おもな慣用句(読み)おもなかんようく

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

おもな慣用句
おもなかんようく

私たちは、相手に自分の考えや気持ちを伝えるとき、さまざまなくふうをしている。そんなとき、特に威力を発揮するのが慣用句と呼ばれる言いまわしであろう。慣用句は複数の語が結びついて、新しい意味をもつようになった表現で、古くから使われてきた。慣用句を文章や会話の中に差しはさむことにより、表現したい内容を、きりっと引き締まった豊かなものにすることができる。ここでは、実際に使ってみたい慣用句を集め、その意味を示し、さらに使用例を適宜添えた。
(『日本語便利辞典(小学館)』より)

あ行


【あ】
愛嬌を振りまく(あいきょうをふりまく)
だれにでも、愛想をよくする。
愛想が尽きる(あいそがつきる)
好意や愛情がすっかりなくなってしまう。
「友人の身勝手さに愛想が尽きる」
開いた口が塞がらない(あいたくちがふさがらない)
あきれてものも言えないさま。
相槌を打つ(あいづちをうつ)
他人の話に調子を合わせる。
合いの手を入れる(あいのてをいれる)
(歌や踊りの間に手拍子やかけ声を入れる意から)会話や物事の進行の間にちょっとした調子づけのことばをさしはさむ。
阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)
(「阿吽」は、吐く息と吸う息の意)二人以上が一緒にある物事をするときの、相互の微妙な調子、気持。また、それがぴったり一致すること。
青筋を立てる(あおすじをたてる)
顔に静脈を浮き出させる。はげしく怒ったり、興奮したりしているさまをいう。
「額に青筋を立てて怒る」
青菜に塩(あおなにしお)
(青菜に塩をふりかけると、しおれてしまうところから)元気を失って、しおれていることのたとえ。
足掻きが取れない(あがきがとれない)
動作が自由にならない。取るべき手段、方法がない。
「借金でどうにも足掻きが取れない」
赤子の手を捻る(あかごのてをひねる)
抵抗力のないものに暴力をふるう。また、力を用いないでやすやすとできることのたとえ。赤子の手をひねる。
「赤子の手をねじるよりやさしい」
赤の他人(あかのたにん)
全く縁のない他人。何のかかわりもない他人。
秋風が立つ(あきかぜがたつ)
(「秋」を「飽き」にかけて)男女間の愛情が薄らぐ。いやけがさす。
「二人の間に秋風が立つ」
灰汁が強い(あくがつよい)
(反感を買うような)強い個性がある。ひどく個性的である。
「灰汁が強い人」
悪態を吐く(あくたいをつく)
悪口を言う。憎まれ口をたたく。
胡坐をかく(あぐらをかく)
(足を組んで楽な姿勢ですわる意から)その立場や状態にあっていい気になっている。
「名声の上にあぐらをかく」
揚げ足を取る(あげあしをとる)
(人の揚げた足をとって倒すように)相手の言いそこないやことばじりをとらえてなじったり皮肉ったりする。
上げ潮に乗る(あげしおにのる)
(舟が満ちてくる潮に乗って進むように)時機を得て、物事が上り調子に進む。
「事業もようやく上げ潮に乗ってきた」
明けても暮れても(あけてもくれても)
いつでも。毎日毎日。明け暮れ。
「明けても暮れても仕事の話ばかりの人」
顎が落ちる(あごがおちる)
非常に味がよいことのたとえにいう。ほおが落ちる。
「ねたもしゃりも最高で、顎が落ちそうだった」
顎が外れる(あごがはずれる)
大いに笑うことをたとえていう。顎を外す。
顎が干上がる(あごがひあがる)
生計の道を失って食えなくなる。生活に困る。
顎で使う(あごでつかう)
高慢な態度で人を使う。人を見下げてこき使う。
「何人もの弟子を顎で使う」
顎を出す(あごをだす)
(長い間歩いて疲れると、腰がひけて顎が出る恰好になるところから)弱り果てる。疲れ切る。転じて、自分の手に負えないで困る。
顎を撫でる(あごをなでる)
得意な様子を表わす動作にいう。
麻の如く(あさのごとく)
(麻糸が乱れもつれるようにの意で)世の中の状態などが乱れることの形容に用いる。
「天下麻の如く乱る」
朝飯前(あさめしまえ)
朝飯前の空腹のときにでも、あるいはそれぐらいの短い時間ででもできるような容易なこと。
足が竦む(あしがすくむ)
足が縮むように感じて動けなくなる。
足が地に着かない(あしがちにつかない)
(1)興奮して気持ちがそわそわと落ち着かない。
(2)考え方がしっかりしていなくて、危なっかしい。
「こんな足が地に着かない計画では、いずれ失敗に終わるだろう」
足が付く(あしがつく)
お尋ね者や逃亡者の足どりがわかる。犯罪事実が証明されるきっかけが現れる。
足が出る(あしがでる)
予算、または収入を超えた支出になる。赤字になる。
足が遠のく(あしがとおのく)
しばらく訪れない。訪れることが間遠になる。
「何かと忙しくて、映画館から足が遠のく」
足が棒になる(あしがぼうになる)
歩き過ぎや立ち続けで、足がこわばるほど疲れる。
「足が棒になるほど歩き回った」
足並みが揃う(あしなみがそろう)
歩調がそろう。考えや行動の進み方がほぼ同じである。
「ようやく与党各党の足並みがそろって法案可決の運びとなる」
足に根が生える(あしにねがはえる)
足が止まって動かなくなる。
足に任せる(あしにまかせる)
(1)乗物に乗らないで、歩いて行く。また、足の力の続くかぎり歩く。
(2)はっきりした行先もなく、また、特に目的も定めないで歩く。
足の踏み場がない(あしのふみばがない)
物が一面に散らかっていて足を踏み入れる隙間もない。
足踏みをする(あしぶみをする)
事がうまく運ばないで、停滞する。
「計画が足踏みする」
味も素っ気もない(あじもそっけもない)
少しの味わいもない。つまらない。
「味も素っ気もない文章」
足下から鳥が立つ(あしもとからとりがたつ)
(1)突然、身近に意外なことの起こるさまにいう。
(2)急に思いついたように、あわてて物事を始める。
足下に火が付く(あしもとにひがつく)
危険が身辺に近づくことをいう。
足下にも及ばない(あしもとにもおよばない)
相手があまりにもすぐれていて、自分と比較にならないほどである。
「語学力では彼の足下にも及ばない」
足下を見る(あしもとをみる)
相手の弱みを見抜いて、それにつけこむ。足下へつけこむ。
「客の足下を見て、高値で売る」
足を洗う(あしをあらう)
(汚れた足を洗うように)好ましくない行為をやめる。職業や仕事をやめる場合にも用いる。
足を入れる(あしをいれる)
はいり込む。ある場所に入ってゆく。足を踏み入れる。
「芸能界に足を入れたのは十三歳の時だった」
足を奪われる(あしをうばわれる)
交通機関が止まって、通勤・通学・旅行などができなくなる。
「台風の直撃によって、数万人が帰宅の足を奪われる」
味を占める(あじをしめる)
一度味わったそのよい味が忘れられないで、次にもそれを期待する。一度うまくいったことを忘れないでいる。
足を掬う(あしをすくう)
(相手の足を払うようにして支えを失わせる意から)相手のすきに付け入って、思いがけない手段で相手を失敗、敗北に導く。
足を取られる(あしをとられる)
酒に酔いすぎて歩けなくなる。また、道が悪かったり障害物などにじゃまをされたりして、うまく足が動かせなくなる。
「ぬかるみに足を取られる」
足をのばす(あしをのばす)
(1)(伸ばす)緊張した気分を落ち着かせる。くつろいだ姿勢になる。
「遠慮なく、足を伸ばしてください」
(2)(延ばす)さらに遠くまで行く。
「いっそ九州まで足を延ばすか」
足を運ぶ(あしをはこぶ)
歩いて行く。歩みを運ぶ。わざわざ訪ねて行く。
「現場に足を運ぶ」
足を引っ張る(あしをひっぱる)
(1)他人の前進や成功をさまたげる。
「成功者の足を引っ張る」
(2)集団で物事をするとき、何人かがマイナスになるような行動をする。
「みんなの足を引っ張るようならやめます」
足を向けて寝られない(あしをむけてねられない)
(その人のいる方へ足を向けて寝るような失礼なことはできないの意)恩を受けた人への感謝の気持を表わす。
「命の恩人には足を向けて寝られない」
足を向ける(あしをむける)
その方へ行く。
当たって砕けろ(あたってくだけろ)
成功するしないにかかわらず、進んで決行すべきであるということ。
頭が上がらない(あたまがあがらない)
相手の権威や力にひけ目を感じ、対等にふるまえない。
頭が痛い(あたまがいたい)
心を悩ませる。悩みの種である。
頭が堅い(あたまがかたい)
一定の考え方にとらわれていて、その場に応じた柔軟な発想ができない。
頭が切れる(あたまがきれる)
頭の回転が速く、機敏に物事を処理できる。
頭が下がる(あたまがさがる)
敬服させられる。尊敬の気持が起こる。
頭から水を浴びたよう(あたまからみずをあびたよう)
突然に起こった事のために、驚き恐れてぞっとするさま。
頭から湯気を立てる(あたまからゆげをたてる)
非常に怒るさまをいう。
頭に入れる(あたまにいれる)
しっかりと記憶する。
頭に来る(あたまにくる)
怒りや悲しみや驚きなどのために、頭に血がのぼる。かっとなる。
頭の黒い鼠(あたまのくろいねずみ)
(人間を鼠になぞらえ、ただし実際は人間であることを頭髪の黒さで示した語)家の中の物がなくなった時などに、それを盗んだのは、鼠でなくて人間であろうと、犯人をほのめかしていう。
頭の天辺から足の爪先まで(あたまのてっぺんからあしのつまさきまで)
全身全部。上から下まで。また、一から十まで、全部。
頭を痛める(あたまをいためる)
心配事、苦労で頭を痛くする。あれやこれやと心配する。
頭を抱える(あたまをかかえる)
どうしたらよいかわからないで頭を両手でかかえる。
頭を下げる(あたまをさげる)
相手に頼み事をしたり、あやまったりする。
頭を絞る(あたまをしぼる)
一所懸命に考える。考えられる限りの工夫をする。
頭を悩ます(あたまをなやます)
思い悩む。困って考えこむ。苦悩する。
頭を撥ねる(あたまをはねる)
(「頭」は上米(うわまい)を言いかえたもの。「はねる」は、けずりとるの意)うわまえをかすめ取る。ピンハネする。他人の利益の一部をかすめ取る。
頭を捻る(あたまをひねる)
頭を傾けて考える。いろいろ工夫をめぐらしたり、疑問を持ったりすることにいう。首をひねる。
頭を冷やす(あたまをひやす)
興奮を静め、冷静になる。
頭をほぐす(あたまをほぐす)
こり固まっている考えを柔軟にする。また、考えごとをしていた頭を休め、つかれをとる。
頭を丸める(あたまをまるめる)
頭髪を剃り落として仏門に入る。また、反省や出直しをするために坊主頭になる。
頭を擡げる(あたまをもたげる)
(1)押えていた、また、隠れていたある考え、疑い、気持などが浮かび上がってくる。
「不信の念が頭をもたげる」
(2)しだいに勢力を得て人に知られるようになる。台頭する。
「ファシズムが頭をもたげる」
当たりを付ける(あたりをつける)
見当をつける。手がかりを見つける。
辺りを払う(あたりをはらう)
(他を近くに寄せつけない意から)美麗、威厳などで周囲を威圧するさまをいう。
「威厳あたりを払う」
呆気に取られる(あっけにとられる)
思いもかけないことに出合って驚きあきれる。
あっと言わせる(あっといわせる)
びっくりさせる。思わずあっと声を出すほど感心させる。
「世間をあっといわせる傑作」
当てが外れる(あてがはずれる)
見込みがはずれる。予期に反する。
当てにする(あてにする)
見込みをたてて頼みとする。信用して頼りとする。
後足で砂を掛ける(あとあしですなをかける)
世話になった人の恩義を裏切るばかりか、去りぎわにさらに迷惑をかけてかえりみないたとえ。
後味が悪い(あとあじがわるい)
(飲食後、口の中に残る味がよくない意から)物事の済んだあとに残っている気分や感じがよくない。後悔や反省の気持を込めて言うことが多い。
後は野となれ山となれ(あとはのとなれやまとなれ)
当面のことさえ済めば、その先のことや、その結果はどうなってもかまわない。
アドバルーンを揚げる(あどばるーんをあげる)
物事を行う前に、情報、意見、行動などを小出しにして、反響や手ごたえを調べる。
跡を絶たない(あとをたたない)
あとからあとからと起こって、切れ目がない。
「駐車違反をする不心得者が跡を絶たない」
後を引く(あとをひく)
(1)きまりがつかずいつまでも続く。
「先日の件がまだ後を引いている」
(2)次々に欲しくなる。主に飲食物などについていう。
「ピーナッツは後を引く」
穴が開く(あながあく)
(1)損失、不足などが生ずる。欠損した状態になる。
「帳簿に穴があく」
(2)手順どおり事がうまく運ばないで、空虚な時間や、間の抜けた場面ができる。
「出演者が急病のため、舞台に穴があく」
(3)定員の一部が欠けたり担当者がいなくなったりする。
「役員のポストに穴があく」
穴があったら入りたい(あながあったらはいりたい)
穴に隠れてしまいたいほど恥ずかしい。恥ずかしくて身の置きどころがない。
彼方任せ(あなたまかせ)
他人に頼って、その通りにすること。なりゆきに任せること。
穴の開くほど(あなのあくほど)
じっと見つめる。特に他人の顔を凝視する形容に用いる。
穴を開ける(あなをあける)
(1)欠損、損失を生ぜしめる。特に、金を使い込む。
「会社の経理に穴をあける」
(2)事が手順どおり運ばないで、空虚な時間や間の抜けた場面を作ってしまう。
「番組に穴をあける」
(3)必要な人員でありながら参加しないで欠員を生じさせる。
「人員に穴を開ける」
穴を埋める(あなをうめる)
(1)損失、欠損を補う。穴埋めをする。
「借金の穴を埋める」
(2)事がうまく運ばないでできた空虚な時間や間の抜けた場面をうまく補う。
「とっさの機転で穴を埋めた」
(3)必要な人員が欠けている時にその代理をする。穴場を埋める。
「彼が抜けた穴を埋める」
あの手この手(あのてこのて)
いろいろな方法、手段。
「あの手この手で当選をはかる」
危ない橋を渡る(あぶないはしをわたる)
危険な行き方をする、危険な手段を用いる、危険すれすれのことを行なう場合などにいう。
脂が乗る(あぶらがのる)
(魚などが脂肪に富んで、最も食べ頃になる意から)調子が出て物事がおもしろいようにはかどる。また、技術などが上達していい仕事をするようになる。
油に水(あぶらにみず)
しっくりとなじまないたとえ。水と油。
油を売る(あぶらをうる)
(江戸時代、髪油を売り歩く者が婦女を相手に話し込みながら商ったところから)仕事を怠けてむだ話をする。また、仕事の途中で時間をつぶして怠ける。
油を絞る(あぶらをしぼる)
(油を取る時、しめ木にかけて押しつぶすところから)人の失敗や欠点を厳しく叱ってこらしめる。
甘い汁を吸う(あまいしるをすう)
苦労しないで利益だけを得る。
甘く見る(あまくみる)
物事を軽く見て、気を許したり軽蔑したりする。
余す所なく(あますところなく)
残らず。ことごとく。すっかり。
網の目のように(あみのめのように)
網の目のようにはりめぐらされたもののたとえ。
「交通機関が網の目のようにはりめぐらされている」
網の目を潜る(あみのめをくぐる)
捜査網や、他人からの監視などをたくみに避ける。また、法律や規制にひっかからないように、たくみに事を行う。
網を張る(あみをはる)
(鳥や魚などを捕えるために網を張りめぐらすように)犯人などねらう人物を捕えるために、手はずをととのえて待ち受ける。
飴と鞭(あめとむち)
しつけなどをする時に、甘い面と厳しい面と両方そなえていることのたとえ。転じて、おだてとおどしの両方で人を支配すること。
飴をしゃぶらせる(あめをしゃぶらせる)
勝負事などでわざと負けて相手を喜ばせる。また、相手をうまい話でつる。飴を舐(ねぶ)らせる。
嵐の前の静けさ(あらしのまえのしずけさ)
(暴風雨の来る少し前、一時あたりが静まるところから)変事の起こる前のちょっとした間の無気味な静けさ。
合わせる顔がない(あわせるかおがない)
他人に対する面目がない。申しわけがない。
哀れを催す(あわれをもよおす)
同情の気持や悲しみの気持が起きる。しみじみとした感動を起こす。
「そぞろ哀れを催す」
泡を食う(あわをくう)
思わぬ事態に驚きあわてる。ひどくうろたえる。
「泡を食って逃げ出す」
暗礁に乗り上げる(あんしょうにのりあげる)
(航海中、船が暗礁に乗り上げると動きがとれなくなるところから)思いがけない困難によって、事の進行が妨げられること。
「計画が暗礁に乗り上げる」
案の定(あんのじょう)
思った通り。はたして。案のごとく。
「案の定失敗した」
【い】
いい顔をしない(いいかおをしない)
きげんよくしない。賛成しない。承知しない。
「夜遅く帰ると親がいい顔をしない」
言い掛かりを付ける(いいがかりをつける)
根も葉もないことや取るに足らない欠点を言って、相手を責め困らせる。
いい気になる(いいきになる)
自分ひとりで勝手に自分のすることに満足し得意に思っていること。また、そのさま。ひとりよがりで他に気をつかわないこと、うぬぼれているさまにいう。
いい子になる(いいこになる)
自分だけが人によく思われるような行動をとる。
いい面の皮(いいつらのかわ)
(他人の不幸やしくじりを冷たく批評し、また自分が他から受けた損失について自嘲していう)とんだ恥さらし。いい迷惑。かさねがさねわりの悪い目にあって、ばかばかしいくらいだ。
「だしにされたこっちこそいい面の皮だ」
いい目が出る(いいめがでる)
(博打(ばくち)で、望みどおりに出たさいころの目の意から)物事が思いどおりに、うまくいく。よい運が向いてくる。
言うに事欠いて(いうにことかいて)
別な言い方やことばもあるだろうに。
言うまでもない(いうまでもない)
ことさら言う必要がない。言うに及ばない。もちろんだ。
「頭のよさは言うまでもなく、性格もすばらしい」
如何物食い(いかものぐい)
普通の人と違った趣味または嗜好をもつこと。特に、普通の人の食べないようなものを好んで、または、わざと食べる人。げてもの食い。あくじき。
遺憾に堪えない(いかんにたえない)
とても残念である。
行き当たりばったり(いきあたりばったり)
前もって計画しておかないで、その場のなりゆきにまかせること。また、そのさま。ゆきあたりばったり。
「行き当たりばったりの計画」
息が合う(いきがあう)
相互の調子がよく合う。たがいの気持がぴったり一致する。
「息が合ったコンビ」
息が掛かる(いきがかかる)
有力者の保護または影響、支配などを受ける。
「社長の息がかかった人物」
息が通う(いきがかよう)
いきいきしている。
「細部の描写にまで作者の息が通った密度の濃い文章だ」
息が切れる(いきがきれる)
気力が尽きたりして、物事をそれ以上つづけることができなくなる。
行きがけの駄賃(いきがけのだちん)
(馬子が問屋などへ荷物を受け取りに行くついでを利用して、よその荷物を運び、手間賃を得たところから)事のついでに他の事をして利益を得ること。また、ある事をするついでに他の事をすること。ゆきがけの駄賃。
息が絶える(いきがたえる)
息が止まる。死ぬ。
息が詰まる(いきがつまる)
(1)緊張して呼吸が苦しくなる。
(2)自由に行動ができないため、窮屈で耐えられない気持になる。
「規則ずくめで、息が詰まりそうだ」
息が長い(いきがながい)
ある仕事や活動が、一定の水準を保って長い期間続いている。
「寡作だが息の長い作家」
息急き切る(いきせききる)
大そう急いで、はあはあと息をつく。あえぎあえぎ急いで行動する。
「息急き切って駆けつける」
生きとし生けるもの(いきとしいけるもの)
この世に生きているすべてのもの。あらゆる生物。
息の根を止める(いきのねをとめる)
(「息の根」は、いのち。また、呼吸の意)殺す。また、徹底的にやっつける。
息も絶え絶えに(いきもたえだえに)
息が今にもとぎれそうになりながらやっと続いているさま。
息を入れる(いきをいれる)
しばらく休息する。一息入れる。息を継ぐ。
息を切らす(いきをきらす)
激しく動いたりして、せわしい呼吸をする。あえぐ。
「息を切らして駆けてくる」
息を凝らす(いきをこらす)
緊張して、息をとめる。ようすや成り行きをうかがって、じっと呼吸をおさえる。息を殺す。
「息を凝らしてことの成り行きをうかがった」
息を殺す(いきをころす)
呼吸をおさえて静かにしている。息をつめてじっとしている。息を凝(こ)らす。
「息を殺して見張る」
息を吐く(いきをつく)
ためていた息をはく。転じて、ひと休みする。また、緊張や苦しみから解放されて、ひと安心する。
息を継ぐ(いきをつぐ)
ちょっと休息する。息を入れる。一息入れる。
「息を継ぐ間もあたえず攻めかかる」
息を詰める(いきをつめる)
息をしないようにしてじっとしている。息を殺す。息を凝(こ)らす。
「息を詰めて試合を見守る」
息を抜く(いきをぬく)
物事の途中で一休みする。気分転換のため休息する。
「練習中は息を抜くな」
息を呑む(いきをのむ)
緊張や驚きで、息を止める。
「悲惨な光景に思わず息を呑んだ」
息を弾ませる(いきをはずませる)
はげしい息づかいをする。せわしく呼吸する。
「優勝した喜びを息を弾ませて語る」
息を引き取る(いきをひきとる)
息が絶える。死ぬ。
息を吹き返す(いきをふきかえす)
(1)生き返る。蘇生(そせい)する。
(2)だめだと思っていたものが、また勢いづく。
「その町は観光地として息を吹き返した」
幾ばくもない(いくばくもない)
数、量、程度などが、それほどはなはだしくないことを表す。少ししかない。いくらもない。
「余命幾ばくもない」
委細構わず(いさいかまわず)
他のことすべてに構うことなく。事情のいかんにかかわらず。
異彩を放つ(いさいをはなつ)
(普通とは異なった色どりや光を出す意から)才能、技量などがきわだって見える。すぐれて見える。
「文壇中で異彩を放つ才気」
意地が悪い(いじがわるい)
性質、気だてが悪い。
意地になる(いじになる)
反対や障害などにあい、かえって頑固に自分の主張や行動をおし通そうとする。
意地を通す(いじをとおす)
自分の主張や考えをどこまでも押し進めていく。
意地を張る(いじをはる)
自分の考えをあくまでも押し通そうとする。強情を張る。
痛い所を衝く(いたいところをつく)
弱点を指摘してせめる。痛い所を突く。
痛い目に遭う(いたいめにあう)
つらい思いをする。苦しい体験をさせられる。痛い目を見る。
痛くも痒くもない(いたくもかゆくもない)
なんの影響も受けない。まったく平気である。痛痒(つうよう)を感じない。
痛し痒し(いたしかゆし)
(かけば痛く、かかなければかゆい意から)2つのことが互いにさしさわりがあって、一方を立てれば他方に支障があるという状態で、どちらとも決められないことをいう。
板に付く(いたにつく)
(「いた」は舞台の意)役者が経験を積んで、芸が舞台にしっくりと調和する。また一般に、その仕事に物慣れているさま。また、服装、態度などがよく似合うさまにいう。
「板についた司会ぶり」
板挟み(いたばさみ)
対立する二者の間にはさまって自分の態度を決しかね、迷い悩むこと。
「母親と妻との板挟み」
至れり尽くせり(いたれりつくせり)
非常によく行き届いている。また、そういうさま。
「旅館の待遇は至れり尽せりだった」
一か八か(いちかばちか)
(カルタ賭博から出た語)結果がどうなるか予想のつかないことを、運を天にまかせて思いきってやってみること。
「一か八か勝負に出る」
一から十まで(いちからじゅうまで)
(十を数の限度として)何から何まで、の意を表わすことば。すべて。全部。
「一から十まで親まかせの生活」
一芸に秀でる(いちげいにひいでる)
ある一つの技術、芸能において、ぬきんでてすぐれている。
一言もない(いちごんもない)
相手の言うことに、ひとことの弁解もできない。非を認めるほかない。
一事が万事(いちじがばんじ)
一つの事を見るだけで、他のすべての事がおしはかられる、一つの小さな事でも、ひいては万事その調子になるということ。
一日の長(いちじつのちょう)
(「論語」による)他人より少し年上であること。転じて、経験や知識、技能などが他の人より少しすぐれていること。いちにちの長。
