オルホン碑文(読み)オルホンヒブン(その他表記)Orkhon inscriptions

デジタル大辞泉 「オルホン碑文」の意味・読み・例文・類語

オルホン‐ひぶん【オルホン碑文】

モンゴルのオルホン(Orkhon)河畔で発見された古代トルコ語の碑文。732年と735年に建立した墓碑突厥とっけつ文字漢字で刻まれており、突厥文字解読のかぎとなった。現存する最古のトルコ語資料。オルコン碑文。

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精選版 日本国語大辞典 「オルホン碑文」の意味・読み・例文・類語

オルホン‐ひぶん【オルホン碑文】

  1. ( オルホンはOrkhon ) 外蒙古のオルホン川流域で発見された古代トルコ語の碑文。八世紀の突厥(とっけつ)復興期のビルゲカガン(毗伽可汗)と、その弟キュルテギン(闕特勤)の功績を記念したもの。トラ河畔のトンユクク碑文などを含める場合もある。最古のトルコ語文献とされる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オルホン碑文」の意味・わかりやすい解説

オルホン碑文
オルホンひぶん
Orkhon inscriptions

バイカル湖南のオルホン川流域で 1889年に発見された碑文。732年と 735年の日付をもつ二つの石碑は,エニセイ碑文とともに 1893年9月25日デンマークの V.トムセンにより解読され,現在知りうる最古のトルコ語で書かれたものであり,先のものが皇太子キョル・テギン(闕特勤),あとのものが君主ビルゲ・カガン(毗伽可汗)の記念碑であることが判明した。このほかトラ河畔のトニュクク碑文,オンギン河畔のオンギン碑文,イヘ・ホショトゥ河畔のイヘ・ホショトゥ碑文などもオルホン碑文と総称される。これにより 8世紀のトルコ語(突厥語,オルホン・トルコ語ともいう)の様子がかなり明らかになり,チュルク祖語にあったと推定される /ç/ や,語頭の /b/ を保存していることなどが判明した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルホン碑文」の意味・わかりやすい解説

オルホン碑文
おるほんひぶん

外モンゴルのオルホンOrkhon川流域で発見された古代トルコ語碑文。復興期の東突厥(とっけつ)(突厥第二帝国)のビルゲ・ハガンと、その弟キョル・テギンとの紀功碑で、それぞれ735年、732年(ともに没後)に建てられた。このほか、この2人を助けた重臣トニュククがその生存中に建てた自分の紀功碑がトーラ川流域で発見され、また同様な古代トルコ語碑文がオンギン川流域そのほかから発見されているが、これらもオルホン碑文と総称される。いずれも突厥文字で記され、1893年にデンマークのトムセンが解読の鍵(かぎ)をみつけた。古代トルコ人が初めて自らの文字で記した碑文で、歴史学言語学研究に重要な資料である。

[護 雅夫]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「オルホン碑文」の解説

オルホン碑文(オルホンひぶん)
Orkhon

外モンゴルのオルホン河畔で発見された突厥(とっけつ)文字で書かれたトルコ語碑文。東突厥の君主ビルゲ・カガンとその弟のキョル・テギンの紀功碑で,それぞれ735年,732年に建てられた。このほか,ビルゲ・カガン時代前半期までの宰相トゥニュクク碑文(トゥラ川上流)をはじめ,突厥文字のトルコ語碑文はいくつかあるが,これらをオルホン碑文と総称することもある。現存するトルコ語最古の資料。

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旺文社世界史事典 三訂版 「オルホン碑文」の解説

オルホン碑文
オルホンひぶん

モンゴルのオルホン川流域で発見された東突厥 (とつけつ) の碑文
732年と735年にキュル=テギンとその兄のビルゲ=カガンのために建てられた。北方遊牧民最古の突厥文字と漢文で書かれ,歴史学・言語学の研究に貴重な史料を提供している。1889年に発見され,その後デンマークのトムセンによって初めて解読された。

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改訂新版 世界大百科事典 「オルホン碑文」の意味・わかりやすい解説

オルホン碑文 (オルホンひぶん)

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世界大百科事典(旧版)内のオルホン碑文の言及

【突厥碑文】より

…突厥文字で刻まれた碑文はほかにも,ウイグル帝国時代のものや,エニセイ川上流で発見された小さな碑文群があるが,これらをも突厥碑文ということがある。エニセイ川の碑文は一般にはエニセイ碑文と呼ばれ,先のビルゲ・ハガン碑文などに与えられたオルホン碑文という別名と区別される。しかしエニセイ碑文の碑面の作成年代に関しては,これをオルホン碑文より古いとする説と新しいとする説の2通りがある。…

※「オルホン碑文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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