エチニル化(読み)えちにるか(英語表記)ethynylation

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エチニル化」の意味・わかりやすい解説

エチニル化
えちにるか
ethynylation

一般に有機化合物にエチニル基HC≡C-を導入する反応をいうが、高圧アセチレンを利用するレッペ反応でしばしば用いられる。たとえば、銅や銀のアセチリド触媒として、アセチレンを高圧下でホルムアルデヒドあるいはジメチルアミンに100℃付近で作用させると、これらがエチニル化されてホルムアルデヒドからはプロパルギルアルコールを経て2-ブチン-1,4-ジオールが得られる。

 また、ジメチルアミンからは3-(ジメチルアミノ)-1-ブチン(CH3)2N-CH(CH3)-C≡CHが得られる。アセトンに対しては銅のアセチリドのかわりに水酸化ナトリウムを触媒としてアセチレンを作用させることができ、2-メチル-3-ブチン-2-オールを経て2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール(CH3)2C(OH)C≡C-C(OH)(CH3)2が得られる。

[徳丸克己]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エチニル化」の意味・わかりやすい解説

エチニル化
エチニルか
ethynylation

アセチレン結合をもつ原子団 HC≡C- をエチニル基といい,これをもつ化合物へと変化させることをエチニル化という。主として W.J.レッペによって研究された。高圧下で銅,銀,水銀またはそのアセチリドを触媒として,アセチレンをケトン類,アミノアルコール類,アミン類に付加させる。

HCHO+HC≡CH→HOCH2C≡CH



2HCHO+HC≡CH→HOCH2C≡CCH2OH



R2NH+2HC≡CH→R2NCH(CH3)C≡CH



R2NH+HC≡CH→R2N-CH=CH2

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