改訂新版 世界大百科事典 「レッペ」の意味・わかりやすい解説
レッペ
Walter Julius Reppe
生没年:1892-1969
ドイツの化学技術者。チューリンゲンのゲーリンゲンに生まれる。イェーナ大学,ミュンヘン大学に学び,1921年化学会社バディシュ・アニリン・ウント・ソーダ会社Badische Anilin und Sodafabrik(BASF)に入社し,38年イーゲー・ファルベン社中央研究所長となる。第2次大戦中ドイツの合成ゴム(ブナ)生産に貢献する。染料,ショウノウ,シアン化水素の合成,アルデヒドの水素化などの研究のうち,最も大きな業績はアセチレンの高圧下の反応を処理する技術と新しい型の触媒を使用する一連の,いわゆる〈レッペ反応〉を完成したことであり,石油時代への橋わたしの役割を果たした。アセチレンの高圧反応はきわめて危険であると考えられていた中で,イーゲー・ファルベン社において1921年ころから研究を始め,28年には10~20気圧,100~200℃の反応を可能にし,30年ビニル化反応,39年エチニル化反応,40年カルボニル化反応,41年環重合反応を開発した。53年日本化学会75周年に招かれて来日。
執筆者:徳元 琴代
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報