レッペ反応(読み)れっぺはんのう(英語表記)Reppe reaction

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レッペ反応」の意味・わかりやすい解説

レッペ反応
れっぺはんのう
Reppe reaction

アセチレンを原料として適当な触媒を用い、主として高圧下で種々の有用な化合物を合成する反応。ドイツのレッペらが1930年代から1940年代にかけて発展させた。ビニル化エチニル化、環化重合、カルボニル化の四つに大別される()。これらの反応は、第二次世界大戦後の化学工業に重要な貢献をした。

[湯川泰秀・廣田 穰 2016年11月18日]

ビニル化

加圧下でアルカリ触媒を用いて、アセチレンとアルコールからビニルエーテルを合成する反応。アミン類も同様な反応によりビニル化される。カルボン酸は亜鉛塩の存在下でビニルエステルを生ずる。

[湯川泰秀・廣田 穰 2016年11月18日]

エチニル化

高圧下でアセチレン銅を触媒として、アセチレンとホルムアルデヒドからプロパルギルアルコールとブチンジオール(正確な名前は2-ブチン-1,4-ジオール)を合成する反応。

[湯川泰秀・廣田 穰 2016年11月18日]

環化重合

加圧下でニッケル錯塩を触媒として、アセチレンからベンゼンおよびシクロオクタテトラエンを合成する反応。

[湯川泰秀・廣田 穰 2016年11月18日]

カルボニル化

アセチレンとテトラカルボニルニッケル(0)からアクリル酸誘導体を合成する反応。

[湯川泰秀・廣田 穰 2016年11月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レッペ反応」の意味・わかりやすい解説

レッペ反応
レッペはんのう
Reppe reaction

1930~40年に W.レッペによって開発された高圧アセチレンを使用する一連の合成反応。いずれも工業的にきわめて重要で,次の反応が含まれる。 (1) アセチレンにアルコール,アミンなどを付加して,ビニルエーテル,ビニルアミンを合成する。 (2) 銅アセチリドを触媒にしてアルデヒドケトン,アミンをエチニル化する。 (3) ニッケル錯体を触媒にアセチレンを重合してベンゼンなどに合成する。 (4) ニッケル錯体を触媒にしてアセチレンと一酸化炭素を付加しアクリル酸を生じる。

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