オルホン碑文(読み)オルホンひぶん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オルホン碑文」の意味・わかりやすい解説

オルホン碑文
オルホンひぶん
Orkhon inscriptions

バイカル湖南のオルホン川流域で 1889年に発見された碑文。732年と 735年の日付をもつ二つの石碑は,エニセイ碑文とともに 1893年9月25日デンマークの V.トムセンにより解読され,現在知りうる最古のトルコ語で書かれたものであり,先のものが皇太子キョル・テギン(闕特勤),あとのものが君主ビルゲ・カガン(毗伽可汗)の記念碑であることが判明した。このほかトラ河畔のトニュクク碑文,オンギン河畔のオンギン碑文,イヘ・ホショトゥ河畔のイヘ・ホショトゥ碑文などもオルホン碑文と総称される。これにより 8世紀のトルコ語(突厥語,オルホン・トルコ語ともいう)の様子がかなり明らかになり,チュルク祖語にあったと推定される /ç/ や,語頭の /b/ を保存していることなどが判明した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルホン碑文」の意味・わかりやすい解説

オルホン碑文
おるほんひぶん

外モンゴルのオルホンOrkhon川流域で発見された古代トルコ語碑文。復興期の東突厥(とっけつ)(突厥第二帝国)のビルゲ・ハガンと、その弟キョル・テギンとの紀功碑で、それぞれ735年、732年(ともに没後)に建てられた。このほか、この2人を助けた重臣トニュククがその生存中に建てた自分の紀功碑がトーラ川流域で発見され、また同様な古代トルコ語碑文がオンギン川流域そのほかから発見されているが、これらもオルホン碑文と総称される。いずれも突厥文字で記され、1893年にデンマークのトムセンが解読の鍵(かぎ)をみつけた。古代トルコ人が初めて自らの文字で記した碑文で、歴史学、言語学の研究に重要な資料である。

[護 雅夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android