イナオ(その他表記)Inao

改訂新版 世界大百科事典 「イナオ」の意味・わかりやすい解説

イナオ
Inao

タイ古典文学,舞踊歌唱劇の傑作アユタヤ朝ボーロムコート王(在位1733-58)の宮廷でマレー人捕虜がジャワ伝来のパンジー・スミラン(イナオ王子)物語を語り,姉妹の姫がそれを詩劇に書いた。姉の作を〈大イナオ〉または〈ダーラン〉,妹の作を〈小イナオ〉と称したが,後者の方が秀作であった。《イナオ》は戦闘と恋愛の描写が多いイナオ王子を中心とする物語で,原本はアユタヤの陥落と共に散逸したが,ラーマ2世時代(1809-24)王命により全面的に書き改められた。約2万7000行の大長編で,ラタナコーシン朝初期の文物制度,建築様式,社会状態,外交慣習などをよく伝えている。けんらん豪華な王室専用劇として,美人をよりすぐりジャワ風の衣装で大祝典の際に上演されたという。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イナオ」の意味・わかりやすい解説

イナオ
Inao

タイの劇詩。古代ジャワに伝わる王朝物語 (ジャワではパンジーと呼ぶ) を,18世紀末マレーを経てタイに移入し,アユタヤ朝ボロマコート王の2人の王女が2編のタイ語の詩に書直したのが初めのものといわれる。普通,姉の作を『イナオ・ヤイ』 (または『ダーラン』) ,妹の作を『イナオ・レック』といい,後者がより愛誦されている。その後バンコク朝ラーマ2世が戯曲に脚色,ラコーン・ナイ (宮廷内舞劇) の代表作として今日でもしばしば上演される。親戚同士のイナオ王子とブッサバー姫をめぐるロマンチックな恋物語が展開する。

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