日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンデス造山帯」の意味・わかりやすい解説
アンデス造山帯
あんですぞうざんたい
現在のアンデス山脈に沿う造山帯で、中生代から現在まで活動的である。南アメリカ大陸の西縁にあって、その西側でナスカプレートなどが沈み込んでいる。アンデス造山帯は、弧状列島を伴わないコルディエラ型造山帯の代表例である。地質や地史の特徴に基づいて、エクアドルから北側の北部アンデス、チリ南端部の南部アンデス、そして残りの大部分の中部アンデスに三分される。典型的な中部アンデスでは、西側にペルー・チリ海溝をもち、プレート境界型地震が活発であり、中央部には活動的な火山活動がみられる。中生代白亜紀を中心とした大規模な花崗(かこう)岩類の貫入が知られている。
現在ある高い山脈は新生代新第三紀鮮新世から第四紀にかけて形成されたと考えられている。山脈の東部では活動的な衝上(しょうじょう)断層帯が存在し、古生代から新生代までの地層が切られて重なり合い、地殻の厚化に貢献している。また、古生代に複数の変動があったことも知られており、先カンブリア時代の基盤岩類も分布するところがあるなど、アンデス造山帯は複雑な変動史をもっている。
[村田明広]