「優勝チームは投手力に一日の長があった」
一陣の風(いちじんのかぜ)
ひとしきりさっと吹く風。
一堂に会する(いちどうにかいする)
(「一堂」は、同じ建物、部屋の意)多くの人が一つの場所に集まる。
一枚噛む(いちまいかむ)
一つの役、立場をもってある事柄に加わっている。よいことにもいうが、多くは悪いこと、批判的なことにいう。一枚加わる。
一脈通ずる(いちみゃくつうずる)
いくつかの物事の間において、その性質や考え方などがある程度類似していたり共通していたりする。
一目置く(いちもくおく)
(囲碁で、弱い方が先に一目を置いて対局を始めることから)自分よりすぐれている者に対して、敬意を表して一歩譲る。一目を置く。
一も二もない(いちもにもない)
あれこれと、文句や反対を言う事がない。とやかく言わない。いやおうなしに。すぐさま。
「一も二もなく承知した」
一翼を担う(いちよくをになう)
一つの役割を分担する。
「躍進の一翼を担う」
一家を成す(いっかをなす)
学問や芸術などで権威となる。また、新しい流派を立てる。
「小説家として一家を成す」
一巻の終わり(いっかんのおわり)
(一巻から成る物語が終わる意から)物事の結末がすべてついてしまうことのたとえ。また、先の望みがまるでないことのたとえ。
一計を案じる(いっけいをあんじる)
ある目的を達成するための一つの策略や計画を考える。
「今の状況を打開する一計を案じる」
一糸纏わず(いっしまとわず)
何も身につけない。すっぱだか。一糸も纏わず。
一糸乱れず(いっしみだれず)
秩序正しく整然としているさまをいう。
「一糸乱れぬ行進」
一笑に付す(いっしょうにふす)
笑って問題にしないで済ます。ばかにして相手にならないでいる。
一矢を報いる(いっしをむくいる)
敵に対して、矢を一本効果的に射返す。反撃する。転じて、相手の攻撃・論難に対して、少しでも反撃・反論する。
一世を風靡する(いっせいをふうびする)
その時代の人びとに広くもてはやされ、感銘や影響を与える。
一席ぶつ(いっせきぶつ)
おおぜいの聞き手に向かって一くだりの話をする。特に演説や威勢のいい話のときに用いる。
一席設ける(いっせきもうける)
ちょっとした集まりや宴会を開いて人を招く。また、その用意をする。
一石を投じる(いっせきをとうじる)
(石を水に投げ込むと波紋ができて次第に外へ広がっていくことから)反響を呼ぶような問題を投げかける。
一線を画す(いっせんをかくす)
境界をはっきりさせる。はっきりとくぎりをつける。区別する。
一杯食わす(いっぱいくわす)
うまくだます。
一服盛る(いっぷくもる)
(「一服」は粉薬一回分。特に、毒薬の一包みの意)人を殺すために、毒薬を調合する。毒薬を飲ませる。
居ても立っても居られない(いてもたってもいられない)
心配、同情、喜びなどの気持が強くなって、じっと落ち着いていられない。
糸を引く(いとをひく)
(あやつり人形を動かすところから)陰で人をあやつる。裏で指図をして人を思うように動かす。
「裏で糸を引く」
意に介さない(いにかいさない)
気にとめない。気にかけない。
「周囲の説得も意に介さない」
意に適う(いにかなう)
心にかなう。気に入る。また、思うつぼにはまる。
犬の遠吠え(いぬのとおぼえ)
(弱い犬は遠くから人に吠えかかるところから)臆病者がかげでから威張りしたり、他人の陰口をたたいたりすることのたとえ。
犬も食わない(いぬもくわない)
(なんでも食べるはずの犬でさえ食べないというところから)非常にいやがられること、人から全く相手にされないことのたとえ。
「夫婦げんかは犬も食わない」
命の親(いのちのおや)
命を助けてくれた恩人。また、命をささえてくれるもの。
命の洗濯(いのちのせんたく)
平生の苦労から解放されて、命がのびるほど思うぞんぶんに楽しむこと。
「高原でゆっくり命の洗濯をした」
命の綱(いのちのつな)
人がこの世に生き長らえるのを、舟が綱でつながれているのにたとえた表現。生きてゆくのにもっとも頼みとなるもの。
「命の綱と頼む人物」
命を懸ける(いのちをかける)
物事に全生命を打ち込む。命がけで物事をする。また、生死を任せる。命を張る。
茨の道(いばらのみち)
(茨の生えている道の意から)直面する困難な状況や苦難に満ちた人生のたとえ。
意表に出る(いひょうにでる)
相手が考えていないこと、予想外のことをする。
意表を衝く(いひょうをつく)
予想外のこと、考えてもいなかったことをしかけて驚かせる。
燻し銀(いぶしぎん)
(硫黄でいぶした、くすんで渋みのある銀の意から)一見地味であるが、実際は力があったり、魅力があったりするもの。
「いぶし銀の演技」
今や遅し(いまやおそし)
今か今かと待ちかねる気持や状態をいう。
「今や遅しと待ちわびる」
今わの際(いまわのきわ)
臨終の時。死にぎわ。最期の時。
芋蔓式(いもづるしき)
ひとつのことから、それに関連する多くのことが次々に現われること。また、次から次へと手づるを求めること。
「芋蔓式に検挙される」
芋を洗うよう(いもをあらうよう)
(芋をたくさん桶に入れて交差した棒でかきまぜて洗うさまから)人出が多く混みあっているさまのたとえ。
いやがうえにも(いやがうえにも)
あるがうえにますます。すでにそうであるうえにいよいよ。なおそのうえに。
「いやがうえにも興奮が高まった」
否が応でも(いやがおうでも)
好むと好まないとにかかわらず。承知でも不承知でも。なんとしてでも。否でも応でも。
嫌気が差す(いやけがさす)
いやだと思う気持が起こる。いやになる。
「人間関係に嫌気がさす」
いやというほど(いやというほど)
いやになるほどひどく。はなはだしく。
「自慢話をいやというほど聞かされる」
入れ代わり立ち代わり(いれかわりたちかわり)
次から次へと、ひっきりなしに人が現われるさま。多くのものが次々に来るさま。
色眼鏡で見る(いろめがねでみる)
先入観や偏見をもって物事を見る。
色めき立つ(いろめきたつ)
緊張・興奮した様子がみなぎる。
「思わぬ発言に一同色めき立つ」
色目を使う(いろめをつかう)
(1)異性の気を引くような目つきをする。
(2)ある物事に関心があるという態度をとる。
「政界に色目を使う」
色を失う(いろをうしなう)
驚き恐れて顔色が青くなる。意外な事態にどうしてよいかわからなくなる。
色を付ける(いろをつける)
物事の扱いで相手に温情を示す。祝儀を出す、値を引く、景品を付けるなどにいう。
「報酬に多少色を付ける」
色を作す(いろをなす)
顔色を変えて怒る。
「色をなして詰め寄る」
意を決する(いをけっする)
思い切って決心する。心を決める。
「意を決して忠告する」
意を強くする(いをつよくする)
心強く思う。自信を持つ。
「お話をうかがって意を強くいたしました」
異を唱える(いをとなえる)
別の意見を出す。異議を唱える。
「改革案に異を唱える人は、一人もいなかった」
因果を含める(いんがをふくめる)
(原因結果の道理を言い聞かせる意から)やむを得ない事情を説明してあきらめさせる。
「因果を含めて身をひかせる」
引導を渡す(いんどうをわたす)
(葬式に際し、導師の僧が棺の前で、死者がさとりを開くよう説ききかせる意から)相手に最終的な宣告をしてあきらめさせる。
陰に籠る(いんにこもる)
(1)表に現われず心のうちにこもっている。
(2)陰気な様子をいう。
「陰にこもった声」
【う】
上を下へ(うえをしたへ)
(「上を下へ返す」の略。上にあるべきものを下にする意から)混乱してごった返すさま。上を下。
「上を下への大騒ぎ」
浮かぬ顔(うかぬかお)
心配事などで気分が晴れないような顔つき。
浮き足立つ(うきあしだつ)
(不安や不満を感じて)逃げ出しそうになる。逃げ腰になる。また、そわそわして落ち着かなくなる。
浮き名を流す(うきなをながす)
当人にとっていやなつらい評判を世間に広める。また、艶聞を世間に広める。
憂き身を窶す(うきみをやつす)
労苦もいやがることなく、身のやせるほど熱中する。一所懸命にうちこむ。
「芸事に憂き身をやつす」
受けがいい(うけがいい)
人から好意をもたれている。評判がいい。
受けて立つ(うけてたつ)
攻撃や非難を受けて、それに応じた反撃や反論をする。また、相手の挑戦などに応じる。
有卦に入る(うけにいる)
(「有卦」は陰陽道で吉にあたる年まわりのこと)よい運命にめぐり合わせる。幸運をつかむ。調子にのる。
烏合の衆(うごうのしゅう)
カラスの群れのように、規律も統一もなく寄り集まっている群集。
動きが取れない(うごきがとれない)
制約があって、思うようにふるまうことができない。悪い状態から抜け出ることができない。
雨後の筍(うごのたけのこ)
(雨が降ったあとには、筍が続々と生えるというところから)物事が次々に現われたり起こったりすることのたとえ。
胡散くさい(うさんくさい)
なんとなく疑わしい。どことなく怪しくて気が許せない。
「胡散くさい話」
牛の歩み(うしのあゆみ)
進みぐあいの遅いことのたとえ。牛歩(ぎゅうほ)
後ろ髪を引かれる(うしろがみをひかれる)
あとに心が残って、先へ進むことができない。未練が残って、きっぱりと思い切ることができない。
後ろ指をさされる(うしろゆびをさされる)
陰で悪口を言われる。人から非難がましい目で見られる。
後ろを見せる(うしろをみせる)
敵に背を見せて逃げる。負けて逃げる。また、相手に弱みを見せる。
薄紙を剥ぐよう(うすがみをはぐよう)
物事が少しずつはっきりしていくさま。特に、病状が少しずつ日ごとによくなるさまにいう。
「手術も無事に終わり、その後は薄紙をはぐように回復していった」
嘘八百を並べる(うそはっぴゃくをならべる)
(「八百」は、数の多いこと、程度のはなはだしいことにいう)まったくのでたらめばかりをいう。
が上がらない(うだつがあがらない)
いつも上から押えつけられて、出世ができない。運が悪くてよい境遇に恵まれない。
現を抜かす(うつつをぬかす)
ある物事に心を奪われて、夢中になる。気をとられてうっとりとなる。
腕が上がる(うでがあがる)
技術が進歩する。上達する。手が上がる。腕を上げる。
腕が立つ(うでがたつ)
武芸や技能を人一倍発揮できる能力を持つ。
腕が鳴る(うでがなる)
自分の腕力、技能を十分に発揮したくてむずむずする。
腕に覚えがある(うでにおぼえがある)
自分がかつて身につけた技量に自信がある。
腕に縒りをかける(うでによりをかける)
十分に腕前を発揮しようとして意気ごむ。
打てば響く(うてばひびく)
働きかけるとすぐ反応を示す。ただちに反響があらわれる。
腕を買われる(うでをかわれる)
腕力・技量などの優秀さが他人に認められ、重く用いられるようになる。
腕を拱く(うでをこまねく)
(腕組みをする意から)他人が、自分の助けを必要としているのに、何もせず、はたでようすを見ている。傍観する。手をこまねく。
腕を振るう(うでをふるう)
能力や技量を十分に発揮する。
腕を磨く(うでをみがく)
努力して武芸や技能などの上達をはかる。
鰻の寝床(うなぎのねどこ)
間口が狭くて奥行の長い建物、場所などをたとえていう語。
鵜呑みにする(うのみにする)
(鵜が魚を丸呑みにするところから)物事を十分に理解、判断しないで、そのままとり入れてしまうこと。
「噂話をそのまま鵜呑みにする」
旨い汁を吸う(うまいしるをすう)
自分は骨を折らないで、利益だけにありつく。
馬が合う(うまがあう)
(馬とその乗り手の呼吸がぴったり合うの意からの語か)気が合う。しっくりとゆく。意気投合する。
海の物とも山の物ともつかない(うみのものともやまのものともつかない)
どちらとも決定しかねることや、どういう物であるか、また、どうなっていくのかわからないことなどのたとえ。
有無を言わせず(うむをいわせず)
承知、不承知の答えもさせない。いやおうなしに。むりやりに。
恨みを買う(うらみをかう)
ある事を言ったりしたりして人に恨まれる。
裏目に出る(うらめにでる)
よいようにと思ってやったことが予期に反して不都合な結果になる。
「計画は裏目に出た」
裏をかく(うらをかく)
予想外の行動に出て相手の計略をだしぬく。裏を食わす。
「警備の裏をかく犯行」
裏を取る(うらをとる)
証拠を捜して、供述などの真偽を明らかにする。裏付けを取る。
瓜二つ(うりふたつ)
二つに割った瓜のように、顔かたちがよく似ているさま。
上手を行く(うわてをいく)
才知、技量、性格などの程度が、ある人以上である。よい面についても悪い面についてもいう。
上の空(うわのそら)
心がうきうきして落ち着かないさま。よそに心が奪われて、あることに注意が向かないこと。
上前を撥ねる(うわまえをはねる)
取り次いで支払う代金の一部をかすめ取る。ぴんはねをする。
「給料の上前をはねる」
運が開ける(うんがひらける)
状況が好転する。事態が望ましい方向になる。
蘊蓄を傾ける(うんちくをかたむける)
自分の学識、技能のありったけを発揮する。
「ワインについての蘊蓄を傾ける」
雲泥の差(うんでいのさ)
天と地ほどの隔たり。非常に大きな違い。
うんともすんとも(うんともすんとも)
(「うん」は返事のことば。「すん」は「うん」に語呂(ごろ)を合わせたもの。下に打消の表現を伴って用いる)なんの一言も。いいともだめだとも。
「うんともすんとも返事がない」
運の尽き(うんのつき)
人の命運が尽きて最後の時が来たこと。また、そのことを事実として示しているような事柄。
「見つかったら運の尽きだ」
【え】
英気を養う(えいきをやしなう)
次の活動に備えて気力や体力の充実を図る。
得体が知れない(えたいがしれない)
本当の姿がわからない。あやしげで正体不明である。
「えたいが知れない人物」
悦に入る(えつにいる)
物事がうまくいって、心うれしい状態になる。
「ひとりで悦に入っている」
得も言われぬ(えもいわれぬ)
なんとも言い表しようのないほど素晴らしい。
「えも言われぬ趣がある」
選ぶ所がない(えらぶところがない)
同じである。区別できない。
「両者は能力の点において選ぶ所がない」
襟を正す(えりをただす)
姿勢や服装をきちんと直す。また、気持を引き締めて物事に当たるという態度を示す。
縁起でもない(えんぎでもない)
(よい前兆でもない意から)不吉なものを感じてさい先が悪い。
縁起を担ぐ(えんぎをかつぐ)
(「御幣(ごへい)を担ぐ」という表現の類推からか)ある物事に対して、それがいい前兆であるか不吉な前兆であるかを気にする。
煙幕を張る(えんまくをはる)
(煙をまき散らして味方の行動を隠すことから)真意や行動をかくすための言動をする。
縁もゆかりもない(えんもゆかりもない)
(類似の意味をもった「縁」「ゆかり」を重ねて強調した表現)なんのつながりも関係もない。
「縁もゆかりもない人」
【お】
追い討ちを掛ける(おいうちをかける)
弱っている相手をやりこめて、さらに厳しい状態に追いやる。
「長引く不況に追い討ちをかける銀行の破綻」
往生際が悪い(おうじょうぎわがわるい)
悪いことをして追いつめられた時、その非を素直に認めようとしない。
応接に暇がない(おうせつにいとまがない)
(応接に追われ通しで休む暇もないということから)物事が次から次へ立て続けに起こって非常に忙しいさま。
王手を掛ける(おうてをかける)
成功、成就が目の前に迫っている状態になる。
「優勝に王手をかける」
大きなお世話(おおきなおせわ)
大変おせっかいだ。よけいなおせっかい。大きにお世話。他人の口出しをわずらわしく思って断わるときにいう。
大きな顔をする(おおきなかおをする)
無遠慮でいばった態度をとる。また、悪いことをしながら平気な態度をとる。
大きな口をきく(おおきなくちをきく)
身のほどをわきまえずに偉そうなことを言う。
大台に乗る(おおだいにのる)
(「大台」は株式市場で100円を単位とする値段の区切りを示した呼称)金額や数量が大きな境目を越える。
「貯金が一千万の大台に乗る」
大手を振る(おおでをふる)
遠慮したりせず、おおっぴらに堂々とふるまう。
大鉈を振るう(おおなたをふるう)
思い切って除くべきものを除いて処理する。
「予算削減に大なたを振るう」
大船に乗る(おおぶねにのる)
信頼できるものに任せたり、危険な状況がなくなったりして安心できる状態になることのたとえにいう。
大風呂敷を広げる(おおぶろしきをひろげる)
現実の状況に釣り合わないような誇大なことをいったり計画したりする。
大目玉を食う(おおめだまをくう)
ひどく叱られる。
大目に見る(おおめにみる)
(大ざっぱに見積もりをする、こまかなところは見ないという意から)寛大に物事を処理する。きびしくとがめないで、ゆるやかに扱う。
公にする(おおやけにする)
世間一般に知らせる。公表したり、書物などを著述したりして世に出す。
お株を奪う(おかぶをうばう)
ある人が得意とするわざを他の者がとってかわってする。
奥の手を出す(おくのてをだす)
とっておきの手段、方法を用いる。
「難問解決のために奥の手を出す」
奥歯に物が挟まったよう(おくばにものがはさまったよう)
自分の思うことをはっきりと言い出さない感じであるさま。
「奥歯に物が挟まったような説明」
にも出さない(おくびにもださない)
(「おくび」はげっぷの意)心に深く隠していて、口に出しては言わず、それらしい様子も見せないことのたとえ。
臆病風に吹かれる(おくびょうかぜにふかれる)
臆病な心が起こる。こわくなる。おじけづく。
「臆病風に吹かれたのか約束の場所に現れなかった」
臆面もなく(おくめんもなく)
恥ずかしがったり、遠慮したりする様子がない。ずうずうしい。
「臆面もなく嘘をつく」
後れを取る(おくれをとる)
他より劣る。負ける。先を越される。
「エレクトロニクスの分野で後れをとる」
おけらになる(おけらになる)
(虫の螻蛄(おけら)が前脚を広げた恰好をお手上げの状態に見たてたものとも、植物のおけらは根の皮をはいで薬用にすることから、身の皮をはがれる意にかけていったものともいう)賭け事に負けたり、あれこれ金を使ったりして、所持金がすっかりなくなる。無一文になる。
お先棒を担ぐ(おさきぼうをかつぐ)
(「お先棒」は二人で物を担ぐとき、棒の前方を担ぐ者。転じて、人の手先になること)軽々しく人の手先となって、行動する。
お先真っ暗(おさきまっくら)
先の見通しがまったくつかないさま。
お里が知れる(おさとがしれる)
ことばづかいや動作などから、その人の育ちや経歴がわかる。
押しが強い(おしがつよい)
どこまでも自分の意見や希望を通そうとする根気がある。転じて、ずうずうしい。
押しも押されもせぬ(おしもおされもせぬ)
実力があって、他人に左右されたり圧倒されたりしない。堂々として立派だ。押しも押されもしない。
お釈迦になる(おしゃかになる)
だめになる。使い物にならなくなる。また、失敗して元も子もなくなる。
おじゃんになる(おじゃんになる)
(「おじゃん」は火事が鎮火したことを知らせる半鐘の音からという)物事が不成功に終わる。駄目(だめ)になる。
「計画がおじゃんになる」
押すな押すな(おすなおすな)
人が大勢押しかけて混雑しているさまにいう。
「押すな押すなの大盛況」
お高くとまる(おたかくとまる)
人を見くだした態度をとる。仲間に加わらないでとりすましている。
お為ごかし(おためごかし)
表面は相手のためにするように見せかけて、その実は自分の利益をはかること。
「おためごかしの親切はやめろ」
お茶を濁す(おちゃをにごす)
(お茶の作法を知らない人が、その場を適当にごまかすことからか)いい加減な処置をして、その場をごまかしつくろう。
お茶を挽く(おちゃをひく)
(客のつかなかった遊女が茶臼で茶葉を挽かされたことから)芸妓や娼妓などがお客がなくて暇なことにいう。
乙に澄ます(おつにすます)
妙に気取る。
音に聞く(おとにきく)
人づてに聞く。うわさに聞く。また、世評が高い。有名である。
「音に聞く大悪党」
同じ釜の飯を食う(おなじかまのめしをくう)
仲間といっしょに生活し、苦楽を共にする。
「彼とは同じ釜の飯を食った仲だ」
鬼の首を取ったよう(おにのくびをとったよう)
強い鬼を討ち取ることから、大きいてがらを立てたように得意になるようす。
尾羽打ち枯らす(おはうちからす)
(鷹の尾羽の傷ついたみすぼらしいさまから)おちぶれてみすぼらしい姿になる。零落する。
お鉢が回る(おはちがまわる)
(人が多い食事の席で、飯櫃(めしびつ)が自分のところへまわってくる意からという)順番がまわってくる。
お払い箱になる(おはらいばこになる)
(「お払い箱」は、本来「お祓い箱」で、昔、伊勢神宮から毎年配られたお祓いの札などを入れる箱のこと。毎年新しいお札が来て古いお札は不用となるところから「祓い」を「払い」にかけていったもの)使用人などが解雇されること。また、不用品として捨てられること。
お百度を踏む(おひゃくどをふむ)
(祈願のためにお百度参りをする意から)頼みを聞いてもらうために、同じ人や場所を何度も訪問する。
尾鰭が付く(おひれがつく)
(「尾ひれ」は、本体となるものに付帯している部分の意)事実以上に種々のことが付け加わる。
「話に尾ひれが付く」
おべっかを使う(おべっかをつかう)
ごきげんをとるために、心にもないおせじを言う。おべんちゃらをいう。
お目玉を食う(おめだまをくう)
叱られる。
「先生からお目玉を食う」
お目に掛ける(おめにかける)
お見せする。御覧に入れる。
思いも寄らない(おもいもよらない)
思いのほかだ。意外である。思いもかけない。
「思いも寄らない出来事」
思いを込める(おもいをこめる)
自分の気持ちを入れる。思いを入れる。
「万感の思いを込める」
思いを馳せる(おもいをはせる)
遠く離れているものに自分の気持を向ける。おもいやる。
「将来に思いを馳せる」
思いを晴らす(おもいをはらす)
実現しようと心に思っていたことをやり遂げる。思うようにならなかったことが、やっと遂げられて気持ちがさっぱりする。
「積年の思いを晴らす」
思う壺(おもうつぼ)
(「壺」は、博打でさいころを入れて振るもの)予期した状態。目的としたところ。また、期待したとおりになること。
「敵の思う壺にはまる」
重きを置く(おもきをおく)
重大なことと考える。貴重なものと思う。重く見る。重視する。
「学歴よりも人柄に重きを置く」
重きをなす(おもきをなす)
価値のあるもの、立派なものと認められる。重んじられる。
「文壇で重きをなしている人」
重荷を下ろす(おもにをおろす)
重大な責任、義務を果たして負担をまぬがれる。心配事がなくなってほっとする。肩の荷を下ろす。
お安くない(おやすくない)
男女が特別の関係にあるさま。また、その仲のよいのをひやかしていう語。
親の臑をかじる(おやのすねをかじる)
子が独立して生活できず、親に養ってもらう。
親の欲目(おやのよくめ)
親はわが子がかわいいため、実際以上にひいき目に見ること。
「親の欲目でみても上手とはいえない」
及び腰になる(およびごしになる)
何かに取り組む姿勢に自信がなくておどおどする。また、あいまいな態度をとる。
「結婚に及び腰になる」
及びもつかない(およびもつかない)
とてもかなわない。とうてい及ばない。
「彼の力には及びもつかない」
折り紙付き(おりがみつき)
(鑑定結果を証明する折紙が付いている意から)事物の価値や人物の力量、資格などが、保証するに足りるという定評のあること。また、武芸や技芸などで、一定の資格を得た人。悪い意味にもいうことがある。
「折り紙付きの才媛」
「折り紙付きの悪(わる)
尾を引く(おをひく)
物事が過ぎ去ってもその名残りがあとまで続く。後に影響を及ぼす。
「前日の酒が尾を引く」
音頭を取る(おんどをとる)
(大勢で唱和するときに、調子を整えるために最初に声を出して調子を示す意から)他の人の先に立って物事をする。首唱者となる。
「誘致の音頭を取る」
恩に着せる(おんにきせる)
他人に恩を施したことを理由にほこったり、相手にありがたがらせるような態度をとったりする。
恩に着る(おんにきる)
他人から恩をうけてありがたく思う。恩に受ける。
恩を売る(おんをうる)
後々の自分の利益を考えて、他に恩を施しておく。

