大学事典 「ウェールズ大学」の解説
ウェールズ大学[イギリス]
ウェールズだいがく
イギリス・カーディフに本部を置く連合制大学。ウェールズには1822年,セント・デーヴィッド・カレッジ(イギリス)(ランペーター)が設立され(1827年開学),主として国教会聖職者の養成を担った。カレッジは将来,ウェールズ大学へと発展するよう期待されていたが,宗派間の対立ゆえにその実現は容易ではなかった。あらゆる宗派に開かれたウェールズ国民のための大学を設立する運動は,1850年代以降,民族文化復興運動という性格を伴いつつ展開した。まずアベリストウィス(1872年),次いでカーディフ(1883年)とバンガー(1884年)にユニバーシティ・カレッジが設立された。これらのカレッジの学生はロンドン大学の学外学位を目指していたが,1893年,ヴィクトリア大学に倣った,独自の学位授与権を有する連合制ウェールズ大学(イギリス)が上記三つのカレッジを構成機関として設立された。
その後,ウェールズ連合大学にはスウォンジー・ユニバーシティ・カレッジ(1920年),医学校(1931年)などが加盟し,1969年にはセント・デーヴィッド・カレッジも傘下に入った。今日,加盟していた各カレッジが次々と大学として独立を果たすなか,連合制大学のあり方(海外の高等教育機関との提携など)をめぐって大きな岐路に立っている。
著者: 安原義仁
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報