改訂新版 世界大百科事典 「エンドウゾウムシ」の意味・わかりやすい解説
エンドウゾウムシ
pea weevil
Bruchus pisorum
甲虫目マメゾウムシ科に属し,エンドウマメの害虫としてよく知られている。体の背面は褐色~暗褐色の短毛で覆われ,胸部の基部中央,上翅の後方近く,腹部末端などに白色毛からなる斑紋がある。胸部の側縁中央に1本の歯状突起があり,その後方はえぐられる。体長約4.5mm。日本全土のほか,世界各地に広く分布する。成虫は5月ごろから栽培されているエンドウに飛来し花のみつを吸い,さやに点々と産卵する。幼虫はさやからマメの中へもぐりこみ,収穫後の7月ごろマメの中で蛹化(ようか)する。被害を受けたマメは多少変色し,食害を受けた部分の表皮は直径3mmくらいの暗色紋となる。新成虫は紋の部分に丸い穴をあけ脱出する。出現した成虫は野外へ飛び去る。成虫で越冬する。幼虫は白色で,よく肥満しており,胸脚は著しく小さい。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報