か行


【か】
凱歌をあげる(がいかをあげる)
(勝利を祝う歌をうたう意から)勝利の喜びの歓声をあげる。勝ちいくさを祝う。転じて、勝利を得る。
灰燼に帰す(かいじんにきす)
(「灰燼」は、焼け尽きた灰と燃えさしの意)焼けて原形をとどめないほどになる。あとかたもなく燃え尽きる。灰燼と化す。
会心の作(かいしんのさく)
自分で満足がいく内容に仕上がった作品。
快刀乱麻を断つ(かいとうらんまをたつ)
(もつれた麻をよく切れる刀で断ち切る意から)もつれた物事、紛糾した物事を、みごとに処理することのたとえ。快刀乱麻。
蛙の子は蛙(かえるのこはかえる)
子は親と同じ道を歩むものだ、また、凡人の子はやはり凡人である、などの意。
顔が売れる(かおがうれる)
世間に広く知られるようになる。有名になる。顔ききになる。
顔が利く(かおがきく)
権力などをもっていて、その人が出ることによって無理な事でも通る。また、そのような存在である。
「あの店には顔が利く」
顔が揃う(かおがそろう)
会合や催しなどに、予定された人たちが集まる。顔ぶれがそろう。
顔が立つ(かおがたつ)
世間に対する名誉が保たれる。面目がたつ。
「引き受けてくれれば私の顔も立つ」
顔が潰れる(かおがつぶれる)
世間に対する名誉を失う。面目を失う。
顔が広い(かおがひろい)
世間に知り合いが多い。
顔から火が出る(かおからひがでる)
恥ずかしくて顔がまっかになるさまにいう。
顔に泥を塗る(かおにどろをぬる)
名誉を傷つける。面目を失わせる。恥をかかせる。顔をよごす。
「親の顔に泥を塗る」
顔向けができない(かおむけができない)
面目なくて顔を向けることができない。合わせる顔がない。
顔を合わせる(かおをあわせる)
(1)顔を向き合わせる。会う。
「彼とは久しく顔を合わせていない」
(2)演劇、映画などで共演するようになる。
「大物俳優が顔を合わせる話題のドラマ」
(3)対抗試合などで競技を争う組合せとなる。
「強豪同士が顔を合わせる」
顔を売る(かおをうる)
世間に広く知られるようになる。
顔を曇らせる(かおをくもらせる)
心配ごとなどで表情が暗くなる。
顔を出す(かおをだす)
(1)姿を見せる。挨拶などのために人の家を訪ねる。会合などに出席する。顔を見せる。
「パーティーに顔を出す」
(2)かくれていたある物が、その表面や一部分をあらわす。顔を見せる。
「久しぶりに太陽が顔を出す」
顔を立てる(かおをたてる)
その人の名誉を保たせる。その人の面目が保たれるようにする。
「先輩の顔を立てる」
顔を潰す(かおをつぶす)
その人の名誉を傷つける。面目を失わせる。
顔を綻ばせる(かおをほころばせる)
うれしくて思わず顔をにこやかにする。
顔を見せる(かおをみせる)
その場に姿を現す。また、訪問する。
顔を汚す(かおをよごす)
人に面目を失わせたり恥をかかせたりする。顔に泥を塗る。
我が強い(ががつよい)
他のことをあまり考えないで、自分の思いを通そうとする気持が強い。意地っぱりである。
影が薄い(かげがうすい)
(1)何となく元気がなく、衰えた様子である。
「しょんぼりしてて、影が薄い」
(2)目立たない存在になっている。
「子どものころは影が薄い存在だった」
掛け替えのない(かけがえのない)
代わりになるもののない。二つとないただ一つの。二人といないただ一人の。大事な。
「かけがえのない人を亡くした」
陰になり日向になり(かげになりひなたになり)
人に知られない面においても、表立った面においても。絶えずかばい守るような場合に用いることが多い。陰(いん)に陽(よう)に。
影も形もない(かげもかたちもない)
何一つ形跡をとどめない。あとかたもない。
影を落とす(かげをおとす)
よくない影響を及ぼす。先行きを暗くさせる。
影を潜める(かげをひそめる)
表立った所から姿を隠す。また、比喩的に、物事が表面から消える。
風上にも置けない(かざかみにもおけない)
(風上に置くと臭気がひどくて困るというところから)卑劣な人間を憎しみののしっていう語。面よごしである。
嵩に懸かる(かさにかかる)
(「嵩」は、威厳。勢いの意)
(1)優勢なのに乗じて攻めかかる。勢いにのって物事をする。
「かさに懸かって攻めたてる」
(2)相手を威圧するような態度をとる。高圧的に出る。
「かさに懸かった言い方をする」
笠に着る(かさにきる)
権勢のある者をたのんで威張る。また、自分の側の権威を利用して他人に圧力を加える。
「親の威勢を笠に着る」
風向きが悪い(かざむきがわるい)
(1)事のなりゆきが不利、不都合である。形勢が悪い。
「賛成派の風向きが悪くなる」
(2)人の機嫌が悪い。
「今日は朝から部長の風向きが悪いようだ」
華燭の典(かしょくのてん)
(「華燭」は、はなやかな灯火の意)結婚式の美称。
「華燭の典を挙げる」
河岸を変える(かしをかえる)
事を行う場所を変える。飲食したり遊んだりする場所を変えるのにいう。
舵を取る(かじをとる)
一定の方向に、物事をうまく運んでいく。多くの人を導いて、方向を誤らせないようにする。
「経営の舵を取る」
風の便り(かぜのたより)
どこから伝わって来たとも分らない噂。風聞。
「結婚したことを風の便りに聞く」
風の吹き回し(かぜのふきまわし)
その時の模様次第で、一定しないことにいう。物事のはずみ、加減、具合。拍子。
「どういう風の吹き回しかひょっこり顔を見せた」
片が付く(かたがつく)
物事の処理が終わる。落着する。きまりがつく。
固唾を呑む(かたずをのむ)
(「固唾」は、成り行きを心配して、緊張する時などに口中にたまるつばの意)事の成り行きを見守って緊張している様子にいう。
「固唾をのんで試合を見守る」
肩で息をする(かたでいきをする)
肩を上下に動かして苦しそうに呼吸する。
肩で風を切る(かたでかぜをきる)
肩をそばだてて大威張りで歩く。威風を示したり、権勢を誇ったりするさまにいう。
肩に掛かる(かたにかかる)
果たすべき責任としてその身にかぶさる。責任を負う。
型に嵌まる(かたにはまる)
一定の枠にはまって個性がない。決まりきっていて新しさがない。
「型にはまった挨拶」
肩の荷が下りる(かたのにがおりる)
責任や負担がなくなる。
「仕事が一段落して肩の荷が下りた」
肩肘張る(かたひじはる)
堅苦しい態度をとったり、威張ったり、気負ったりする。肩肘を怒らす。
片棒を担ぐ(かたぼうをかつぐ)
(駕籠(かご)の、先棒か後棒かのどちらか一方をかつぐということから)ある企てや仕事に加わってその一部を受け持って協力する。
「悪事の片棒を担ぐ」
肩身が狭い(かたみがせまい)
他の人や世間に対して面目が立たない。世間体をはばかる気持である。
語るに落ちる(かたるにおちる)
(「問うに落ちず語るに落ちる」の略)問いつめられると用心してなかなか白状しないことも、自分勝手にしゃべらせると、人は案外白状してしまうものである。話やその他の表現の内に、隠している本心がつい出てしまう。
肩を怒らす(かたをいからす)
肩を高く立てて、威勢を示す。高ぶった態度をとるさまにいう。
肩を入れる(かたをいれる)
(担ぐために、その物の下に肩を当てる意から)熱心に応援する。ひいきして助ける。肩入れする。
肩を落とす(かたをおとす)
力が抜け肩が垂れ下がったようになる。気力を失ったり落胆したりするさまなどにいう。
肩を貸す(かたをかす)
(物を担ぐ手助けをする意から)援助や手助けをする。
肩を竦める(かたをすくめる)
肩をちぢませる。おそれ入ったり、肩身せまく思ったり、とぼけたりするさまにいう。
肩を窄める(かたをすぼめる)
肩をちぢめる。寒さを感じたり、おそれ入ったり、肩身せまく思ったりするさまにいう。肩をつぼめる。
肩を並べる(かたをならべる)
(1)並んで立つ。並んで歩く。
「商社や銀行が肩を並べるオフィス街」
(2)対等の位置に立つ。同じような勢いや力をもつ。
「肩を並べる者のない天才」
肩を持つ(かたをもつ)
味方をする。ひいきする。肩を入れる。
「弱い方の肩を持つ」
勝ちに乗じる(かちにじょうじる)
勝った勢いに乗る。勝ちに乗る。
活を入れる(かつをいれる)
(柔道などの術で、気絶した人の急所をついたりもんだりして息を吹き返させる意から)活発でないもの、衰弱したものなどに、刺激を与えて元気づける。
「打順を組みかえてチームに活を入れる」
合点がいかない(がてんがいかない)
物事の事情がよく理解できない。納得できない。
角が立つ(かどがたつ)
理屈っぽい言い方やふるまいをして、事態がおだやかでなくなる。物事が荒立つ。
「角が立つ言い方」
角が取れる(かどがとれる)
世慣れて人柄が円満になる。まるくなる。
金が物を言う(かねがものをいう)
金銭がことばや道理以上に威力を発揮することにいう。
「金が物を言う世の中だ」
金に飽かす(かねにあかす)
たくさんある金銭を惜しまず使って事をする。金に糸目を付けない。
金に糸目を付けない(かねにいとめをつけない)
(「糸目」は、凧(たこ)が全面に平均した風を受けるよう引きしめる糸で、それを付けない凧は無制御の状態となるところから)金銭を惜しみなく使うさまを言う。金に飽かす。
金に目が眩む(かねにめがくらむ)
金銭への欲のため、ものの道理や善悪などを考えて行動する余裕がなくなる。
蚊の鳴くような声(かのなくようなこえ)
聞きとれないようなかすかな声。小さくて弱々しい声。
株が上がる(かぶがあがる)
その人、物の評価が高くなる。
兜を脱ぐ(かぶとをぬぐ)
(かぶっていた兜を取るのは、敵に降伏することの意思表示とされることから)相手に降参する。参る。
鎌を掛ける(かまをかける)
(鎌で刈るとき、その刃を草などに引っかけるようにするところから)自分が知りたいと思っていることを、相手が不用意にしゃべるように、たくみにさそいをかける。
仮面を被る(かめんをかぶる)
本心、本性をかくしていつわりの姿や態度をつくろう。
可も無く不可も無い(かもなくふかもない)
特によくもなく、また、悪くもない。欠点もない代わりに、取り立てていうほどの長所もない。平凡である。
蚊帳の外(かやのそと)
仲間はずれにされていること。また、事情を知らされない部外者の立場。
痒い所に手が届く(かゆいところにてがとどく)
細かい所まで気がついて十分に配慮が行き届く。他人に対する世話、注意などが、その望む所へ隅々までよく行き届く。
烏の行水(からすのぎょうずい)
風呂に入って、ゆっくり洗うこともしないで、すぐに出てしまうことのたとえ。
体を張る(からだをはる)
一身をなげうって行動する。命がけで行動する。
借りてきた猫(かりてきたねこ)
ふだんとは違って、たいへんおとなしくしている様子をいう。
我を通す(がをとおす)
自分の思うことを押し通す。我を張る。
我を張る(がをはる)
強く主張して、人の言う事をきかない。固執する。我を通す。
感極まる(かんきわまる)
この上もなく感動する。非常に感激する。
雁首を揃える(がんくびをそろえる)
(「雁首」は、人の首、頭を言う俗語)何人かの者がいっしょにそろって行動する。
間隙を縫う(かんげきをぬう)
物事のすきまや合間を利用して何かを行う。
眼光紙背に徹す(がんこうしはいにてっす)
(書かれている紙の裏まで見とおすの意から)書物を読んで、字句の解釈だけでなく、その深意までもつかみとる。読解力がするどいことにいう。眼光紙背に徹(とお)る。
閑古鳥が鳴く(かんこどりがなく)
商売がはやらなくて暇なさま。
顔色を失う(がんしょくをうしなう)
恐れ、驚き、羞恥などのために平常の顔色が失われる。顔の色が青くなる。
眼中に無い(がんちゅうにない)
心にとめない。意識しない。問題にしない。眼中に置かない。眼中に入れない。
噛んで含める(かんでふくめる)
食物が消化しやすいように噛んで口の中へ入れてやるのと同じように、よく理解できるよう丁寧に言い聞かせる。
癇に障る(かんにさわる)
腹だたしく思う。気に入らない。癪(しゃく)に障る。
堪忍袋の緒が切れる(かんにんぶくろのおがきれる)
もうこれ以上がまんしていることができなくなるの意。こらえにこらえた怒りが爆発して、行動にあらわす。
間、髪をいれず(かんはつをいれず)
間に髪の毛一本さえも入れる余地がない。転じて、ある事態が起きたときにすかさず対応するさま。
看板倒れ(かんばんだおれ)
表面だけで実質が伴わないこと。また、そのもの。みかけだおし。
【き】
気合いを入れる(きあいをいれる)
(1)物事に対処するに当たって、精神を集中し、力を込める。
「気合いを入れて練習する」
(2)人を元気づける。励まし、奮い立たせる。
「新入部員に気合いを入れる」
黄色い声(きいろいこえ)
女の人や子供の、かん高い声。
気炎を上げる(きえんをあげる)
勢いのよいことを言う。また、意気盛んに議論をする。気炎を吐く。
気がある(きがある)
(1)ある物事に関心を持っている。やってみようとする気持ちがある。
「仕事をする気があるなら連絡をください」
(2)恋心をいだいている。
「どうも彼女に気があるらしい」
気が多い(きがおおい)
心が定まらないで、移り気であるさま。いろいろな物事に興味をもつさまである。うわきであるさま。
気が置けない(きがおけない)
遠慮したりしないで気楽につきあえる。気兼ねがない。気の置けない。
〔補注〕「気が許せない」「油断できない」の意味で用いるのは誤り。
気が重い(きがおもい)
物事をするのにあまり気が進まない。
「考えただけでも気が重い」
気が利く(きがきく)
(1)物事をするのに、細かなところまでよく気がつく、心が行きとどく、気転がきく。
「若いのに気が利くわね」
(2)しゃれている。いきである。
「気が利いた贈り物」
気が気でない(きがきでない)
ひどく気がかりである。気にかかって心が落ち着かない。
「手術の結果が心配で気が気でない」
機が熟する(きがじゅくする)
物事をはじめるのにこの上なくよい時期になる。
「天下統一への機が熟する」
気が進まない(きがすすまない)
何かの刺激を受けても、気分がひかれない。気乗りがしない。
気が済む(きがすむ)
気持ちがおさまる。気分が落ち着く。満足する。気がかりが取り除かれる。
気が急く(きがせく)
物事を早く実行したくて心が落ち着かない。気があせる。
気が立つ(きがたつ)
心がいらだつ。興奮する。
気が散る(きがちる)
気持が一つに集中しないで、いろいろなことに心がひかれる。注意が散漫になる。
気が付く(きがつく)
(1)考えつく。心づく。気づく。かんづく。
「間違いに気が付く」
(2)細かなところに注意が行きわたる。よく気がまわる。配慮が行きとどく。
「細かいところにまで気が付く」
(3)息を吹きかえす。正気(しょうき)にかえる。
「気が付くとベッドに寝かされていた」
気が強い(きがつよい)
強気(つよき)である。強情(ごうじょう)である。
気が遠くなる(きがとおくなる)
意識を失う。正気(しょうき)を失う。
「気が遠くなるような広大な計画」
気が咎める(きがとがめる)
心の中にやましさを感じる。何となく気おくれがする。
「人の日記を読んでしまい気が咎める」
気が長い(きがながい)
気持がのんびりしていて、せかせかしない。気長である。
気が抜ける(きがぬける)
(1)ぼんやりする。また、拍子ぬけがする。
「話の腰を折られて気が抜けた」
(2)本来の香り、匂い、味などがなくなる。多く、ビール、ウイスキーなどの酒類やサイダーなどについて用いられる。
「気が抜けたビール」
気が乗らない(きがのらない)
興味や意欲がわかず、やる気にならない。気が進まない。
「悪事に荷担するようで気が乗らない」
気が張る(きがはる)
心が緊張する。気持にゆとりがない。
気が引ける(きがひける)
身にやましい感じがして気おくれがする。遠慮される。臆(おく)する。
気がふさぐ(きがふさぐ)
気分が重くはれない。憂鬱(ゆううつ)になる。
気が紛れる(きがまぎれる)
ふさいだ気分などが他のことをすることにより忘れられる。
気が回る(きがまわる)
(1)細かなところに気がつく。注意がゆきとどく。
「彼はよく気が回る人だ」
(2)いろいろと推測する。ひがんで悪く考える。邪推する。
「余計なことまで気が回るたち」
気が短い(きがみじかい)
先を急いで落ち着きがない。短気である。
気が滅入る(きがめいる)
考えこんで憂鬱(ゆううつ)な気分になる。意気消沈する。
気が揉める(きがもめる)
心配で気持が落ち着かない。もどかしくいらいらする。やきもきする。
聞き耳を立てる(ききみみをたてる)
注意を集中して聞こうとする。聞こうとして、耳を澄ます。
気位が高い(きぐらいがたかい)
他人とくらべて自分の方がすぐれていると考え、その品位を保とうとする気持ちが強い。
機嫌を取る(きげんをとる)
人の気分をなぐさめやわらげるようにする。現代では、人が喜ぶような働きかけをすることをいう。
机上の空論(きじょうのくうろん)
机の上の考えだけで、実際には合わない意見。実際には役に立たない考え。
機先を制する(きせんをせいする)
相手が事を行なう直前に行動を起こし、相手の計画、気勢を抑える。
切っても切れない(きってもきれない)
いくら切ろうとしても切ることができない。強いつながり、深い関係があることにいう。切っても切れぬ。
狐につままれる(きつねにつままれる)
狐にばかされたときのように、前後の事情がさっぱりわからず、ぼんやりする。
木で鼻を括る(きではなをくくる)
(「くくる」は、こするの意の「こくる」の誤用が慣用化した語)無愛想にふるまう。冷淡にあしらう。
「木で鼻をくくったような挨拶」
軌道に乗る(きどうにのる)
物事が、あらかじめ計画したり、予想していたりした通りに、順調にすすんでいくようになる。
気に入る(きにいる)
心にかなう。満足する。好きになる。
気に掛ける(きにかける)
心配する。懸念する。こだわって忘れない。
気に食わない(きにくわない)
心に合わない。いやに思う。きらいだ。
気に障る(きにさわる)
心中おもしろくなく感じる。癪(しゃく)に障る。
気にする(きにする)
心配する。懸念する。気にかける。
木に竹を接ぐ(きにたけをつぐ)
(木に竹をつぐように性質の違ったものをつぎ合わせるの意から)前後のつじつまが合わないこと、筋が通らないこと、つり合いのとれないことのたとえ。
気に留める(きにとめる)
心にとどめておく。留意する。また、こだわって忘れないでいる。
気になる(きになる)
心配に思う。心にひっかかる。気にかかる。
気に病む(きにやむ)
心にかけていろいろ心配する。くよくよする。
着の身着の儘(きのみきのまま)
今着ている着物のほかに何物ももたないこと。
気は心(きはこころ)
量は少なくとも誠意の一端を示すこと。贈物などをする時に用いる。
牙を研ぐ(きばをとぐ)
相手を害しようと用意することのたとえ。
踵を返す(きびすをかえす)
(かかとの向きを逆にするの意で)あともどりをする。ひき返す。くびすを返す。きびすを廻らす。
気骨が折れる(きぼねがおれる)
気苦労が多い。気疲れがする。
気前がいい(きまえがいい)
(「気前」は、気質。気立て。特に金銭などを惜しまないで使う心意気の意)金銭や物に執着しないで、さっぱりしている。金離れが良い。
決まりが悪い(きまりがわるい)
他に対して面目が立たない。また、恥ずかしい。
木目が細かい(きめがこまかい)
(1)人の皮膚や物の表面が繊細でなめらかである。
「きめが細かい肌」
(2)ことをなすのに、配慮が細かい所まで行き届いている。
「きめが細かいサービス」
鬼面人を驚かす(きめんひとをおどろかす)
見せかけの威勢を示して人を驚かすことのたとえ。こけ威(おど)しをする。
肝が据わる(きもがすわる)
落ち着いていて、ものごとに驚かない。大胆だ。
肝が太い(きもがふとい)
大胆だ。また、ずぶとい。
気もそぞろ(きもそぞろ)
心が落ち着かないこと。そわそわするさま。
肝に銘ずる(きもにめいずる)
心にきざみこむようにして忘れない。しっかり覚えておく。肝に銘じる。
肝を潰す(きもをつぶす)
非常に驚く。肝を消す。肝が潰れる。
肝を冷やす(きもをひやす)
驚き恐れて、ひやりとする。
脚光を浴びる(きゃっこうをあびる)
(「脚光」は、舞台前面のフットライトのこと)舞台に立ってライトを浴びる意から、広く世間から注目される。社会の注目の的となる。
旧交を温める(きゅうこうをあたためる)
途絶えていた昔の交際を再び始める。
九死に一生を得る(きゅうしにいっしょうをえる)
(「九死」は、一〇のうち九が死、「一生」は、一〇のうち一が助かるの意)ほとんど死ぬかと思われた危険な状態を脱して、かろうじて命が助かることをいう。
窮余の一策(きゅうよのいっさく)
苦しまぎれに思いついた一つの手段。
急を知らせる(きゅうをしらせる)
切迫した事態、事柄を知らせる。
灸を据える(きゅうをすえる)
きびしく戒める。叱る。
行間を読む(ぎょうかんをよむ)
文字面に表われない筆者の本当の気持をおしはかる。
胸襟を開く(きょうきんをひらく)
隠し立てせず、心に思っていることを打ち明ける。
「胸襟を開いて話し合う」
興に乗る(きょうにのる)
おもしろさにまかせて物事を行なう。おもしろさの勢いにまかせて調子づく。
清水の舞台から飛びおりる(きよみずのぶたいからとびおりる)
(切り立ったがけの上に設けられた京都清水寺の観音堂の舞台から、思いきって飛びおりる意から)死んだつもりで思いきったことをする。非常に重大な決意を固める。
虚をつく(きょをつく)
備えのないのにつけこむ。相手のすきを突いて攻める。虚に乗ず。
「意外なことばに虚をつかれた」
岐路に立つ(きろにたつ)
どちらを選ぶか、その判断に迷う重大な立場に置かれる。
「人生の岐路に立つ」
気を落とす(きをおとす)
元気をなくす。失望する。気落ちする。
気を配る(きをくばる)
注意を向ける。気をつける。気を遣う。
「あたりに気を配る」
気を遣う(きをつかう)
相手の身になって心を働かせる。気を配る。心を配る。
気を付ける(きをつける)
注意力をはたらかせる。
「気を付けてお帰り下さい」
奇を衒う(きをてらう)
わざと変わった事をして、他人の注意をひきつけようとする。
「奇をてらった恰好」
気を取られる(きをとられる)
注意を奪われる。
「女の子に気を取られて階段を踏みはずす」
気を取り直す(きをとりなおす)
失意の状態からぬけでる。思い直して元気になる。
気を抜く(きをぬく)
疲れた神経をほぐす。緊張をゆるめる。いきぬきする。
気を呑まれる(きをのまれる)
相手の勢いやその場の雰囲気に圧倒される。
気を吐く(きをはく)
威勢のいいことばを発する。または、意気を示す。
「一人気を吐いてホームランを打つ」
気を張る(きをはる)
心を緊張させる。気持をひきしめる。
気を引く(きをひく)
それとなく相手の気持を探る。さそいをかけて相手の心を引く。人の気持や関心を向けさせる。
気を回す(きをまわす)
