山川 世界史小辞典 改訂新版 「イェニセイ碑文」の解説
イェニセイ碑文(イェニセイひぶん)
Yenisei/Enisei
イェニセイ川上流域を中心として発見された,突厥(とっけつ)文字で書かれた古代トルコ語碑文の総称。150片以上あり,5~9世紀にこの地方にいたクルクズ(クルグズ)民族の封建諸侯の墓碑銘が多いとされる。死者が自分の口で,親族・財産などから別れる悲しみや自己の生前の功績をうたった,自分に対する挽歌(ばんか)の形式をとっている。断片が多く,解読には困難を伴うが,オルホン碑文とともに,古代トルコ族の言語,社会,文化を研究するのに重要な資料である。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報