ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イブヌル・ムータッズ」の意味・わかりやすい解説
イブヌル・ムータッズ
Ibn al-Mu`tazz, Abū al-`Abbās `Abd Allāh
[没]908.12.17. バグダード
アラブの詩人。アッバース朝第 13代カリフのムータッズの子。祖父は第 10代カリフのムタワッキル。生れた翌月,祖父が殺され,8歳のとき父も非業の最期をとげた。祖母カビーハに養育され,当時の一流の学者たちについて学んだ。たぐいまれな天分に恵まれ,詩人として一流の域に達し,アラビア語の詩を新傾向に導いた。 892年頃バグダードに居を移し,902年頃からは公的生活から退いて悠々自適の生活をおくった。 908年 12月 17日,一部の人々に擁せられて第 18代カリフのムクタディルを位から追い,みずからカリフの位についたが,わずか1日で政敵の反撃のため捕えられ殺された。詩集のほか,修辞,作詩その他に関する著作を残した。その散文も流麗,明快で,リサーラ (書簡体) 文章の模範とされている。
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