おとない(読み)オトナイ

デジタル大辞泉 「おとない」の意味・読み・例文・類語

おと‐ない〔‐なひ〕

訪れ。訪問。「友のおとないを待つ」
音がすること。その響き。また、音から判断されるようすや気配
「なつかしう、うちそよめく―あてはかなりと、聞き給ひて」〈若紫
評判。とりざた。
「世の―聞こし召す入道の宮」〈増鏡・春の別れ〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「おとない」の意味・読み・例文・類語

おと‐ない‥なひ

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おとなう」の連用形名詞化 )
  2. 音が聞こえること。また、聞こえてくる音。ひびき。鳴き声。
    1. [初出の実例]「うちそよめく衣(きぬ)のおとなひなつかしう」(出典枕草子(10C終)二〇一)
  3. 主として聴覚によって感じとられるけはい、様子。
    1. [初出の実例]「梅壺の女御ののぼらせ給ふなるをとなひ、いみじく心にくく優なるにも」(出典:更級日記(1059頃))
  4. ( 「訪」とも書く ) 声を立てて案内をこうこと。おとずれること。訪問。
    1. [初出の実例]「かく文のはしつかたに、『例ならぬほととぎすのをとなひにも、やすき空なく思ふべかめれ』と、かしこまりをはなはだしう置きたれば」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
  5. 評判。とりざた。

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