ファルガーニー(読み)ふぁるがーにー(英語表記)Abu'l-‘Abbās Amad ibn Muammad ibn Kathīr al-Farghāīn

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファルガーニー」の意味・わかりやすい解説

ファルガーニー
ふぁるがーにー
Abu'l-‘Abbās Amad ibn Muammad ibn Kathīr al-Farghāīn

生没年不詳。フェルガナ生まれのイスラム天文学者。ラテン名はアルフラガヌスAlfraganusアッバース朝第7代カリフのマームーンal-Ma'mūn(在位813~833)のころに活躍し、861年にはまだ生存していた。著書には『天体の運動と完全な星学との書』Kitāb fī arakāt al-samāwīya wa-jawāi‘ ‘ilm al-majūmがある。この書は12世紀にラテン語に翻訳され、レギオモンタヌス以前のヨーロッパ天文学に大きな影響を及ぼした。彼はK・プトレマイオスを認め、アストロラーベの作り方も述べている。また地球の直径を約1046.5キロメートルとし、各惑星の最大距離や直径を決定した。861年にはフスタートでナイル川の水位標の建設を監督した。

平田 寛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファルガーニー」の意味・わかりやすい解説

ファルガーニー
al-Farghānī, Ahmad ibn Muhammad

9世紀頃のイスラムの天文学者。ファルガーナ地方出身。中世ヨーロッパではアルフラガヌス Alfraganusの名で知られていた。アッバース朝のカリフ,マームーンに雇われ,829年に設けられたバグダードの天文観測所の専属の学者として天体観測に従事し,アストロラーベなどの天体観測器具の製作に関する書物や天文学の概説書 (『天体の運動と天文知識の要綱』) を著わした。この書物はラテン語に翻訳され,15世紀頃まで広く読まれた。

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