改訂新版 世界大百科事典 「イブンアルアシール」の意味・わかりやすい解説
イブン・アルアシール
Ibn al-Athīr
生没年:1160-1234
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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アラブの歴史家。ザンギー朝の高官の家に生まれ、大半をモスル(イラク北部)で過ごした。メッカ巡礼の途中に、またカリフへの使節として、しばしばバグダードを訪れて見聞を広めた。サラディンの軍隊に同行して、十字軍との戦いに参加したこともある。父と彼自身との知見をもとにザンギー朝史を著した。代表作『完史』al-Kāmil fī al-Ta'rīkhは、天地創造から1230/31年までの、イラクを中心にスペインから中央アジアに及ぶイスラム世界の大年代記で、現在では散逸した多くの史料を使っており、中世イスラム史研究のための必須(ひっす)文献となっている。
[清水宏祐]
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
…とくに《預言者と諸王の歴史》は,同じタバリーの《タフシール》(コーラン注釈書)の姉妹編をなすもので,世界史の全過程を,天地の創造から最後の審判に至るまでの神の人類救済の意志と計画の具体化とする神学的歴史観によって貫かれ,その後におけるイスラム教徒の年代記の模範となった。年代記的世界史に新形式を開いたのは13世紀のイブン・アルアシールの《完史》とザハビーal‐Dhahabī(1274‐1348)の《イスラム史》で,前者は天地創造に始まり,それまでに書かれた史書のレジュメたることを意図して,タバリーの特徴であった詳細なイスナード(伝承の過程の記録)を省き,年代記の枠の中で事件の一貫した叙述に努める。後者は神学的歴史観に立ち,イスラム時代だけを対象とするが,政治史の記述と個人の伝記とを巧みに織り込む。…
※「イブンアルアシール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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