(1)細かなところに気をつける。注意をゆきとどかせる。
「万事うまくいくよう気を回す」
(2)いろいろとよけいなところまで、心をはたらかせる。邪推や、あて推量をする。
「あれこれ気を回して悩む」
気を持たせる(きをもたせる)
思わせぶりなことばや態度で、相手にやる気や期待する気持ちを起こさせる。
「気を持たせるばかりで、実行しない」
気を揉む(きをもむ)
あれこれ心配する。やきもきする。
気を許す(きをゆるす)
警戒心や緊張をなくしたり、ゆるめたりする。
気を良くする(きをよくする)
気持を快適にする。気分をすっきりさせる。また情況が思いどおりになって調子づく。
琴線に触れる(きんせんにふれる)
(「琴線」は、物事に感動する心情を琴の糸にたとえた言い方)感動する。心を打つ。
「彼のことばが琴線に触れた」
【く】
食い足りない(くいたりない)
(食べ物が不十分で満腹しない意から)物事が不十分で満足しない。
「今一つ食い足りない論文」
食い物にする(くいものにする)
自分の利益を得るために人やものを利用する。
食うか食われるか(くうかくわれるか)
相手を食うかこちらが食われるかといった状態をさして、力の拮抗(きっこう)した命がけの闘争などにいう。
ぐうの音も出ない(ぐうのねもでない)
(「ぐうの音」は、苦しいときに発するうめき声)他から詰問されたり、非を指摘されたりした時などに、一言も反論が出ないこと。
食うや食わず(くうやくわず)
毎日の食事もとったりとらなかったりするの意。やっと生活する貧乏暮らしのたとえ。
釘付けになる(くぎづけになる)
釘を打ち付けたように動きがとれないようなる。
釘を刺す(くぎをさす)
(釘を打ちつける意から)相手が約束を破ったり、逃げ口上を言ったりできないように、かたく約束しておく。また、相手の行動を予測してきつく注意する。
「遅刻しないよう釘を刺す」
草葉の陰(くさばのかげ)
(草の葉の下の意から)墓の下。あの世。
「草葉の陰から見守る」
楔を打ち込む(くさびをうちこむ)
楔を打ちこんで物を割ったり広げたりするように、敵陣に攻め込み、これを二分する。また、相手方に自らの立場や勢力を強引に押し入れる。
腐るほど(くさるほど)
物がありあまるくらいある、十分ある意にいう。
口裏を合わせる(くちうらをあわせる)
あらかじめ相談して、二人の話を一致させる。口を合わせる。
「嘘がばれないように口裏を合わせる」
口がうまい(くちがうまい)
話し方や物の言い方が巧みである。
口が重い(くちがおもい)
ことば数が少ない。寡黙である。
口が掛かる(くちがかかる)
芸人、芸妓などが客から招かれる。また、一般に、仕事などの依頼がくる。仲間などから呼び出しがかかる。
口が堅い(くちがかたい)
言ってはならないことを他言しない。また、そのような性質である。
口が軽い(くちがかるい)
何でもよくしゃべりたがって、言ってはいけないことまでも言いがちである。また、そのような性質である。また、多弁である。
口が腐っても(くちがくさっても)
(口を動かさないために口が腐ることがあったとしてもの意)言わない決意の強いことの形容。
「口が腐っても言えません」
口が過ぎる(くちがすぎる)
人なみはずれて口やかましい。また、言うことをひかえるべき事柄、遠慮すべき事柄を言う。言いすぎる。
「先輩にむかって口が過ぎるぞ」
口が酸っぱくなる(くちがすっぱくなる)
同じ事を何度も繰り返して言うさま。いやになるほどたびたび同じ事を言うさま。
「口が酸っぱくなるほど注意したのに」
口が滑る(くちがすべる)
言ってはならないことや、言う必要のないことなどを思わず言ってしまう。
口が減らない(くちがへらない)
(「へる」は負ける意)道理に負けても、なお理屈をならべたてるなどする。負けおしみをいう。また、勝手なことを遠慮なく言う。減らず口を叩く。
口から先に生まれる(くちからさきにうまれる)
口数の多いおしゃべりや口の達者な者をあざけっていう。
口が悪い(くちがわるい)
ことば遣いや言う内容が、乱暴でたちが悪い。
口車に乗る(くちぐるまにのる)
(「口車」は、口先だけで巧みに言いまわすこと)巧みに言いくるめられて、だまされる。
口添えをする(くちぞえをする)
かたわらからことばを添えてとりなす。仲介し世話する。助言する。
「交渉がスムーズに運ぶよう口添えをする」
口に合う(くちにあう)
飲食物が好みの味と一致する。
口にする(くちにする)
(1)口に出して言う。話す。
「口にするのもはばかられることば」
(2)口に入れる。口にくわえる。食べる。飲む。
「口にしたことのない食べ物」
口に出る(くちにでる)
ことばとなって口から出る。言う。しゃべる。
「日ごろの不満が口に出る」
嘴が黄色い(くちばしがきいろい)
(鳥類のひなはくちばしが黄色いことから)年が若くて経験が浅い。年若い人や未熟な人などをあざけっていう語。
嘴を容れる(くちばしをいれる)
他人のすることに対して、あれこれ言って口出しをする。容喙(ようかい)する。嘴を挟む。
「横から余計な嘴を容れるな」
唇を噛む(くちびるをかむ)
くやしがるさま、また、いきどおりなどをこらえるさまを表わすことば。
口火を切る(くちびをきる)
(「口火」は、爆薬などの点火に用いる火。転じて物事の起こるきっかけ。原因の意)物事をしはじめる。きっかけをつくる。また、話を始める。
口ほどにもない(くちほどにもない)
実際の行動、能力が口で言うほどのことはない。たいしたことはない。
口を利く(くちをきく)
(1)ものを言う。話をする。
「生意気な口を利く」
(2)二つのものの間がうまくいくよう、とりもつ。調停する。なかだちをする。
「就職の口を利く」
口を切る(くちをきる)
(1)まだ開いていない樽(たる)やビン、箱などのふたやせんをあける。
「ワインの口を切る」
(2)話をしはじめる。多くの人たちの中で最初に発言する。
「まず彼が口を切って話しはじめた」
愚痴をこぼす(ぐちをこぼす)
言ってもかえらないこと、益のないことを言う。
口を揃える(くちをそろえる)
二人以上の人が同時に同じことを言う。異口同音に言う。声を揃える。
「口を揃えて賛成する」
口を出す(くちをだす)
割り込んでいって自分の意見などを言う。差し出口をする。容喙(ようかい)する。
「子供のけんかに親が口を出す」
口を衝いて出る(くちをついてでる)
次から次へと自然にことばが出てくる。
「日頃の不満が口をついて出る」
口を噤む(くちをつぐむ)
口を閉じてものを言わない。黙る。口を閉じる。口を閉ざす。
「関係者はみな口を噤んでいる」
口を尖らす(くちをとがらす)
(怒ったり、言い争ったりするときなどの唇を前に突きだしてとがらせる口つきから)不平不満を表わす顔つきをする。口を尖らせる。
口を閉ざす(くちをとざす)
沈黙する。黙る。
口を濁す(くちをにごす)
ことばをあいまいにしてごまかす。話をぼやかして、わからないようにする。ことばを濁す。
口を拭う(くちをぬぐう)
(盗み食いをした後で、口をふいてそしらぬ顔をする意から)何か悪いことやまずいことをしていながら、していないふりをする。また、知っていながら知らないふりをする。
口を挟む(くちをはさむ)
人が話している途中に横からその話に割り込む。
「人の話の途中に口を挟むな」
口を開く(くちをひらく)
話しはじめる。しゃべりだす。
「重い口を開く」
口を封じる(くちをふうじる)
人にものを言わせないようにする。悪事、秘密などをしゃべらせないようにする。金品を与えたり、殺害したりしてしゃべるのを封じる。口を塞ぐ。
口を割る(くちをわる)
白状する。自白する。
「証拠の品を見せられて、やっと口を割る」
食ってかかる(くってかかる)
食いつくような調子で相手にいどみかかる。激しい口調や態度で立ち向かう。
「上司に食ってかかる」
轡を並べる(くつわをならべる)
(くつわをはめた馬が首を並べて、いっしょに進む意から)二つ以上のものがいっしょに、または互角に物事を行なう。
苦にする(くにする)
ひじょうに気にかけて心配する。たいへん思いなやむ。
愚にもつかない(ぐにもつかない)
ばかばかしくて、話にならない。問題にならない。愚にもつかぬ。
「愚にもつかないことを言う」
苦杯を嘗める(くはいをなめる)
(「苦杯」は、苦い酒を入れた杯の意)にがい経験をする。苦杯を喫(きっ)す。
首がつながる(くびがつながる)
職を解かれたり解雇されたりせずにすむ。
首が飛ぶ(くびがとぶ)
免職になる。解雇される。首になる。
首が回らない(くびがまわらない)
借金などのためどうにもやりくりがつかない。
首にする(くびにする)
職をやめさせる。解雇する。首を切る。
首を傾げる(くびをかしげる)
ふしぎに思ったり、疑わしく思ったりするときの動作をいう。
首を切る(くびをきる)
免職にする。解雇する。首にする。
首を挿げ替える(くびをすげかえる)
重要な役職に就いている人を替える。
首を縦に振る(くびをたてにふる)
首を上下に振る。承諾、同意などの気持を表わす動作。頭を縦に振る。
「両親の説得にようやく首を縦に振る」
首を突っ込む(くびをつっこむ)
関心、興味をもち、その事に関係する。仲間に加わる。また、その事に深入りする。
「他人のごたごたに首を突っ込む」
首を長くする(くびをながくする)
望み、期待が早く実現してほしいと思いながら待つ。待ち焦がれる。首をのばす。
「首を長くして返事を待つ」
首を捻る(くびをひねる)
首を横に曲げる。疑問、不満、不賛成などの気持で考え込むときの動作。
首を横に振る(くびをよこにふる)
(首を左右に振ることから)否定する、また、承諾しない気持を表わす動作。頭を横に振る。
苦もない(くもない)
苦労することもない。たやすい。ぞうさない。
雲を霞(くもをかすみ)
いっさんに走って姿を隠すさまにいう。
「雲を霞と逃げ去る」
雲を掴む(くもをつかむ)
物事が漠然としてとらえどころのないさまをいう。
「雲を掴むような話」
雲を衝く(くもをつく)
ひじょうに背丈の高いさまをたとえていう語。
「雲を衝くような大男」
車の両輪(くるまのりょうりん)
車の両側の車輪。二つのうち、どちらも除くことのできない密接な関係にあることのたとえ。
軍配が上がる(ぐんばいがあがる)
(相撲の行司の軍配団扇(うちわ)が勝った力士のがわに上がることから)スポーツ、商売などの競争や論争で、勝ったり優勢になったりする。
軍門に降る(ぐんもんにくだる)
戦争に負けて相手の陣に身をまかす。降服する。また、競争に負けて相手に屈伏する。負ける。
群を抜く(ぐんをぬく)
他の多くのものより数段すぐれること。特にぬきん出ること。抜群。
「オリンピックで群を抜く強さを見せた」
【け】
謦咳に接する(けいがいにせっする)
(「謦咳」は、せきばらいの意)尊敬する人に、直接話を聞く。直接、お目にかかる。面会すること、会うことの敬称。
けじめを付ける(けじめをつける)
守るべき規範や道徳などに従って、行動や態度を明確にする。
桁が違う(けたがちがう)
位が違う。格段の差がある。
下駄を預ける(げたをあずける)
物事の処理の方法や責任などを相手に一任する。
けちを付ける(けちをつける)
(1)縁起の悪くなるようないやなことを言ったりしたりする。
「粗相をして式典にけちを付ける」
(2)欠点を見つけてけなす。難癖をつける。
「やることなすことにけちを付ける」
血気に逸る(けっきにはやる)
元気にまかせてむこうみずに勇み立つ。
血相を変える(けっそうをかえる)
(「血相」は、顔の様子。顔色の意)顔色を変える。
「血相を変えて飛び出す」
煙に巻く(けむにまく)
大げさに言いたてて、相手をまどわせる。相手があまりよく知らないようなことを一方的に言い立てたりして、茫然(ぼうぜん)とさせる。けむりに巻く。
けりが付く(けりがつく)
(和歌、俳句などが助動詞「けり」で終わるものが多いところから)物事の結末がつく。終了する。片がつく。
「争いのけりが付く」
験がいい(げんがいい)
(「験」は、吉凶のきざし。縁起の意)縁起がよい。さいさきがよい。
剣が峰(けんがみね)
(1)火山の噴火口の周辺。主として富士山頂のものについていう。
(2)相撲で、土俵の円周をかたち作る俵の最も高い部分。土俵の周縁を富士山の火口壁に見立てたもの。
「相手力士の寄りを剣が峰でこらえる」
(3)〔(2)に足がかかってあとがない状態から〕少しの余裕もない、絶体絶命の状態。
「剣が峰に立たされる」
喧嘩を売る(けんかをうる)
他人にけんかをしかける。
言質を取る(げんちをとる)
あとで証拠となる約束のことばを言わせる。
けんもほろろ(けんもほろろ)
(「けん」も「ほろろ」もきじの鳴き声。「けん」は「剣突(けんつく)」「慳貪(けんどん)」などの「けん」とかけたもの)無愛想に人の頼みや相談事を拒絶して、取りつくしまもないさま。つっけんどんなさま。
「けんもほろろに断られる」
言を左右にする(げんをさゆうにする)
あれこれかこつけて、はっきりしたことを言わない。
【こ】
光陰矢のごとし(こういんやのごとし)
月日の過ぎるのは、飛ぶ矢のように早い。
口角泡を飛ばす(こうかくあわをとばす)
(「口角」は、唇の左右の端の部分)口からつばきを飛ばさんばかりに、勢いはげしく議論したりするさまにいう。
後顧の憂い(こうこのうれい)
後に残る気づかい。後の心配。
後塵を拝する(こうじんをはいする)
(「後塵」は、車馬などが走り過ぎたあとに上がるほこりの意)他人に先んじられる。人の下風に立つ。また、権力のある人に追従する。
公然の秘密(こうぜんのひみつ)
秘密とはされているが、実際には世間に知れわたっていること。
甲羅を経る(こうらをへる)
年功を積む。年数を経て老練になる。経験を重ねる。また、世間ずれしてあつかましくなる。
功を奏す(こうをそうす)
(功績を天子に申し上げる意から)事が成就する。成功する。効を奏す。
「緊急の輸血が功を奏した」
業を煮やす(ごうをにやす)
(いかりが腹の中で煮える意から)なかなからちがあかずいらだつ。
声を上げる(こえをあげる)
考えや気持ちをことばにして表す。おおやけに意見や主張を示す。
「ダム建設反対の声を上げる」
声を掛ける(こえをかける)
(1)呼びかける。話しかける。
「町で知人を見かけ声をかける」
(2)かけ声をかける。声援を送る。
「『がんばれ』と選手に声をかける」
(3)誘う。
「釣りに行かないかと声をかける」
声を揃える(こえをそろえる)
皆がいっしょに同じことを言う。ある事柄について、皆が同じことを言う。口を揃える。声を合わせる。
声を呑む(こえをのむ)
強い驚き、悲しみ、緊張など、感動のあまり声が出ない状態になる。
「雄大な光景に声を呑む」
声を潜める(こえをひそめる)
他人に聞こえないように小さい声で話す。ささやくように言う。
黒白を争う(こくびゃくをあらそう)
どちらがよいか、正しいかをはっきりとさせる。
黒白を弁ぜず(こくびゃくをべんぜず)
ものごとの正邪善悪の区別がつかない。道理を弁(わきま)えない。黒白を弁(わきま)えず。
小首を傾げる(こくびをかしげる)
首をちょっとかしげて考えをめぐらす。また、不審がったり不思議に思ったりする。小首をかたむける。
虚仮にする(こけにする)
(「虚仮」は、愚かなこと。愚かな人の意)ばかにする。踏みつけにする。
「人をこけにする」
沽券にかかわる(こけんにかかわる)
(「沽券」は、土地などの売り渡し証文。転じて、売り値や値打ちの意)品位や体面にさしつかえる。品位や体面が保てないとか傷つけられる場合にいう。
糊口を凌ぐ(ここうをしのぐ)
(「糊口」は、粥を口にする意)貧しく暮らす。やっと暮らしを立てて行く。
虎口を脱する(ここうをだっする)
(「虎口」は、トラの口。非常に危険な場所や状態をたとえていう)危険な場所、状態からのがれる。虎口を逃(のが)る。
呱呱の声を上げる(ここのこえをあげる)
(「呱呱」は、乳児の泣き声を表す語)赤ん坊が産声をあげる。子供が生まれる。転じて、物事が新しく誕生する。
「近代オリンピックは、アテネで呱呱の声を上げた」
心が動く(こころがうごく)
気持が動揺する。思い乱れる。感動する。また、心がその方に引きつけられる。その気になる。
心が通う(こころがかよう)
思いの心が通い合う。気持が通じ合う。互いに思い合う。
「心が通う友人」
心がこもる(こころがこもる)
真心が込められている。気持ちがみちあふれている。
「心がこもった手紙」
心が騒ぐ(こころがさわぐ)
心配で気持が落ち着かない。また、いやな予感がして胸さわぎがする。
心が弾む(こころがはずむ)
楽しさや明るい希望などのために心が浮き浮きする。意気が揚がる。
「新しい生活に心が弾む」
心に浮かぶ(こころにうかぶ)
思い出す。思い起こす。思いつく。
心に描く(こころにえがく)
心の中で想像する。思い描く。
心に掛ける(こころにかける)
あれこれ思いやる。心配する。気にかける。
心に刻む(こころにきざむ)
深く心に留めておく。肝に銘ずる。
「師の教えを心に刻む」
心に留める(こころにとめる)
気にかける。忘れないでおく。
「先輩の忠告を心に留める」
心にもない(こころにもない)
本心ではない。思ってもいない。
「心にもないお世辞を言う」
心を合わせる(こころをあわせる)
協力する。心を同じくする。
「心を合わせてことに当たる」
心を痛める(こころをいためる)
どうなるか、どうしたらよいかとさまざまに心をなやます。
心を打つ(こころをうつ)
心に強くはたらきかける。感銘を与える。心うつ。
心を奪われる(こころをうばわれる)
われを忘れさせられる。心が引きつけられる。魅了される。
心を躍らせる(こころをおどらせる)
胸をときめかせる。気持を高ぶらせる。
心を鬼にする(こころをおににする)
気の毒に思いながら、わざとつれなくする。情にほだされながら、あえて非情にふるまう。
心を砕く(こころをくだく)
気をもむ。心配する。また、気を配る。苦心する。真心を尽くす。
心を配る(こころをくばる)
気をつける。配慮する。気を配る。
心を込める(こころをこめる)
心の丈(たけ)を託す。真心を込める。
「心を込めた贈り物」
心を引かれる(こころをひかれる)
魅力を感じて、気持ちがその方に向う。そのものに興味や好ましさを感じる。
心を乱す(こころをみだす)
理性を失う。わけがわからなくなる。思い悩んで自制心を失う。
心を許す(こころをゆるす)
心の緊張をゆるめて人にうちとける。信頼する。気を許す。油断する。
「心を許した仲」
心を寄せる(こころをよせる)
好意をいだく。関心をもつ。また、傾倒する。
「前々から心を寄せていた人」
腰が重い(こしがおもい)
無精で、まめに動かない。気軽に出かけたり、行動したりしない。尻が重い。
腰が砕ける(こしがくだける)
(腰の力が抜けて構えた姿勢が崩れる意から)途中で気力や勢いを失って物事が続けられなくなる。腰砕けになる。
腰が据わる(こしがすわる)
腰を落ちつけて、物事をする。どっしりと落ち着いている。
腰が強い(こしがつよい)
(1)気が強く人に屈しない。押し通す力が強い。押しが強い。
(2)粘り気が強い。また、しなやかで折れにくい。弾力性に富む。
腰が抜ける(こしがぬける)
驚きや恐れのあまり足腰が立たなくなる。びっくりして体の自由を失う。
腰が低い(こしがひくい)
他人に対してへりくだりの気持がある。謙虚である。
腰を上げる(こしをあげる)
(1)立ち上がる。席を立つ。座を外す。
「ようやく腰を上げて帰っていった」
(2)事に取りかかる。行動に移る。御輿を上げる。
「捜査当局もついに重い腰を上げた」
腰を入れる(こしをいれる)
本気になる。本気になって物事に取りかかる。本腰を入れる。
「腰を入れて取り組む」
腰を折る(こしをおる)
中途で邪魔をする。中途で妨げる。
「話の腰を折る」
腰を据える(こしをすえる)
他に気を移さないで落ち着いて一つの物事をする。また、ある場所にすっかり落ち着く。
「腰を据えて飲みなおす」
腰を抜かす(こしをぬかす)
驚きのあまり足腰が立たなくなる。非常にびっくりして体の自由を失う。
御託を並べる(ごたくをならべる)
(「御託」は、「御託宣(ごたくせん)」の略。「御託宣」は本来は神などのお告げのことであるが、それを告げる際の巫子等の口振りから受ける印象が実にもったいぶった偉そうな感じのものであるところから)自分勝手なことをえらそうに言う。または、つまらないことをくどくどと言いたてる。
御多分に洩れず(ごたぶんにもれず)
(「御多分」は、多数の人の意見。行動などの意)他の大部分の人と同様に。例外ではなく。
後手に回る(ごてにまわる)
相手に先を越される。受身の立場に立たされる。
事無きを得る(ことなきをえる)
無事にすむ。大きな過失や事故にいたらずにすむ。
言葉に甘える(ことばにあまえる)
他人の親切なことばにすなおに従う。
言葉を返す(ことばをかえす)
(1)答える。返答する。
(2)人のことばに従わないで言いかえす。口答えする。
「おことばを返すようですが、それは違います」
言葉を尽くす(ことばをつくす)
相手によりよく伝えようとして、知っている限りのことばを用いる。あるだけのことばを使っていろいろに言う。
「ことばを尽くして説得する」
言葉を濁す(ことばをにごす)
都合が悪いことなどを、あいまいに言う。はっきり言わない。
「肝心の所へくるとことばを濁す」
事を起こす(ことをおこす)
事件を引き起こす。重大なことを行なう。反乱などを起こす。
事を構える(ことをかまえる)
好んで事件を起こそうとする。事を荒立てたがる。
小鼻をうごめかす(こばなをうごめかす)
(得意なとき、小鼻をひくひくと動かすことから)得意そうにするさまをいう語。
小股が切れ上がる(こまたがきれあがる)
女性の、すらりとして粋なさま。きりりとして小粋な婦人の容姿の形容。小股の切れ上がる。
〔補注〕語源については、井原西鶴の『本朝二十不孝』に、背丈の高い形容として「すまた切れあがりて…」という表現があり、これに合わせて、足が長く、背丈のすらりとしている形容とする説など、諸説ある。
独楽鼠のよう(こまねずみのよう)
(独楽鼠が、たえずあたりをくるくるまわっているさまから)休みなく動きまわっているさまのたとえ。
小回りが利く(こまわりがきく)
情勢に応じてすばやく動ける。
胡麻を擂る(ごまをする)
他人にへつらって自分の利益をはかる。
小耳に挟む(こみみにはさむ)
情報、噂などをちらりと聞く。ふと耳にする。
これ見よがし(これみよがし)
態度や動作がこれを見よといわんばかりに得意そうであるさま。人目をはばからずあてつけがましいさま。意識的に見せつけている感じがするさま。
怖いもの見たさ(こわいものみたさ)
こわいものは、好奇心をさそわれて、かえって見たいものだということ。
根を詰める(こんをつめる)
物事をするために精力を集中する。物事に没頭する。

