアクテ半島から成っている。ミケーネ,チリンスの遺跡により,ギリシア最古期の先進地域であったことが知られる。ドーリス人侵入後はアルゴスがほとんど全域を統一支配した。

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