エンピツビャクシン(読み)えんぴつびゃくしん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エンピツビャクシン」の意味・わかりやすい解説

エンピツビャクシン
えんぴつびゃくしん / 鉛筆柏槇
[学] Juniperus virginiana L.

ヒノキ科(分子系統に基づく分類:ヒノキ科)の針葉高木。別名エンピツノキ。高さ12~30メートル。樹冠はピラミッド形。樹皮灰褐色または赤褐色。若い葉は針状で長さ3~6ミリメートル、古い枝では鱗片(りんぺん)状で長さ約1.5ミリメートル。果実は帯黒青色で白粉を帯び、直径5ミリメートル、長さ3~6ミリメートル。材は均質で削りやすく芳香があり、鉛筆用とするのでこの名がある。このほか、細工物、桶(おけ)、ベニヤ板などにする。材の油を顕微鏡用ツェーデル油、せっけん香料、香料保留剤、偽和剤とする。北アメリカ西部ロッキー山脈東側、ハドソン湾からニュー・メキシコテキサスを経てフロリダに至る山地に分布し、鉛筆用材として大量に輸出される。日本では園芸品種が多数あり、庭園に植栽する。繁殖は普通挿木により、実生(みしょう)も可能。

[星川清親 2018年6月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エンピツビャクシン」の意味・わかりやすい解説

エンピツビャクシン(鉛筆柏槇)
エンピツビャクシン
Juniperus virginiana; eastern red cedar

ヒノキ科の常緑針葉樹で,北アメリカ東部に産する。日本産のビャクシン (イブキ) J. chinensisなどと同属の高木。材は柔らかくよい香りがあって鉛筆の材として最良といわれる。また,この材からとる油 (ceder oil) は顕微鏡レンズの油浸用オイルとして最高の品質とされる。欧米では庭園樹としてもしばしば栽植されている。

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世界大百科事典(旧版)内のエンピツビャクシンの言及

【イブキ】より

…ビャクシン類はナシやリンゴの重要病害である赤星病菌の中間宿主となるので,その栽培地の少なくとも1km以内には植えない方がよい。鉛筆材としては最上のものとされるエンピツビャクシンS.virginiana Ait.(英名はred cedar)は北アメリカ東部原産の30mに達する高木であるが,今日では産出量が著しく減少した。【浜谷 稔夫】。…

※「エンピツビャクシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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