さ行


【さ】
最期を遂げる(さいごをとげる)
死ぬ。往生を遂げる。
「壮烈な最期を遂げる」
細大漏らさず(さいだいもらさず)
細かい事も大きい事もすべて。すべてにわたるさま。
「細大漏らさず書きとめる」
采配を振る(さいはいをふる)
自ら先頭に立って、指揮、運営にあたる。指揮をする。指図をする。采配を振るう。
財布の紐を締める(さいふのひもをしめる)
(昔の財布は口を紐でしばっていたので、紐を締めるとお金が使えないことから)むだな金を使わないように気をつける。支出をきりつめる。節約する。財布の口を締める。
座が白ける(ざがしらける)
その場の人々の感興がそがれる。それまでの楽しい雰囲気などがこわれて、よそよそしい感じになる。
逆捩を食わす(さかねじをくわす)
(「逆捩」は、逆の方向にねじること)相手からの非難に対して逆にやり返す。
先を争う(さきをあらそう)
われさきにと互いに競いあう。一番になろうと争う。
「いい席に座ろうと先を争う」
先を越す(さきをこす)
相手の考えなどを察して相手より先にする。先手を打つ。
「ライバルに先を越される」
探りを入れる(さぐりをいれる)
相手の様子、また、隠していることなどをさぐってみる。
「関係者に探りを入れる」
匙を投げる(さじをなげる)
(調剤用の匙を投げ出す意から)医者がこれ以上治療の方法がないと診断する。転じて、見込みがないとあきらめて、手を引く。
様になる(さまになる)
何かをする様子や、できあがったさまなどが、それにふさわしいかっこうになる。
三拍子揃う(さんびょうしそろう)
(囃子などで、小鼓・大鼓・笛など3つの楽器で拍子をとることから)必要な3つの条件がすべてととのう。また、すべての条件が備わる。何もかも完全に備わる。
「攻走守、三拍子揃った外野手」
算を乱す(さんをみだす)
(「算」は、算木のことで、和算で計算に用いた木製の小さな棒のこと)算木を乱したように、列を乱す。ちりぢりばらばらになる。
「奇襲にうろたえた敵軍は算を乱して逃げ出した」
【し】
思案に余る(しあんにあまる)
いくら考えてもよい考えが浮かばない。分別ができない。思案に尽きる。
思案に暮れる(しあんにくれる)
どうしようかと考えあぐむ。まよって考えがまとまらない。
地が出る(じがでる)
かくれていた本性があらわれる。
歯牙にも掛けない(しがにもかけない)
(歯や牙でかみつこうともしないの意から)取り上げる価値のないものとして、まったく問題にしない。相手にしない。
敷居が高い(しきいがたかい)
相手に不義理をしたり、また、面目のないことがあったりするために、その人の家に行きにくくなる。また、その人に会いにくくなる状態をいう語。
舌が肥える(したがこえる)
味の良否を見分ける能力が高い。
舌が回る(したがまわる)
よどみなくしゃべる。巧みにものを言う。
舌足らず(したたらず)
(1)舌がよく回らず、物言いが不明瞭なこと。また、そのさま。
(2)ことば、文章などの表現が不十分なこと。言い足りないこと。また、そのさま。
「舌足らずの文章」
舌鼓を打つ(したつづみをうつ)
うまいものを飲み食いしたときに舌を鳴らす。したづつみを打つ。
自他共に許す(じたともにゆるす)
自分も他人もともに認める。だれでもがそうだと認めている。自他ともに認める。
下にも置かない(したにもおかない)
非常に丁重に取り扱って下座にもおかない。たいそう丁寧にもてなす。下へも置かない。下にも置かぬ。
「下にも置かない歓迎ぶり」
舌の根の乾かぬ内(したのねのかわかぬうち)
ことばが終わるか終わらないうちに。言い終わって間もないうち。多く、前言に反したことをすぐ言ったり、行なったりするさまに用いられる。
舌を出す(したをだす)
(1)陰でそしったり、嘲ったりするさまを表わす動作。
(2)自分の失敗を恥じたりてれたりするさまを表わす動作。
舌を巻く(したをまく)
相手に言いこめられて沈黙するさまをいう。また、驚き、恐れ、また、感嘆してことばも出ないさまをいう。
地団駄を踏む(じたんだをふむ)
(「地団駄」は、足で踏んで空気を送るふいご「地蹈鞴(じだたら)」の転。これを踏む姿がくやしがる姿に似ているところから)怒りや悔しさに身もだえしながら、はげしく地を踏みならす。
十指に余る(じっしにあまる)
(「10本の指で数え切れない」の意)きわだったものを数えあげていくと10以上になる。10より多い。
竹篦返し(しっぺがえし)
(「しっぺ」は、「しっぺい」の転。竹篦で打たれたのを打ちかえす意から)すぐにしかえしをすること。また、ある仕打をうけて、同じ程度、方法でしかえしをすること。しっぺいがえし。
「しっぺ返しを食う」
尻尾を出す(しっぽをだす)
(ばけた狐や狸がしっぽを出して正体を見やぶられる話から)ある人が隠していたことがばれる。本性が露見する。化けの皮がはがれる。
尻尾を掴む(しっぽをつかむ)
(ばけた狐や狸の正体がしっぽによってわかるというところから)他人の隠し事やごまかし、悪事などの証拠をにぎる。
尻尾を振る(しっぽをふる)
(犬がえさをくれた人に対して尾を振るところから)こびへつらって相手に取り入る。追従(ついしょう)を言う。
尻尾を巻く(しっぽをまく)
(けんかに負けた犬がしっぽを股の間に巻き込むところから)降参する。負ける。
科を作る(しなをつくる)
なまめかしい様子、動作などをする。あだっぽくふるまう。
「しなを作って相手の気を引く」
自腹を切る(じばらをきる)
自分の金を出して支払う。多くは、あえて自分が費用を出さなくてもよい場合に出すことにいう。
痺れを切らす(しびれをきらす)
(長い間座っていて、足がしびれた状態になることから)待ち遠しくて、がまんができなくなる。待ちくたびれる。
私腹を肥やす(しふくをこやす)
地位や職権を利用して、私利をむさぼる。
始末に負えない(しまつにおえない)
処理できない。手がつけられない。手に負えない。
締まりがない(しまりがない)
態度や心構えがしっかりしていない。顔や体つきがひきしまっていない。
示しがつかない(しめしがつかない)
他人に対して模範として示すことができない。訓戒のききめがない。
「部下に示しがつかない」
耳目を集める(じもくをあつめる)
(「耳目」は、聞くことと見ることの意)人々の注意を集める。注目される。
癪に障る(しゃくにさわる)
物事が気に入らなくて、腹が立つ。気に障る。癇(かん)に障る。
車軸を流す(しゃじくをながす)
(「車軸」は、車の心棒。車軸のように太い雨あしで降る意)雨あしの太い雨が降りしきる。激しく雨が降る。
「車軸を流すような夕立」
シャッポを脱ぐ(しゃっぽをぬぐ)
(「シャッポ」は、フランス語 シャポー chapeau で帽子の意)帽子を脱いで、おじぎをする意から、相手にかなわないことを知って降参する。兜(かぶと)を脱ぐ。
「君の執念にはシャッポを脱ぐよ」
衆を頼む(しゅうをたのむ)
人数の多さだけをたよりにする。
「衆を頼んで高圧的になる」
朱を入れる(しゅをいれる)
朱墨で、訂正や添削をする。朱筆で書きこみをする。
「原稿に朱を入れる」
情が移る(じょうがうつる)
相手に愛情、情愛を寄せるようになる。親しみをもつようになる。
常軌を逸する(じょうきをいっする)
(「常軌」は、普通に行うべき道の意)普通では考えられないような言動をする。
「常軌を逸した振る舞い」
性懲りもない(しょうこりもない)
(「性懲り」は、心の底から懲りることの意)前のことに懲りない。懲りもしない。
「性懲りもなくまた悪さをする」
食が細い(しょくがほそい)
あまり食べない。少食である。
食指が動く(しょくしがうごく)
(中国、春秋時代、鄭の子公がひとさしゆびの動いたのを見て、ごちそうになる前ぶれだと言ったという「春秋左伝」の故事から)食欲がきざす。また、広く物事を求める心がおこる。
触手を伸ばす(しょくしゅをのばす)
(「触手」は、多くの無脊椎動物の口の周囲などにあるひも状の突起。それを伸ばして捕食するようすから)野心をもって対象物に徐々に働きかける。
「他の業種にまで触手を伸ばす」
白を切る(しらをきる)
わざと知らないふりをする。しらばくれる。
尻馬に乗る(しりうまにのる)
(他の人が乗っている馬の尻に便乗する意から)人の言説に付和雷同する。無批判に人のすることに便乗する。
尻が青い(しりがあおい)
(幼児の尻には蒙古斑(もうこはん)という青いあざがあることから)年が若くて未熟である。一人前でない。
尻が重い(しりがおもい)
動作がにぶくなかなか腰をあげない。また、物事をはじめるのに、容易にはじめようとしない。腰が重い。
尻が軽い(しりがかるい)
(1)動作が機敏である。また、物事を気軽にはじめる。
(2)かるがるしく振る舞う。軽率な振る舞いをする。
(3)女性の浮気なさまをいう。
尻に敷く(しりにしく)
相手を軽くみて、自分の思うままにふるまう。多く、妻が夫を軽んじて、勝手気ままにふるまうことをいう。尻の下に敷く。
尻に火が付く(しりにひがつく)
物事がさしせまって、じっとしていられないさま、あわてふためくさまをいう。
「締め切りが近づいて尻に火が付く」
尻目に掛ける(しりめにかける)
(「尻目」は、目だけ動かして後ろの方を見る目つき)人を見下したり、無視したりする態度などにいう。
尻を叩く(しりをたたく)
行動を起こすように促す。やる気を起こすように励ます。
尻をまくる(しりをまくる)
(ならず者などが着物の裾(すそ)をまくって座り込み、おどしたことから)本性(ほんしょう)を現わしてけんか腰になる。
白い歯を見せる(しろいはをみせる)
心を許し笑顔を見せる。
白い目で見る(しろいめでみる)
悪意のある目付きで見る。憎しみやさげすみの目を向ける。白眼視する。
心血を注ぐ(しんけつをそそぐ)
全精神、全肉体をこめて物事を行なう。心身のありったけを尽くして物事にあたる。
「研究に心血を注ぐ」
人口に膾炙する(じんこうにかいしゃする)
(膾(なます)と炙(あぶりもの)はだれの口にもうまく感ぜられ、もてはやされるというところから)広く人々の口にのぼってもてはやされる。広く世間の人々の話題となる。
「人口に膾炙したことば」
人後に落ちない(じんごにおちない)
他人に劣らない。ひけをとらない。
「仕事への情熱では人後に落ちない」
寝食を忘れる(しんしょくをわすれる)
物事に熱中して、寝ることも食べることも忘れる。物事を熱心にするさまにいう語。
「寝食を忘れて仕事に没頭する」
心臓が強い(しんぞうがつよい)
はずかしがらないで平然としている。また、恥知らずで遠慮がない。あつかましい。ずうずうしい。
真に迫る(しんにせまる)
(「真」は、本物のこと)演技や文章などで表現されたものが現実のさまとそっくりに見える。
「真に迫った演技」
信を問われる(しんをとわれる)
信用できるかどうかを追求される。
「国が、国民から厳しく信を問われる事態となる」
【す】
水泡に帰する(すいほうにきする)
努力したことがむだになる。水のあわとなる。
頭が高い(ずがたかい)
(頭の下げ方が足りない意から)失礼である。おうへいである。
筋がいい(すじがいい)
(「筋」は、血筋を受け継いだ素質の意)その技能に適した素質がある。筋がよい。
筋が通らない(すじがとおらない)
ことの首尾が一貫していない。道理にかなわない。
雀の涙(すずめのなみだ)
ごくわずかなもののたとえにいう語。
「すずめの涙ほどの給料」
砂を噛むよう(すなをかむよう)
物のあじわいがない。無味乾燥で興味がわかない。
図に乗る(ずにのる)
自分の思うように事がはこぶ。勢いよく事がはこぶ。また、そういう状態なので、いい気になってつけあがる。頭(ず)に乗る。
脛に疵持つ(すねにきずもつ)
隠している悪事がある。自分の身に後ろ暗いことがある。やましいことがある。
脛を齧る(すねをかじる)
自分で独立して生活することができないで、親または他人に養ってもらう。親の脛をかじる。
隅に置けない(すみにおけない)
思いのほかに知識・才能・技量があって、油断できない。案外に世間を知っていてばかにできない。
寸暇を惜しむ(すんかをおしむ)
わずかな時間でも大切に活用する。
「寸暇を惜しんで働く」
【せ】
精が出る(せいがでる)
元気があってよく励む。元気に活動する。
「暑いのに精が出るね」
精も根も尽き果てる(せいもこんもつきはてる)
ありったけの力を出し尽くす。すっかり疲れ果てる。精根尽きる。
精を出す(せいをだす)
元気を出して行動する。一所懸命に励む。熱心に働く。
「畑仕事に精を出す」
贅を尽くす(ぜいをつくす)
物事を極度に贅沢(ぜいたく)にする。贅沢をきわめる。
是が非でも(ぜがひでも)
(是非善悪を問わずに、なんでもかんでもの意から)どうしても。ぜひとも。ぜひ。
「是が非でもやりぬく」
席の暖まる暇もない(せきのあたたまるいとまもない)
(すわる場所が暖まる暇もない意から)落ち着いてひとところにいることが出来ないほど忙しい。
堰を切る(せきをきる)
(川の水が堰を破って流れ出る意から)物事が急に激しい状態となる。ある激しい動作が急にどっと起こる。
「涙が堰を切ってあふれた」
世間を狭くする(せけんをせまくする)
世間に対する信用を失い、交際の範囲を狭くする。肩身を狭くする。
「不義理をして世間を狭くする」
背筋が寒くなる(せすじがさむくなる)
はげしい恐怖感などで、背の中心がぞっとする。
切羽詰まる(せっぱつまる)
(「切羽」は、刀の鍔(つば)の両面が柄(つか)と鞘(さや)とに当たる部分に添える薄い金物のこと。切羽が詰まると刀が抜き差しならなくなるところから)物事がさし迫って、どうにもならなくなる。最後のどたん場になる。抜き差しならなくなる。
節を曲げる(せつをまげる)
自分の信念や基本的な考え方を曲げて人に従う。節を折る。節を屈する。
是非もない(ぜひもない)
(いいも悪いもないの意から)しかたがない。やむを得ない。是非ない。
世話が焼ける(せわがやける)
その人や事柄に対して他からの手助けが必要で、手数がかかる。
「世話が焼ける子」
世話を焼く(せわをやく)
すすんで人のめんどうをみる。人のために尽力する。
「まだ幼い弟の世話を焼く」
背を向ける(せをむける)
(うしろ向きになる意から)無関心な態度をとる。また、同意しない。そむく。
「世の大勢に背を向ける」
線が太い(せんがふとい)
(「線」は、人の姿や性格、言動から受ける感じの意)性格が強い。また、言動をはっきりさせる。
先手を打つ(せんてをうつ)
(囲碁や将棋で、相手より先にうちはじめることから)相手の機先を制して優位に立つ。先手を取る。
先頭を切る(せんとうをきる)
先頭に位置する。先頭に立つ。
先鞭を付ける(せんべんをつける)
(「晋書」による語。他人より先に馬にむち打って、さきがけの功名をする意)ある物事に、だれよりも先に着手すること。真っ先にとりくむこと。
「新技術導入の先鞭を付ける」
線を引く(せんをひく)
境界をはっきりさせ範囲を限定する。くぎりをつける。
「仕事とプライベートにきっちり線を引く」
【そ】
双肩に担う(そうけんにになう)
(両方の肩でかつぐ意から)任務、負担、責任などを引きうける。
「会社再建を双肩に担う」
相好を崩す(そうごうをくずす)
(「相好」は、顔つき。表情の意)喜びや笑いが自然に内からこぼれ、表情に現れるようすを言う。
「相好を崩して喜ぶ」
造作も無い(ぞうさもない)
(「造作」は、手数のかかること。面倒の意)たやすい。容易である。また、簡単で、手軽である。造作ない。
「造作もなく出来る仕事」
総好かんを食う(そうすかんをくう)
(「総」は、全部、「好かん」は、好きでないの意)みんなから嫌われ、相手にされなくなる。
「女子社員から総すかんを食う」
総嘗めにする(そうなめにする)
(1)全体におよぶ。
(2)相手全部を打ち負かす。
「強豪を総なめにする」
底が浅い(そこがあさい)
内容に深みがない。力量などがそれほどでもない。
「あの人は知識は広いけれど底が浅い」
底が知れない(そこがしれない)
容量の際限がはかれない。うかがうことのできないほど程度がはなはだしい。底知れない。
「彼の実力は底が知れない」
底を突く(そこをつく)
(1)貯蔵しておいたものがなくなる。
「食料が底を突く」
(2)相場が最低値に達する。
「価格が底を突く」
底を割る(そこをわる)
(1)腹の底を見せる。心中などを明らかにする。
「底を割って話す」
(2)相場が底値よりもなお下がる。
「株価が底を割る」
そつがない(そつがない)
言動にておちがない。ぬけめがない。むだがない。
「何をやらせても万事そつがない」
ぞっとしない(ぞっとしない)
特に驚いたり感心したりするほどではない。あまり感心しない。いい気持がしない。
袖にする(そでにする)
(着物の袖は身ごろに対して付属物であることから)軽んじておろそかにする。また、人を冷淡にあしらい、邪魔者あつかいにする。
「恋人を袖にする」
袖の下(そでのした)
(袖の陰で人目につかないように金品の受け渡しをするところから)特別の便宜をはかってもらうために、こっそり相手に贈る金品。賄賂(わいろ)
袖を絞る(そでをしぼる)
(涙でぬれた袖を絞る意から)ひどく悲しんで泣くさまにいう。
外堀を埋める(そとぼりをうめる)
(城を攻めるには、まずその外堀を埋めるということから)ある目的を達するために遠まわしに相手の要所をおさえる。
側杖を食う(そばづえをくう)
(けんかのそばにいて、打ち合っている杖で打たれる意から)自分とは関係のないことにまきこまれて災難をこうむる。とばっちりを受ける。まきぞえを受ける。傍杖を食う。
反りが合わない(そりがあわない)
(刀のそりが鞘(さや)に合わない意から)気心が合わない。
「義父とはどうも反りが合わない」
算盤を弾く(そろばんをはじく)
(そろばんを用いて計算する意から)損得を計算する。
「どう転んでも損はないと算盤を弾く」

