日本大百科全書(ニッポニカ) 「オカイ」の意味・わかりやすい解説
オカイ
おかい
Atukwei Okai
(1941― )
ガーナの詩人。ゴーリキー文学研究所、ロンドン大学でロシア文学を学び、帰国後、ガーナ大学でロシア文学とアフリカ文学を教えた。1971年以来ガーナ作家協会会長を務め、81年(昭和56)国際交流基金の招きで来日、長詩『中性子爆弾に捧(ささ)ぐる茶の湯』をつくった。82年のクーデター後、アクラ市長に就任したが、数か月で辞任。ガーナ大学に戻り、パン・アフリカ作家協会を結成して事務局長に就任し、彼が傾倒する大統領ンクルマ(エンクルマ)が推進したパン・アフリカニズム(汎アフリカ主義)の普及に努めている。詩集に『落花』(1969)、『フォントムフロムの誓い』(1971)、代表作『迷路の対数』(1974)、『マンデラ=槍』(1990)、児童向け詩集『海のなかのアリ塚』(1988)がある。その詩には伝統と近代科学という異質なものの同質化、「分裂のなかの調和」を求める志向が強い。その後、詩のパフォーマンス化(身体表現化)を目ざしている。
[土屋 哲]