くわしい数値に対して、それに近くて、ある位から下には端下(はした)のついてないおおよその数をいう。高校入学者数は、1979年(昭和54)には154万1753人で、80年には162万8069人であるが、これらを10万の位までの概数でいえば、それぞれ150万、160万となる。このように概数をとることを、端下を「丸める」ともいうが、その方法には「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」の三つがある。切り捨ては、ある位より下の端下を0とみなす方法で、万未満(1万より小さい数ということであるが、1万は含めない)の端下を切り捨てれば、前記の数値はそれぞれ154万、162万となる。切り上げは、ある位より下の端下をその位の1とみなす方法で、万未満の端下を切り上げれば、前記の数値は、それぞれ155万、163万となる。四捨五入は、ある位の次の位の数が5以上(5または5より大きい)のときは切り上げ、4以下(4または4より小さい、すなわち5未満)のときは切り捨てる方法で、前記の数値の万未満を四捨五入すれば、それぞれ154万、163万となる(「以上」と「未満」は一方が他方の否定になっている。「以下」の否定を示す語として「を超え」という語が使われることもある)。入学者数の年間の変化は
163-154=9, 9÷154=0.06
と概数を用いた計算で、9万人の増であり、率で6%となることがわかる。概数を用いた計算を概算というが、概数、概算は大局的に考えたり話したりするうえで有効である。
[島田 茂]
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