た行


【た】
太鼓判を捺す(たいこばんをおす)
(証明のために大きな判をおす意から)絶対まちがいのないことを保証する。
「けがは完治しましたと医者に太鼓判を捺される」
大事を取る(だいじをとる)
軽々しく行動せず、用心して事にあたる。
「風邪ぎみなので大事を取って欠席する」
体を成す(たいをなす)
まとまった形になる。形がととのう。
「文章の体を成していない」
高が知れる(たかがしれる)
程度や限度がわかる。せいぜい頑張ったところでいきつくところは知れている。極限といってもたいしたことではない。
「儲けは高が知れている」
箍が弛む(たががゆるむ)
(「箍」は、桶(おけ)や樽(たる)などの外側を堅く締める、竹や金属などで作った輪。箍がゆるむと桶や樽の用をなさないことから)年をとって鈍(にぶ)くなる。また、緊張がゆるんでしまりがなくなる。
高飛車に出る(たかびしゃにでる)
(「高飛車」は、将棋で飛車を自陣の前に出し、高圧的に攻める戦法)相手に対して高圧的な態度をとる。
「高飛車に出て文句を言う」
高みの見物(たかみのけんぶつ)
事のなりゆきを、直接関係しない安全な立場で、興味本位に傍観すること。
「高みの見物を決めこむ」
高を括る(たかをくくる)
その程度だろうと予測する。いきつくところを安易に予想する。高が知れていると見くびる。
「二、三日寝ていれば治るだろうと高をくくる」
竹を割ったよう(たけをわったよう)
(竹を縦に割ると、まっすぐに割れるところから)人の性質がさっぱりして、わだかまりがないこと、気性に陰険さや曲がったところがないことにいう。
出しに使う(だしにつかう)
(「出し」は、方便や口実の意)自分のために他のものを利用する。手段に利用する。口実に使う。出しにする。
「友達をだしに使う」
駄駄を捏ねる(だだをこねる)
幼児などが、甘えていうことを聞かないで、わがままを言う。
「おもちゃを買ってと駄駄をこねる」
太刀打ちできない(たちうちできない)
(「太刀打ち」は、太刀で打ち合うこと)相手が強くて、とてもかなわない。勝負にならない。
立つ瀬がない(たつせがない)
自分の立場がなくなる。
「それでは僕の立つ瀬がない」
手綱を引き締める(たづなをひきしめる)
(手綱を引きしぼって馬を御す意から)勝手な行動をしたり気をゆるめたりしないように、厳しい態度で臨む。
盾に取る(たてにとる)
防御物とする。比喩的にある物事を理由にして、相手の質問・追及をかわしたり、また、自分を有利に導く手段・方法としたりする。楯につく。
盾を突く(たてをつく)
反抗する。敵対する。はむかう。楯突く。楯を突く。
「親に盾を突く」
多とする(たとする)
(「多」は、ほめること。感謝することの意)高く評価する。
「その労を多とする」
棚上げにする(たなあげにする)
(物を棚に上げたままにしておくの意から)問題の解決や処理を一時保留して手をつけない。留保する。
「ゴミ処理問題を棚上げにする」
掌を返す(たなごころをかえす)
手のひらを裏返すこと。「…が如(ごと)し」「…よりも易(やす)し」などの形で、事態が容易に、あるいは安易に変化するさま、態度が急変するさまなどをいう。手の平を返す。
棚に上げる(たなにあげる)
(物を棚に上げてしまうように)手をつけないでそっとしておく。特に、自分の不利や欠点など、不都合なことにはわざとふれないでおくことにいう。棚へ上げる。
「自分のことは棚に上げて、人の悪口を言う」
他人の空似(たにんのそらに)
血縁がつながっていないのに、顔つきなどが偶然よく似ていること。
他人の飯を食う(たにんのめしをくう)
肉親のもとを離れて、他人の家に寄食する。また、他の家に奉公などして、他人の間でもまれて、実社会の経験を積む。
種を蒔く(たねをまく)
物事の原因をつくる。
束になって掛かる(たばになってかかる)
大ぜいがいっしょになって一つのものに向かう。
他聞を憚る(たぶんをはばかる)
他人に聞かれると困る。
玉の汗(たまのあせ)
はげしく流れ出て玉のようなさまをした汗。大粒の汗。
玉を転がす(たまをころがす)
音や声の高く澄んだひびきをたとえていう。
「玉を転がすような声」
惰眠を貪る(だみんをむさぼる)
(「惰眠」は、なまけて眠ってばかりいること)活気なく無為な生活にひたりきる。
矯めつ眇めつ(ためつすがめつ)
(「矯める」も「眇める」も、片目をつぶって、ねらいをつけて見る意)いろいろな角度からよくよく見ること。とみこうみ。
「ためつすがめつして品定めをする」
駄目を押す(だめをおす)
(「駄目」は、囲碁で石の周囲または境界にあって、白黒のどちらの地にも属さない空点。念のため、最後に駄目を詰めて勝敗を確かめる意から)わかりきった物事の万一の場合を考えてさらに確かめる。くどく念をおす。
「本当にこの条件でいいのか何度も駄目を押す」
駄目を出す(だめをだす)
(1)演劇で、演技上の注意を与える。また、脚本や演出について注文を出す。駄目出しをする。
(2)欠点、過失などを指摘して、中止させたり、やり直させたりする。
「設計図通りになっていないと駄目を出す」
袂を分かつ(たもとをわかつ)
(「袂」は、着物の袖口の下の袋のようになった部分)今までいっしょだった人と関係を絶つ。
「長年の友と袂を分かち別の道を歩む」
盥回し(たらいまわし)
(足でたらいを回す曲芸から)一つの物事を順送りに移し回すこと。
「患者をたらい回しにする」
啖呵を切る(たんかをきる)
(「啖呵」は、もと「痰火(たんか)」で、せきを伴って激しく出る痰のこと。痰火を治療するのを「痰火を切る」といい、これがなおると胸がすっきりするところから)胸のすくような、鋭く歯切れのよい口調で話す。また、激しくののしりたてる。
断腸の思い(だんちょうのおもい)
はらわたがちぎれるほどの悲しくいたましい思い。
「愛犬の死を断腸の思いで見守る」
端を発する(たんをはっする)
(その物事から、また、その物事が原因で)はじまる。
「国境紛争に端を発した戦争」
【ち】
知恵を絞る(ちえをしぼる)
あれこれと一所懸命考える。あれこれ考えをめぐらせて最善の方法を見いだそうと努力する。
知恵を付ける(ちえをつける)
そばにいる者がいろいろと教えてそそのかす。わきの者が入れ知恵をする。
血が通う(ちがかよう)
(1)血が流れている。生きている。
(2)事務的、公式的でなく、こまかい配慮を伴って物事を行なうさまにいう。
「血が通った政策」
血が騒ぐ(ちがさわぐ)
興奮して、じっとしていられなくなる。腕をふるいたくなる。
力瘤を入れる(ちからこぶをいれる)
熱心に尽力する。おおいに力を入れる。
力になる(ちからになる)
助けとなる。人のためにほねをおる。尽力する。
力を落とす(ちからをおとす)
力を失う。能力・権力・勢力などを失う。気力を失う。落胆する。がっかりする。
血で血を洗う(ちでちをあらう)
(1)(血で血を洗えば、ますますよごれるところから)悪事に悪事をもって対処する。暴力にむくいるのに暴力をもってする。
(2)血族どうしが相争う。血を血で洗う。
地に落ちる(ちにおちる)
権威・名声など、さかんであったものが、おとろえすたれる。
「犯人を取り逃がし警察の権威が地に落ちる」
血の雨を降らす(ちのあめをふらす)
刃傷沙汰(にんじょうざた)などで多くの死傷者を出す。
血の気が多い(ちのけがおおい)
ものごとに興奮しやすい。血気盛ん。むこうみずで元気がいい。
血の滲むよう(ちのにじむよう)
非常な辛苦、努力をするさま。血の出るよう。
「血のにじむような苦労」
血の巡り(ちのめぐり)
物事を理解する能力。察知する力。頭脳のはたらき。
「血の巡りが悪い」
地の利を得る(ちのりをえる)
地形や土地の位置がある事をするために、都合がよく、有利である。
地歩を占める(ちほをしめる)
(「地歩」は、自分の立場。地位の意)自分の立場をしっかりしたものにする。
「作家として確固たる地歩を占める」
血祭りに上げる(ちまつりにあげる)
(古代中国で、出陣のときいけにえを殺し、血を軍神にささげて勝利を願ったことから)戦いの手はじめに、敵方の者を殺す。また、手はじめに威勢よく、最初の相手をかたづける。
血道を上げる(ちみちをあげる)
色恋や道楽に夢中になってのぼせあがる。また、物事に熱中して分別を失う。
血も涙もない(ちもなみだもない)
人間的な心情がまったくない。少しもおもいやりの心がない。
宙に浮く(ちゅうにうく)
(地につかず空中に浮く意から)中ぶらりんの不安定な状態になる。中途半端なままになる。
「庁舎移転計画は宙に浮いたままだ」
昼夜を舎かず(ちゅうやをおかず)
(「論語」から)昼夜の区別をしない。絶えず行なう。
「工事は昼夜をおかずハイピッチで行なわれる」
帳尻を合わせる(ちょうじりをあわせる)
帳簿の最終的計算を過不足なく行なう。転じて、物事のつじつまを合わせる。
「話の帳尻を合わせる」
提灯を持つ(ちょうちんをもつ)
(夜道や葬列で提灯を持って先頭に立つところから)他人の手先となり、頼まれもしないのにその人のために努力し、また、その人をほめてまわる。
蝶よ花よ(ちょうよはなよ)
子をひととおりでなくいつくしみ愛するさまをいう。
「蝶よ花よと育てられた箱入り娘」
緒に就く(ちょにつく)
(「緒」は、いとぐち、手がかりの意)見通しがつく。いとぐちが開ける。しょにつく。
血湧き肉躍る(ちわきにくおどる)
戦い・試合などを前にして、心がたかぶり、勇気があふれ、全身に緊張感がみなぎる。
血を分ける(ちをわける)
血縁の関係にある。肉親の関係にある。親子・兄弟の間柄である。
「血を分けた弟」
【つ】
終の住処(ついのすみか)
最後に住むところ。終生住むべきところ。また、死後に落ち着くところ。
つうと言えばかあ(つうといえばかあ)
互いに気心が知れていて、一言口にすれば、すぐにその意を了解すること。つうかあ。
杖とも柱とも(つえともはしらとも)
(杖は体を支えてくれ、柱は家を支えてくれることから)非常にたよりにすることのたとえ。杖にも柱にも。
「杖とも柱とも頼んだ人に死なれる」
掴み所がない(つかみどころがない)
物事を理解したり評価したりするための手がかりがない。とらえどころがない。
付けが回ってくる(つけがまわってくる)
(あとから請求書が回ってきて支払いをさせられる意から)よくないことを行なったり、無理を通したり、するべきことをしなかった場合、その当座は何ごともなくとも、あとになってその始末を付けなければならなくなる。
付け焼き刃(つけやきば)
(切れない刀に鋼の焼き刃を付け足すことから)一時の間に合わせに、にわか仕込みで身につけたもの。
「付け焼き刃の知識」
辻褄が合う(つじつまがあう)
(「辻」は、裁縫で縫い目が十文字に合う所、「褄」は、着物の裾の左右が合う所であることから)合うべきところがきちんと合う。すじみちがよく通る。前後が矛盾しないで合う。
「話のつじつまを合わせる」
土が付く(つちがつく)
力士が相撲で負ける。また一般に、勝負に負ける。
鍔迫り合い(つばぜりあい)
互いに打ち込んだ刀を、鍔で受けとめ合い押し合うこと。転じて、どちらが勝つかわからないきわどい争い。
「つばぜりあいを演ずる」
唾を付ける(つばをつける)
自分のものであることを、他人に先んじてはっきりさせる。
潰しが利く(つぶしがきく)
(金属製の器物は、溶かして地金にしても、また役に立つ意から)別の仕事に代わってもそれをやりこなす力がある。また、あるものが別の場面でも役に立つ。
壺にはまる(つぼにはまる)
(1)急所をはずさない。勘所を押さえる。
「つぼにはまった回答」
(2)こちらの見込んだ通りになる。図星にあたる。
「作戦がつぼにはまる」
旋毛を曲げる(つむじをまげる)
気分をそこねてわざとさからい、意地悪くする。わざと反対して従わない。
爪に火をともす(つめにひをともす)
(ろうそくや油の代わりに爪に火をともす意から)ひどくけちであること、倹約し、つましい生活を送ること。
爪の垢ほど(つめのあかほど)
きわめて少量のもの、または取るに足りないもののたとえ。
詰め腹を切らせる(つめばらをきらせる)
(「詰め腹」は、他から強いられて切腹すること)強制的に辞職させる。
「部下の不祥事で詰め腹を切らされる」
面の皮が厚い(つらのかわがあつい)
あつかましい。恥知らずで、ずうずうしい。厚顔である。
鶴の一声(つるのひとこえ)
みんなが直ちに従うような有力者、権威者の一言。
「社長の鶴の一声で決まる」
【て】
手垢が付く(てあかがつく)
使い古されて新鮮みがなくなる。
「手垢が付いた表現」
手足となる(てあしとなる)
その人のために労を惜しまず働く。指示や命令どおりに動く。
「手足となって働く」
手が上がる(てがあがる)
(1)技量が上達する。腕前があがる。腕が上がる。
「料理の手が上がる」
(2)字が上手になる。
「書の手が上がる」
手が空く(てがあく)
仕事のきれめで、また、仕事が一段落してひまになる。手がすく。
手が掛かる(てがかかる)
手数がいる。世話がやける。
手が込む(てがこむ)
細工、技巧などが緻密である。また、物事が、こみいっている。複雑である。
「手が込んだいたずら」
手が付けられない(てがつけられない)
処置のしようがない。施すべき方法がない。
「乱暴で手が付けられない」
手が出ない(てがでない)
相手があまりにすぐれていたり、情況があまりにひどかったりして、施す手段がない。
「値段が高くて手が出ない」
手が届く(てがとどく)
(1)十分にゆきわたる。細かい所まで配慮されている。手が回る。ゆきとどく。
「忙しくて庭の手入れまでは手が届かない」
(2)能力・権力・勢力・財力などの範囲内にある。また、その範囲内に到達する。
「もう少しで金メダルに手が届く」
(3)ある年齢、時期などにもう少しで達する。
「まもなく五十に手が届く」
手が無い(てがない)
(1)働き手がない。人手が足りない。
「手がないので家族の者が店を手伝う」
(2)施すべき手段がない。方法がない。どうしようもない。
「裁判に持ち込むしか手がない」
手が入る(てがはいる)
(1)取締まりや検査のために、官憲が立ち入る。また、取り調べる。
「警察の手が入る」
(2)仕事や作品などを完成するまでの過程で、他人の訂正、補足がある。
「作文に先生の手が入る」
手が離せない(てがはなせない)
やりかけていることがあって、他のことができない。
手が離れる(てがはなれる)
(1)物事が一段落したりして、その仕事をしなくてもよくなる。
「仕事の手が離れたら食事にでも行こう」
(2)子どもが成長して、世話に手数がかからないようになる。
「育児の手が離れたので勤めに出る」
手が早い(てがはやい)
(1)物事の処理がてきぱきとして敏速である。手早い。
「作業の手が早い」
(2)すぐに異性に手を出す。特に、女性とすぐに性的関係を結ぶ。
(3)すぐ殴るなどの暴力をふるう。
「口より手が早い」
手が塞がる(てがふさがる)
仕事の最中で、他の事に手を出す余裕がない。何かをことわるときの決まり文句としても用いる。
手が回る(てがまわる)
(1)手配りが十分にゆきとどく。手が届く。
「下の子の世話で、上の子までなかなか手が回らない」
(2)犯人逮捕の手配がされる。
「犯人の立ち寄りそうな所に警察の手が回る」
敵もさる者(てきもさるもの)
敵も強くて、なかなかやるということ。
手薬練引く(てぐすねひく)
