イギリス‐ペルシア戦争

山川 世界史小辞典 改訂新版 「イギリス‐ペルシア戦争」の解説

イギリス‐ペルシア戦争(イギリス‐ペルシアせんそう)

19世紀中期,アフガニスタン西部の都市ヘラートをめぐって起こった2回の戦争。(1)インド植民地を抱えるイギリスは,19世紀初頭以来ロシア南下政策を警戒し,アフガニスタンを緩衝地帯にする政策をとった。失地ヘラートの奪回を図るペルシアは,ロシアの支持を得て1837年これを包囲攻撃したため,イギリスは翌年ペルシア湾ハールグ島を占領して,ペルシア軍の攻撃を中止させた。53年,両国条約を結んでヘラートへの不干渉を約した。(2)1856年,ペルシア軍が再度出兵したため,イギリスは再びペルシア湾を攻撃した。翌年,パリ講和条約が締結され,ペルシアが最終的にヘラートを断念することで合意した。その結果,ペルシアはアフガニスタンの独立を承認することになった。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イギリス‐ペルシア戦争」の意味・わかりやすい解説

イギリス・ペルシア戦争
いぎりすぺるしあせんそう

1856~1857年にアフガニスタンをめぐって戦われた戦争。17世紀以来東インド会社を通じてインドを植民地としてきたイギリスは、ロシアの南下政策に対してアフガニスタンを緩衝地帯化しようとしたが、かつて同国を併合していたペルシア(現、イラン)の失地回復計画と衝突、1856年開戦となった。翌1857年3月イギリスの勝利に終わり、パリにおける講和条約で、ペルシアはアフガニスタンの独立を認め、同国との紛争発生に際しては、イギリスの調停にゆだねることを約した。

[石井摩耶子]

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