中部インドの古代遺跡。サーンチーの北東約9kmに古代の商業都市ビディシャーがあり,その北郊のベースナガルからはマウリヤ時代からグプタ時代に至る多数の石彫が出土した。しかし現地に残るのは,土地の人々が〈カーム・バーバー〉と呼ぶ石柱のみである。刻文によれば,ビシュヌ教徒であったタキシラのギリシア人ヘリオドロス(前2世紀末期)が造立したガルダ鳥の彫刻をのせた石柱であったことがわかる。ベースナガル西方の低い丘の東麓にあるウダヤギリ石窟は,最古のヒンドゥー教石窟として知られている。総数20窟のうち,半数近くは単なる龕室(がんしつ)にすぎない小規模なもので,第20窟のみジャイナ教のもの。第5窟は,縦390cm,横670cmの龕に,大地を象徴する女神を海底から救出する猪頭人身のビシュヌ神を高浮彫する。ビシュヌの体軀は野性味あふれ圧倒的な迫力をそなえ,グプタ盛期を代表する作品である。第6窟外壁に刻まれた神々,第3窟のカールッティケーヤKārttikeya,第4窟のシバ神の象徴であるリンガ(男根)なども力のみなぎった造形になる。刻文から第6窟はチャンドラグプタ2世(在位376-414ころ)の封臣によって401年に,第7窟は同王の大臣によって,第20窟は425年に造立されたことがわかる。
執筆者:肥塚 隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…東インド,オリッサ州ブバネーシュワルの南西約6kmの相接する二つの丘カンダギリ(南西,15の石窟と19世紀初期再建の石積寺院)とウダヤギリ(北東,18の石窟と頂上に後円の石積寺院址)にあるジャイナ教遺跡。ウダヤギリ第14窟にあるカーラベーラ王の刻文は前1世紀末期と考えるのが有力で,おもな石窟はそれから2世紀ころまでに掘られた。…
…マトゥラーではジャイナ教やヒンドゥー教彫刻も頂点を迎えた。一方,マールワー地方では,ラーマグプタのころにすでにかなりの発展段階にあったことが知られ,次いで401年の銘があるウダヤギリ石窟には,生命力の横溢したヒンドゥー教彫刻の傑作がのこされている。その他この地方では,サーンチーの仏教彫刻,エーランやデーオーガルのヒンドゥー教彫刻も重要である。…
※「ウダヤギリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新