ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イワン6世」の意味・わかりやすい解説
イワン6世
イワンろくせい
Ivan VI Antonovich
[没]1764.7.16. シリッセリブルグ
ロシア皇帝 (在位 1740~41) 。ピョートル1世 (大帝) の異母兄イワン5世の曾孫。女帝アンナ・イワーノブナの死後,彼女の生前の指名に基づいて,生後3ヵ月で即位。摂政はクールラント公 E.ビロン。当時ロシアの宮廷は,アンナがクールラントから連れてきたバルト・ドイツ人貴族が文武の要職を独占する「ビロン体制」一色におおわれていた。即位まもなく,ビロンは軍政を掌握していた B.ミュニヒとの権力争いに倒れ,これを機にドイツ人の支配に対するロシア人貴族の不満は次第にピョートル1世の後妻エカテリーナの娘エリザベータ・ペトローブナへの期待となり,1741年 11月 25日の夜,プレオブラジェンスキー近衛連隊のクーデターによって,幼帝は母親一族とともに逮捕,幽閉された。この宮廷革命によってドイツ人支配時代は終りを告げ,エリザベータの親政時代に入った。幼帝は牢獄で成人するが,64年復位の陰謀が廷臣の間に持上がったとき,エカテリーナ2世 (大帝) の命で暗殺された。
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