(「薬練(くすね)」は、松脂(まつやに)を油で煮て練り混ぜ、弓の弦に塗り、弦を強くするのに用いたもの。手に薬練を取り弓手(ゆんで)に塗る意から)十分に準備して機会を待つ。あらかじめ用意して待ち構える。
手癖が悪い(てくせがわるい)
(1)盗みをする性癖がある。手が長い。
「手癖が悪いので、金目の物をすぐに盗む」
(2)異性関係について、だらしがない。
「彼は手癖が悪く女の子と見ると手を出す」
梃子入れする(てこいれする)
(取引市場で、相場のおもわくによって株価を人為的に操作する。多く、下落する相場を買い支える場合にいうことから)不安定なところや弱い状態にあるものなどに、助力や援助を与えて順調に運ぶようにする。
梃子でも動かない(てこでもうごかない)
どのようなことをしても、その場から動かない。どのようなことがあっても、決意・信念などを変えない。絶対に動かない。
手塩に掛ける(てしおにかける)
手ずから世話をする。手にかけて養育する。
「手塩にかけて育てた娘」
手玉に取る(てだまにとる)
手玉のように投げ上げてもてあそぶ。転じて、思いどおりにあやつる。
轍を踏む(てつをふむ)
(「轍」は、わだち。転じて、比喩的に前人の行ったあとの意)先人のしたことをくり返す。また、前の人がおちいった失敗をくり返す。二の舞いを演ずる。前車の轍を踏む。
手鍋提げても(てなべさげても)
人を使わず自分で煮炊きをするような、つつましい暮らしをしても。貧しい生活をしても。
「手鍋提げても彼といっしょになりたい」
手に汗を握る(てにあせをにぎる)
あぶない物事をそばで見ていたりなどして、ひどく気がもめる。また、見ていて緊張したり興奮したりする。手に汗握る。
「手に汗を握る大接戦」
手に余る(てにあまる)
自分の力では及ばない。
「手に余る難題を抱え込む」
手に入れる(てにいれる)
自分のものにする。
「土地を手に入れる」
手に負えない(てにおえない)
自分の力ではどうにもならない。処置に困る。
「気難しくて手に負えない」
手に落ちる(てにおちる)
その所有となる。また、その支配下にはいる。
「城が敵の手に落ちる」
手に掛かる(てにかかる)
(1)取り扱われる。
「難問も彼の手にかかると簡単にかたづく」
(2)殺される。処刑される。
「通り魔の手にかかって落命する」
手にする(てにする)
(1)自分の手で持つ。じかに手に取る。
「ペンを手にする」
(2)受け取る。落手する。
「情報を手にする」
手に付かない(てにつかない)
他に心が奪われて、その事に身がはいらない。落ち着いて物事の処置ができない。手がつかない。
「仕事が手に付かない」
手に手を取る(てにてをとる)
互いに手を取り合う。手と手を握りあう。多く、相愛の男女が行動をともにする場合にいう。
「手に手を取ってかけ落ちする」
手に取るよう(てにとるよう)
きわめて近く、または明瞭に見えたり聞こえたりするさま。まるで目の前に置いたようによく分かるさま。
「彼の気持ちは手に取るように分かる」
手に乗る(てにのる)
あざむかれて術中に陥る。あざむかれる。
「その手には乗らない」
手に渡る(てにわたる)
他の人の所有となる。
「先祖代々の田畑もついに人の手に渡る」
手の内を明かす(てのうちをあかす)
心の中で計画していることを人にもらす。計略を人に話す。
手の切れるよう(てのきれるよう)
紙、特に紙幣の真新しいものを形容する語。手のきれそう。
「手の切れるような新札」
手の平を返す(てのひらをかえす)
露骨に態度を変えるさまを表わす。掌(たなごころ)を返す。手を返す。
出端を挫く(でばなをくじく)
はじめようとする話や仕事を妨げる。はじめようと意気ごんでいるのを妨げる。機先を制して相手の意気込みをむだにさせる。出鼻を挫く。
手も足も出ない(てもあしもでない)
施すべき処置・手段もなく困りきる。追いこまれて進退きわまる。また、無力でどうすることもできない。手も足も出せない。
手もなく(てもなく)
手数もかからず。たやすく。
「手もなくまるめこまれる」
出る幕がない(でるまくがない)
(演劇で、その役者の出演する場面がないの意から)出ていって力を発揮する機会がない。
手を上げる(てをあげる)
(1)下げていた手、または平伏して突いていた手を元の位置にもどす。
「どうぞお手を上げてください」
(2)降参する。また、閉口して投げ出す。
「そろそろ手を上げる潮時だ」
(3)殴ろうとして拳(こぶし)を振り上げる。ぶつなどの乱暴をする。
「思わずかっとして手を上げる」
(4)技量を上達させる。
「碁の手を上げる」
手を合わせる(てをあわせる)
(1)両方のてのひらを合わせておがむ。また、心から頼む。合掌して感謝の意を表わす。
(2)相手とする。相手として勝負をする。
手を打つ(てをうつ)
(1)てのひらをうち合わせて鳴らす。
「手を打って喜ぶ」
(2)仲直りをする。契約が成立する。
「そのへんで手を打とう」
(3)必要な手段を講じる。一策を用いる。
「あらかじめ手を打っておく」
手を替え品を替え(てをかえしなをかえ)
さまざまの方法を試みる。いろいろな手段・方法を尽くす。
「手を替え品を替え子供をなだめる」
手を貸す(てをかす)
手助けをする。手伝う。助力する。
「石段を登るおばあさんに手を貸す」
手を借りる(てをかりる)
手伝ってもらう。助力してもらう。
「友人の手を借りて引っ越しをする」
手を切る(てをきる)
関係をたつ。交際をたつ。縁を切る。多く、男女の関係を清算することにいう。
「たちのよくない男と手を切る」
手を下す(てをくだす)
直接自分で行なう。みずから事に当たる。
手を加える(てをくわえる)
(1)加工する。
「原料に手を加えて輸出する」
(2)修正や補正をする。
「草稿に手を加える」
手を拱く(てをこまぬく)
(うで組みをする意から)手だしをせずにいる。何もしないで見ている。手をこまねく。
手を差し伸べる(てをさしのべる)
援助する。力をかす。
「救いの手を差し伸べる」
手を染める(てをそめる)
手をつける。しはじめる。事業などに関係する。
「悪事に手を染める」
手を出す(てをだす)
(1)うったりなぐったりする。暴力を振るう。また、攻撃する。
「先に手を出したほうが悪い」
(2)そのことに関係する。かかわりあう。また、ものごとをやってみる。
「株に手を出す」
(3)女性と関係する。
「同僚の女性に手を出す」
(4)人の物をとる。奪う。盗む。
「店の品物に手を出すな」
手を束ねる(てをつかねる)
腕組みをしたまま、何もしないで見ている。手出しをしない。また、何もできないでいる。手をこまぬく。
手を尽くす(てをつくす)
あらゆる手段・方法をしつくす。できるかぎりのわざをつくす。
手を付ける(てをつける)
(1)ある事をしはじめる。着手する。
「新しい仕事に手をつける」
(2)目下の異性と関係を結ぶ。
(3)使い始める。また、使い込む。
「会社のお金に手をつける」
「ボーナスに手をつける」
(4)料理などを食べ始める。
「料理に手をつける」
手を握る(てをにぎる)
仲直りする。和解する。また、力を合わせて事に当たる。
手を抜く(てをぬく)
すべきことをしないで手数を省く。いいかげんな仕事ですませる。
手を延ばす(てをのばす)
今までしなかった事をやってみる。勢力をひろげる。
「出版業にまで手を延ばす」
手を離れる(てをはなれる)
手もとからはなれる。世話、看護、監督が不要になる。
「親の手を離れる」
手を引く(てをひく)
(1)手を取って引く。手を取って導く。
「孫の手を引く」
(2)関係を断ってしりぞく。かかりあいをなくす。
「仕事から手を引く」
手を広げる(てをひろげる)
関係する範囲を広くする。仕事の規模を大きくする。
「商売の手を広げる」
手を回す(てをまわす)
手段をめぐらす。うまくいくように、ひそかに働きかける。
「裏から手を回して圧力をかける」
手を結ぶ(てをむすぶ)
相通じる。同盟を結ぶ。結託する。
「野鳥保護のため全国の愛鳥家が手を結ぶ」
手を焼く(てをやく)
処置に窮する。てこずる。もてあます。
「末の子の強情なのには手を焼く」
手を緩める(てをゆるめる)
今まで、きびしかったことを、少しゆるやかにするさまをいう。
「追及の手を緩める」
手を汚す(てをよごす)
軽蔑したりしていて、今までしなかったようなことを自らする。特に、悪事を行なうことにいう。
手を煩わす(てをわずらわす)
人に世話をかける。やっかいをかける。人に手数をかける。
「お手を煩わしてすみません」
天狗になる(てんぐになる)
(自慢することを「鼻が高い」というのを、鼻が高い天狗にかけた語)得意になる。鼻高々になる。いい気になって自慢する。
天井知らず(てんじょうしらず)
相場・物価などが高騰して、どこまで上がるかわからないこと。
天にも昇る心地(てんにものぼるここち)
非常にうれしくて、うきうきする気持をたとえていう。
天秤に掛ける(てんびんにかける)
(1)二つのうちどちらかを選ばなければならないとき、両方の優劣・軽重・損得などを比較する。
「出世と恋とを天秤にかける」
(2)対立しているどちらにも関係をつけておいて、どちらが優勢になっても自分の都合のよいようにはかる。また、そのような態度をとる。
「二人の男性を天秤にかける」
天を衝く(てんをつく)
非常に高いこと。また、すばらしい勢いであることのたとえ。
「意気天を衝く」
【と】
頭角を現す(とうかくをあらわす)
(「頭角」は、頭の先の意)すぐれた才能・技芸などをもち、人に抜きんでる。才覚が群を抜いてめだつ。
薹が立つ(とうがたつ)
(野菜などの花茎が伸びて、食べごろでなくなってしまう意から)人が、その目的に最適の年齢を過ぎてしまう。盛りが過ぎる。男女の婚期についていうことが多い。
峠を越す(とうげをこす)
勢いのもっとも盛んな時期を過ぎて、衰えはじめる。また、もっとも重要な時期を過ぎて、先の見通しがきくようになる。
「病状も峠を越した」
堂に入る(どうにいる)
(「論語」による、学芸の奥義を究める意の「堂に昇り室に入る」から)学問・技芸、その他修練を必要とする事柄について、よく身についてその深奥に達している。転じて、すっかりなれて身につく。
「堂に入った司会ぶり」
度が過ぎる(どがすぎる)
程度がふつうの状態をはなはだしく越える。過度である。
「ふざけるのも度が過ぎている」
度肝を抜く(どぎもをぬく)
(「度肝」は、「肝(きも)」を強めた言い方)ひどく驚かす。きもをつぶす。
「彼の球の速さには度肝を抜かれた」
時を移さず(ときをうつさず)
(時が移り変わる前にの意から)すぐさま。即刻。ただちに。
時を得る(ときをえる)
時流に乗って栄える。好機をつかんで、権勢をふるう。時めく。
時を稼ぐ(ときをかせぐ)
時間のゆとりをつくる。ある物事をする準備や用意のために、他の事柄で時間を長びかせ、それに必要な時間をつくり出す。時間を稼ぐ。
毒にも薬にもならない(どくにもくすりにもならない)
害もないが効能もない。損にも得にもならない。可もなく不可もない。
とぐろを巻く(とぐろをまく)
(蛇などが渦巻状に巻いてわだかまっているようすから)
(1)何人かの人が、特に用もないのに、ある場所に集まって長時間いる。
「夜になると駅前に若者たちがとぐろを巻く」
(2)腰を落ちつけて動かなくなる。また、外からの刺激に反応しなくなる。
「居酒屋でとぐろを巻いている客」
どこ吹く風(どこふくかぜ)
人の言うことやすることなどを、まったく無視しているような様子。知らん顔。
「どこ吹く風と聞き流す」
ところを得る(ところをえる)
その人にふさわしい地位、仕事につく。また、満足のいく境遇を得て、力を存分に発揮する。
どさくさに紛れる(どさくさにまぎれる)
混雑や混乱に乗じる。
「どさくさに紛れて逃げる」
年が行く(としがいく)
(1)年齢が重なって行く。成長しておとなになる。また、老年となる。
(2)一年が過ぎ去って行く。年が暮れようとする。
年甲斐もない(としがいもない)
大人がその年齢にふさわしくない愚かな事をする。いい年をして浅はかな行ないをする。
「年甲斐もなく大声でどなってしまった」
年には勝てない(としにはかてない)
元気があっても、年をとっては健康や体力が自由にならない。年は争えない。
年端も行かぬ(としはもいかぬ)
年齢が一人前に到達していない。まだ年若い。幼い。年端もゆかぬ。
「年端も行かぬ少年」
どじを踏む(どじをふむ)
間抜けなことをする。へまをやらかす。失敗する。
毒気を抜かれる(どくけをぬかれる)
ひどく驚かされる。呆然とさせられる。特に、積極的に気負いたった気持をはぐらかされるさまにいう。
取って付けたよう(とってつけたよう)
(あとから無理に付け加えたようなの意から)言動・態度・かっこうなどが不自然でわざとらしいさま、不調和でおさまりがつかないさまのたとえ。
「取って付けたようなお世辞を言う」
突拍子もない(とっぴょうしもない)
なみはずれている。とんでもなく調子はずれである。
「突拍子もないことを言い出す」
途轍もない(とてつもない)
(「途轍」は、筋道。道理の意)すじみちに合わない。全く道理に合わない。とんでもない。また、きわめて図抜けている。途方もない。
とどのつまり(とどのつまり)
(出世魚のボラは成長してゆくに従って名称が変わり、最後に「とど」といわれるところから)いろいろやって、または、せんじつめていった最後のところ。副詞的にも用いる。結局。畢竟(ひっきょう)。多く、思わしくない結果である場合に用いる。
「とどのつまり破談となる」
止めを刺す(とどめをさす)
(1)決定的な打撃を与える。再起できなくなるほどに徹底的にうちのめす。
「九回表に三点追加してとどめを刺した」
(2)それにまさるものがない。それに限る。
「山は富士山にとどめを刺す」
飛ぶ鳥を落とす勢い(とぶとりをおとすいきおい)
飛鳥も地上に落ちてくるほどに、権勢のさかんなことのたとえ。
「連戦連勝で飛ぶ鳥を落とす勢いだ」
途方に暮れる(とほうにくれる)
手段が尽きてぼんやりする。どうしてよいか手段に迷う。
「道に迷って途方に暮れる」
途方もない(とほうもない)
さっぱり道理に合わない。また、ある物事の程度などが、ふつうとはひどくかけはなれている。とてつもない。
「途方もない金額」
取り付く島がない(とりつくしまがない)
たよりにしてとりすがる所がなく、どうしようもない。
取り留めがない(とりとめがない)
(「取り留め」はまとまり。しまりの意)まとまりがない。要領を得ない。
鳥肌が立つ(とりはだがたつ)
(寒さや恐怖などで、皮膚が、毛をむしり取った後のニワトリの皮の表面のようにぶつぶつになることから)寒さや恐怖などでぞっとする。
「あまりの恐さに鳥肌が立つ」
〔補注〕最近では、感動したときに使われることもある。
取るに足りない(とるにたりない)
問題にもならない。
「取るに足りない意見」
取る物も取り敢えず(とるものもとりあえず)
(手に取る物も取ることができないでの意から)大あわてで出発するさまをいう。
「取る物も取り敢えず病院へかけつける」
泥を被る(どろをかぶる)
他人の失敗の責任をとって損な役回りをひきうける。
泥を塗る(どろをぬる)
恥をかかせる、面目を失わせることをいう。
「店の信用に泥を塗る」
泥を吐く(どろをはく)
調べられ問いつめられて、隠していた悪事・犯行などを白状することをいう。
度を失う(どをうしなう)
狼狽して言動に平常の状態を失う。
度を越す(どをこす)
適切な度合を越す。ふつう以上に物事を行なう。度を過ごす。
「運動も度を越すと健康を害する」

