アントワープ・オリンピック競技大会(読み)アントワープ・オリンピックきょうぎたいかい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

アントワープ・オリンピック競技大会
アントワープ・オリンピックきょうぎたいかい

ベルギーアントウェルペンアントワープ)を開催都市として行なわれた第7回オリンピック競技大会。1920年4月20日から 9月12日まで開催され,29ヵ国から 2600人以上(女子選手 60人以上含む)の選手が参加した。予定されていた第6回ベルリン大会が第1次世界大戦のため中止となったのち,戦後を迎え世界がより強く平和を願うなか,第7回オリンピックの会場には戦禍の大きかったベルギーの復興を願ってアントウェルペンが選ばれた。敗戦国のドイツ,オーストリアハンガリーブルガリアおよびトルコは招待されず,新興国ソビエト連邦も不参加となった。アントウェルペンの町には,ピエール・ド・クーベルタンの友人で神父のアンリ・ディドンが考案したモットー「より速く,より高く,より強く」が掲げられた。大会史上初めて選手宣誓が取り入れられ,オリンピック旗が掲揚された。国別ではアメリカ合衆国が最多の 41個の金メダルを獲得したが,フィンランド選手の活躍も目立ち,金メダル 15個を獲得した。なかでも長距離ランナーのパーボ・ヌルミは,1万m,1万mクロスカントリー,クロスカントリー団体戦の 3種目で優勝した。オリンピックへの 2度目の参加となる日本からは 15人の選手が送り込まれ,テニスのシングルス熊谷一弥,ダブルスで熊谷・柏尾誠一郎組がともに初のメダルとなる銀メダルを獲得した。

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