ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンタル」の意味・わかりやすい解説
アンタル
Antall József
[没]1993.12.12. ブダペスト
ハンガリーの政治家。首相(在任 1990~93)。大学卒業後ブダペストで教職についた。1956年のハンガリー動乱で市民の蜂起に参加し,教職と出版活動を禁じられた。1963年出版活動の禁止が解かれたのち数百件の研究書や記事を発表した。国内に民主主義団体が復活した 1980年代末,まず有力非共産主義政党の小地主党に接触し,次いで新党の民主フォーラム MDFに参加した。まもなく MDFは政界で社会主義労働者党に次ぐ影響力を得た。ハンガリー民主化を協議する円卓会議で MDF代表団を率い,1989年10月 MDF党首に選出。西ヨーロッパ諸国の例にならって中道右派政党へと MDFの路線転換をはかった。自由選挙となった 1990年の選挙で MDFが勝利すると,小地主党とキリスト教民主国民党との連立内閣の首相に就任。ハンガリー独自の特色を尊重して活用する民主国家の創造を目指した。政治的安定に加え,共産制時代にとだえた歴史的継続性の復活,在外ハンガリー人との関係改善,および党の結束に特に尽力した。1990年ヨーロッパ統合推進の努力を評価されてロベール・シューマン賞を受賞。1993年,在任中に死亡した。
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