ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンチオコス4世」の意味・わかりやすい解説
アンチオコス4世
アンチオコスよんせい
Antiochos IV Epiphanēs
[没]前163
セレウコス朝シリアの王 (在位前 175~163) 。アンチオコス3世の第3王子で,顕現神王 (エピファネス) と呼ばれる。父王がローマと戦って敗れたため,ローマで 14年間人質として生活し,兄セレウコス4世が,ヘリオドロスに暗殺されると,暗殺者を倒してみずから即位。父王の征服地をめぐってプトレマイオス朝エジプトと対立,前 169年エジプトに侵入,ナイル川流域を征服,翌年再度エジプトに侵入してアレクサンドリアを征服したが,同年6月マケドニアを破って勢いに乗ったローマの介入するところとなり,エジプトからの撤退を余儀なくされた。ギリシア・ローマ文化に心酔し,ヘレニズム文化による帝国統一を夢み,ギリシアの文化と宗教を拒むユダヤ教を迫害してマカベアの乱を引起し,ユダヤにハスモン朝を生み出すとともに,今日のシオニズムと 20世紀のイスラエル建国に強い影響を及ぼす結果となった。晩年バクトリア,パルティアを回復すべく東方遠征を企てたが,前 164年陣中で急死。以後セレウコス朝は衰退した。
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