環太平洋造山帯(読み)かんたいへいようぞうざんたい(その他表記)circum-Pacific orogenic belt

精選版 日本国語大辞典 「環太平洋造山帯」の意味・読み・例文・類語

かんたいへいよう‐ぞうざんたいクヮンタイヘイヤウザウザンタイ【環太平洋造山帯】

  1. 古生代から現在まで、繰り返し造山運動を行なっている環太平洋地帯世界最大の造山帯で、顕著な褶曲(しゅうきょく)山脈を含む。現在でも地震、火山活動海溝重力異常などを伴う。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「環太平洋造山帯」の意味・わかりやすい解説

環太平洋造山帯
かんたいへいようぞうざんたい
circum-Pacific orogenic belt

太平洋を取り囲むように,アジアオーストラリア北アメリカ南アメリカの太平洋岸および太平洋の深海の間に延びる新期造山帯。その大地形的性質は東側(南北アメリカ大陸)と西側(カムチャツカ半島からニュージーランド)では異なる。東側はアメリカ合衆国アラスカの太平洋岸からカナダ,アメリカ,メキシコにかけてのコルディエラ山系,さらに西インド諸島を経て南アメリカのアンデス山脈に続き,南極大陸グレアムランドに達する。ここでは大陸の西側を縁どって大陸の一部を構成している。西側はアラスカ半島突端からアリューシャン列島,カムチャツカ半島,千島列島,さらに日本列島南西に延びる。そこから一方では南下する伊豆諸島小笠原諸島マリアナ諸島ヤップ島パラオ諸島弧状列島となり,もう一方の日本列島,南西諸島フィリピンなどの弧状列島とともにマリアナ海溝をいだいている。さらにマルク諸島から東に方向を転じてニューギニア島を形成し,ソロモン諸島バヌアツからニュージーランドに達する。西側の造山帯ではカムチャツカ半島を除けば,すべて大陸から東方へ離れて連なる弧状列島で,大陸との間に縁海をいだく。造山運動が頻発し,世界の大地震のほとんどがこの地域で起こり,火山活動も活発。地形は急峻な山地が弧状に連なり,平野は狭い。その海洋側には海溝が発達しており,そのなかには 1万mをこす海淵もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「環太平洋造山帯」の意味・わかりやすい解説

環太平洋造山帯
かんたいへいようぞうざんたい

太平洋を取り巻くアリューシャン列島、日本列島、フィリピン、ニューギニア、トンガなどの弧状列島および北米西部の山脈群、南米アンデス山脈など大陸縁のコルディエラ型山系などを形づくる造山帯。これらの列島や山脈、山系には、活発な地震・火山活動がみられる。また、新生代古第三紀以降の若い時代に激しい地殻変動もあった。プレートテクトニクスによれば、こうした現象は、太平洋に存在する太平洋プレート、フィリピン海プレート、ナスカプレート、ココスプレート、フアン・デ・フカプレートなどの海洋プレートが、それぞれの山脈や列島のある大陸プレートの下に沈み込んでいることが原因とされている。現在活動中の造山帯といえる。

[岩松 暉・村田明広]

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百科事典マイペディア 「環太平洋造山帯」の意味・わかりやすい解説

環太平洋造山帯【かんたいへいようぞうざんたい】

太平洋を取り巻く新期造山帯。プレート境界をなす海溝周辺などを中心に造山運動が盛んで,これに伴う地震・火山活動も激しく,環太平洋地震帯環太平洋火山帯とも分布が一致する。アリューシャン・千島・日本・インドネシア・ニューギニアなど,海溝へ沿うように形成される島弧が多数認められるのも特徴の一つ。
→関連項目南極大陸南極半島

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