日本大百科全書(ニッポニカ) 「オフェイロン」の意味・わかりやすい解説
オフェイロン
おふぇいろん
Sean O'Faolain
(1900―1991)
アイルランドの小説家で短編の名手。巡査の子としてコークで生まれた。アイルランド独立運動に参加したのちアメリカに渡り、1926年から3年間ハーバード大学で学ぶ。革命運動の体験から生まれた短編集『真夏の夜の狂気』(1932)で認められ、1933年故国に戻り、文筆生活に入った。アイルランドのまやかしの宗教性、島国文化を批判し、ナショナリストの挫折(ざせつ)を予言して風刺的な傾向を強めたために故国では不評を買った。代表作『素朴な人々の住処(すみか)』(1933)のほか『ダニエル・オコンネル伝』(1938)などがある。
[小野寺健]
『風呂本武敏・風呂本惇子訳『ある善人の結末』『壊れた世界』(『現代アイルランド短編小説集』所収・1978・公論社)』▽『井勢健三訳『谷間の静寂』(『現代アイルランド短篇集』所収・1993・あぽろん社)』▽『小野寺健訳『確実な人生』(『20世紀イギリス短篇集』所収・岩波文庫)』▽『橋本槙矩訳『アイルランド――歴史と風土』(岩波文庫)』