な行


【な】
無い袖は振れぬ(ないそではふれぬ)
実際ないものはどうにもしようがない。してやりたいと思っても力がなくてどうにもならない。
無い物ねだり(ないものねだり)
ない物をねだって欲しがること。できないことを無理にせがむこと。
長い目で見る(ながいめでみる)
ある事柄を現状だけで判断しないで、気を長く持って将来を見守る。
鳴かず飛ばず(なかずとばず)
長い間鳴きも飛びもしないでじっとしている意から、将来の活躍を期して長い間機会を待っているさまをいう。現在では長い間何の活躍もしないでいることを自嘲的に、または軽蔑していうことが多い。
「彼もこのところ鳴かず飛ばずだ」
流れに棹さす(ながれにさおさす)
流れに棹をつきさして船を進め下るように、好都合なことが重なり、物事が思うままに進むたとえ。
〔補注〕時流、大勢にさからう意で用いるのは誤用。
流れを汲む(ながれをくむ)
創始者の流儀に従いそれを身につける。その流派を学ぶ。また、家系などの末流に列する。
泣きの涙(なきのなみだ)
涙を流して泣くこと。ひどく悲しい思いをすること。
泣きを入れる(なきをいれる)
泣きついてわびをいい、許しを求める。嘆願する。
泣きを見る(なきをみる)
泣くようなめにあう。ふしあわせなめにあう。
泣くに泣けない(なくになけない)
あまりにつらくて、泣くこともできない。無念であきらめきれない。
梨の礫(なしのつぶて)
(投げた礫(つぶて)は返らないところから、「梨」を「無し」にかけていう語)音沙汰のないこと。音信のないこと。
謎を掛ける(なぞをかける)
(1)なぞなぞを言いかける。なぞなぞの題を出して答えを求める。
(2)遠まわしにそれとなくさとらせるように、いいかける。
何がなんでも(なにがなんでも)
どんなことがあっても、絶対に。一つの意志を必ず貫こうとする決意を表わす。
何かにつけ(なにかにつけ)
あれこれの機会に。いろいろの事に関して。
何くれとなく(なにくれとなく)
あれやこれやと。いろいろと。
「何くれとなく相談にのる」
何食わぬ顔(なにくわぬかお)
自分のしたことや思っていることが人に知られては困るとき、注意をそらすために平然と振舞うようす。
何はさておき(なにはさておき)
他のことは別にして。さしあたって。とりあえず。
「何はさておき挨拶だけはすませた」
何はともあれ(なにはともあれ)
他のことはどうであろうと。それはそうと。
「何はともあれ無事でよかった」
何はなくとも(なにはなくとも)
当面の一つのものがありさえすれば、他のいっさいのものが存在しなくてもよい、という気持を表わす。他に格別のものはなくても。
何を置いても(なにをおいても)
他のことは後回しにしても。真っ先に。
何をか言わんや(なにをかいわんや)
(何を言おうか、言うことはないの意から)もう何も言うことはない。あきれてことばもない。
「こんな基礎知識すら知らないとは何をか言わんやだ」
名乗りを上げる(なのりをあげる)
(武士が戦場で敵と戦う前の作法として、自分の名を声高らかにいうことから)競争などに加わることを表明する。選挙などに立候補する。
「開催の立候補地として名乗りを上げる」
生木を裂く(なまきをさく)
(割りにくい生木を無理に引き裂く意から)相愛の男女をむりに別れさせる。強引に男女の間を裂く。
「生木を裂くようにして二人を別れさせる」
波風が立つ(なみかぜがたつ)
もめごとが起きる。
「家庭に波風が立つ」
涙にくれる(なみだにくれる)
涙でものがみえなくなる。また、泣いて暮らす。
涙に咽ぶ(なみだにむせぶ)
涙で、声がとだえがちである。また、泣きに泣く。
涙を呑む(なみだをのむ)
(涙が出そうなのをこらえる意から)口惜しさ、無念さをじっと我慢して引きさがる。
「涙を呑んであきらめる」
波に乗る(なみにのる)
(1)時の流れにうまくあう。時代の風潮・時勢にあって栄える。
「好景気の波に乗って売上げが伸びる」
(2)調子に乗る。勢いに乗る。
「彼は今、波に乗っている」
並ぶものがない(ならぶものがない)
匹敵するものがない。
「成績で彼に並ぶ者がない」
鳴りを潜める(なりをひそめる)
物音をおさえてひっそりとさせる。また、活動が途絶える。
名を売る(なをうる)
自分の名を広く世間に知れわたるようにする。名を広める。
名を惜しむ(なをおしむ)
名や名声を大切にする。名声の傷つくことを惜しむ。うき名のたつことを嫌う。
名を汚す(なをけがす)
名誉を傷つける。面目をつぶす。評判を悪くする。
名を捨てて実を取る(なをすててじつをとる)
見かけだけの名誉や表面上の体裁よりも実際の利益を選ぶ。
名を成す(なをなす)
世間からよい評判をたてられる。ひとかどの人物として有名になる。
「建築家として名を成す」
名を馳せる(なをはせる)
世間の評判になり、名前が知れ渡る。名声を博す。
「冒険家として世界的に名を馳せる」
難癖を付ける(なんくせをつける)
何か欠点を見つけて非難する。あらを見つけ出してとがめる。
難色を示す(なんしょくをしめす)
不承知らしい様子をする。顔つき、態度、婉曲な言い回しなどで不賛成であることを告げる。
「提示された条件に難色を示す」
【に】
煮え湯を飲まされる(にえゆをのまされる)
信用している人に裏切られてひどい目にあう。
「腹心の部下に煮え湯を飲まされる」
荷が重い(にがおもい)
(「荷」は、任務、責任の意)負担が重い。責任が重大だ。また、責任や負担が大きく負いきれない。
「その役は私には荷が重い」
荷が下りる(にがおりる)
責任がとり除かれる。任務を完了して気持ちが楽になる。責任や義務がなくなってほっとする。
荷が勝つ(にがかつ)
責任や負担が過重である。
「新人には荷が勝ちすぎた役目だ」
逃げを打つ(にげをうつ)
責任などの追及をのがれようと手段を講じる。
「担当ではないからと逃げを打つ」
錦を飾る(にしきをかざる)
(美しい着物を着飾って帰郷する意から)立身出世して故郷へ帰る。故郷へ錦を飾る。
「金メダルを胸に故国へ錦を飾る」
西も東も分からない(にしもひがしもわからない)
(1)その土地の事情を全然しらない。
「初めて来た土地で西も東も分からない」
(2)まったく物事をわきまえる能力がない。東西をわきまえず。
「新入社員なので仕事のことは西も東も分からない」
似たり寄ったり(にたりよったり)
互いに優劣・高下のないこと。たいした違いのないさま。大同小異。
「どれもこれも似たり寄ったりの出来だ」
二進も三進も(にっちもさっちも)
(算盤(そろばん)の割り算から出た語で、計算のやりくりの意)行き詰まって身動きができないようす。どうにもこうにも。
「借金がかさみにっちもさっちも行かない」
似て非なる(にてひなる)
外見は似ていながら、その内容は違っている。
「自由と放任は似て非なるものである」
似ても似つかぬ(にてもにつかぬ)
少しも似ていない。全く似ていない。
煮ても焼いても食えない(にてもやいてもくえない)
ほどこす手段がなく持てあます。手におえない。扱いようがない。
二の足を踏む(にのあしをふむ)
(一歩目は進みながら、二歩目はためらって足踏みする意から)思いきって物事を進めることができないさまをいう。どうしようかと迷う。
「事業の拡張に二の足を踏む」
二の句が継げない(にのくがつげない)
(「二の句」は、雅楽で朗詠の詩句を3段に分けて歌うときの第2段の詩句。転じて、次に言うことばの意)言うべき次のことばが出てこない。
「あきれて二の句が継げなかった」
二の舞を演じる(にのまいをえんじる)
(「二の舞」は、舞楽の曲名。安摩(あま)の舞の次にそれにまねて演じる滑稽な舞のこと)人のまねをする。特に、前の人の失敗を繰り返す。
二枚舌を使う(にまいじたをつかう)
(舌が2枚あるかのように、1つのことを2通りに食い違って言うことから)矛盾したことを言う。うそを言う。
【ぬ】
抜き差しならぬ(ぬきさしならぬ)
処置のしようがない。どうにもならない。抜き差しならない。
抜け駆けの功名(ぬけがけのこうみょう)
抜け駆けをして得た手柄。他を出し抜いてたてた功名。
抜け目がない(ぬけめがない)
手ぬかりがない。また、自己の利益になる機会を逃さない。
「万事に抜け目がない」
盗人猛猛しい(ぬすっとたけだけしい)
盗みや悪事を働きながら何くわぬ顔でいたり、とがめられて逆に居直ったりするのをののしっていう語。
濡れ衣を着せられる(ぬれぎぬをきせられる)
無実の罪を負わされる。
濡れ手で粟(ぬれてであわ)
(濡れた手で粟をつかめば、粟粒がそのままついてくるところから)骨を折らないで利益を得ること。労少なくて得るところの多いこと。
【ね】
寝返りを打つ(ねがえりをうつ)
味方を裏切って敵と手を結ぶ。ねがえる。
願ったり叶ったり(ねがったりかなったり)
願いや希望のとおりになること。すべて思いどおりであること。
願ってもない(ねがってもない)
自分で願っても簡単にかないそうもないことが運よくかなうさま。
「奨学金で留学ができるなんて願ってもないチャンスだ」
寝首を掻く(ねくびをかく)
(眠っている人を襲って、その首を切り取る意から)卑怯な計略を用いて、相手をおとしいれる。
猫に鰹節(ねこにかつおぶし)
好物がそばに置いてあり、油断ができないことのたとえ。
猫に小判(ねこにこばん)
価値がわからない者に貴重なものを与えても役に立たないことのたとえ。
猫の手も借りたい(ねこのてもかりたい)
非常に忙しく手不足な様子をたとえていう。
「大晦日を迎えて蕎麦屋は猫の手も借りたい忙しさだ」
猫の額(ねこのひたい)
(猫の額が狭いところから)面積の狭いことのたとえ。
「猫の額ほどの小さい庭」
猫の目のよう(ねこのめのよう)
(猫のひとみは明るさによって形を変えるところから)移り変わりの激しいさま。
「野菜の値段が猫の目のように変わる」
猫も杓子も(ねこもしゃくしも)
なにもかも。だれもかれも。
「猫も杓子も海外旅行に行く」
猫を被る(ねこをかぶる)
本性をかくしておとなしそうに見せる。また、知っていながら知らないふりをする。
「先生の前では猫を被っている」
寝覚めが悪い(ねざめがわるい)
眠りからさめた時の気分がよくない。転じて、ある事が気になったり重荷になったりして気が安まらない。また、自分の行為、特に過去の行為が反省されて良心がいたむ。
螺子を巻く(ねじをまく)
(動かすためにぜんまいなどの螺子を巻くことから)気持や態度がゆるんだ時、強く注意したり励ましたりする。改めさせる。
ねたが割れる(ねたがわれる)
(「ねた」は、種(たね)を逆に読んだ隠語)隠していた材料や仕かけがばれてしまう。
寝た子を起こす(ねたこをおこす)
(眠った子供を起こすと、ぐずって手がかかることから)せっかくおさまっている事柄に無用の手出しをして、またまた問題をひき起こすたとえ。
熱が冷める(ねつがさめる)
一時の興奮からさめる。のぼせがさがる。
熱が入る(ねつがはいる)
熱意がこもる。力がはいる。熱心である。
「話に熱が入る」
熱に浮かされる(ねつにうかされる)
(高熱のために意識がはっきりしなくなる意から)一つのことに熱中し、前後を忘れる。他を忘れて夢中になる。
「熱に浮かされたように研究に打ち込む」
熱を上げる(ねつをあげる)
そのことに夢中になる。その魅力にとりつかれてのぼせあがる。
「好きな選手に熱を上げる」
寝ても覚めても(ねてもさめても)
寝ているときでも起きているときでも。いつも。絶えず。
根に持つ(ねにもつ)
いつまでも恨みに思う。恨んで忘れない。
「つまらないことをいつまでも根に持つ」
根掘り葉掘り(ねほりはほり)
何から何まで全部。しつこく尋ねるさま、うるさく詮索するさまなどにいう。
「根掘り葉掘り聞く」
寝耳に水(ねみみにみず)
(元来は眠っているときの耳に水音が聞こえてくることを言ったが、のち、水が実際に耳にはいると解されるようになった)寝ている耳に水を注がれるような、まったく思いがけない、突然の出来事に驚くさまのたとえ。
「彼が死んだなんて寝耳に水だ」
根も葉もない(ねもはもない)
(根にあたる原因も葉にあたる結果もない意から)何の根拠もない。全くよりどころとなるものがない。何らの理由もない。根もない。
「根も葉もない噂」
音を上げる(ねをあげる)
(「音」は、泣き声の意)困難・苦難に耐えられず、声をたてる。弱音をはく。降参する。
「猛練習に音を上げる」
根を下ろす(ねをおろす)
(草の根や木の根が根づく意から)確かな位置を占める。ゆるぎないものとなる。不動の地位を占める。
根を張る(ねをはる)
(草の根や木の根がのびて広がる意から)ある考え方や習慣などが深く広がって、動かしがたくなる。
「政治への不信感が深く根を張る」
年季が入る(ねんきがはいる)
(「年季」は、奉公する約束の年限の意)長い間修練を積んで熟練している。
「年季が入った腕前」
年貢の納め時(ねんぐのおさめどき)
(年貢の滞納を清算する時の意から)悪事をし続けた者が、ついに捕えられて、罪に服さなければならない時。また、ある物事に見切りをつけて観念すべきころ合い。
「独身生活もここらが年貢の納め時だ」
念には念を入れる(ねんにはねんをいれる)
注意したうえにも注意する。重ねて確認する。
「念には念をいれ、戸締りを確認する」
念を押す(ねんをおす)
相手に十分に確かめる。重ねて注意する。
【の】
熨斗を付ける(のしをつける)
喜んで他人に物を与える意志を表わす。皮肉の意をこめて用いることもある。のしを添える。
「のしを付けて呉れてやる」
のっぴきならない(のっぴきならない)
(「のっぴき」は、「退き引き」の変化した語。避けてしりぞくこと)避けることもしりぞくこともできない。のがれることができない。
「のっぴきならない用事が出来て、出席できない」
喉から手が出る(のどからてがでる)
ほしくてたまらないたとえにいう。
「喉から手が出るほどその指輪が欲しい」
のべつ幕なし(のべつまくなし)
(芝居で、幕を引くことなしに場面を進行させる意から)絶え間なく続くこと。また、そのさま。
「のべつ幕なしに小言を言う」
蚤の夫婦(のみのふうふ)
(蚤の雌が雄より大きいところから)夫より妻の方が体の大きい夫婦のたとえ。
乗り掛かった船(のりかかったふね)
(いったん岸を離れてしまった船からは、中途で下船できないところから)物事を始めてしまった以上、行くところまで行こうとすること。いったんかかわりを持った以上、途中で身をひくことのできないことのたとえ。
「乗りかかった船だ、最後まで協力しよう」
伸るか反るか(のるかそるか)
(伸びるか反り返るか、結果がどうなるかわからない意から)成功するか失敗するか、成否を天に任せて、思いきってやること。
「伸るか反るかの大勝負」
暖簾を下ろす(のれんをおろす)
商家が営業をやめる。
「三代続いた店の暖簾を下ろす」
暖簾を分ける(のれんをわける)
商家で長年よく勤めた奉公人に、新たに店を出させて同じ屋号を名のることを許す。
狼煙を上げる(のろしをあげる)
(合図として煙を上げる意から)一つの大きな事を起こすきっかけとなるような目立った行動をする。
「批判ののろしをあげる」
呑んで掛かる(のんでかかる)
相手を軽く見て、圧倒するような態度をとる。
「勝負事には相手を呑んでかかる気迫が必要だ」

は行


【は】
歯が浮く(はがうく)
軽はずみで気障(きざ)な言行を見たり聞いたりして、不快な気持になる。
「歯が浮くようなお世辞」
量が行く(はかがいく)
(「量」は、仕事の進み具合の意)仕事などが順調に進む。効果があがる。はかどる。
「大勢なので仕事の量が行く」
場数を踏む(ばかずをふむ)
実地に経験する度数を重ねる。多くの経験を積んでなれる。
「場数を踏んで度胸がつく」
歯が立たない(はがたたない)
(噛(か)むことができない意から)自分の力が及ばない。理解できない。また、相手に対抗して張りあうことができない。
「難問で歯が立たない」
秤に掛ける(はかりにかける)
物事を比べて、利害・得失などを判断する。
「損得を秤にかけてみる」
馬鹿を見る(ばかをみる)
自分が不利益をこうむったり、損な立場になったりする。ばかばかしい思いをする。
「正直者が馬鹿をみる」
馬脚を露わす(ばきゃくをあらわす)
(芝居の馬のあしの役者が姿を見せてしまう意から)つつみ隠していた事があらわれる。化けの皮が剥がれる。
歯切れがいい(はぎれがいい)
物言いや態度、行動などが明確である。
「歯切れのいい返事」
箔が付く(はくがつく)
(金箔や銀箔を張り付けると立派になることから)値うちに重みがつく。貫禄がつく。
白眼視する(はくがんしする)
冷たい目つきでみる。悪意を持って人を扱う。白い目で見る。
白日の下に晒す(はくじつのもとにさらす)
(曇りなく照り輝く太陽の下に引き出す意から)隠されていた物事を公にする。
「事件の真相が白日の下にさらされる」
白紙に戻す(はくしにもどす)
何もなかった、もとの状態にもどす。白紙に返す。
「計画を白紙に戻す」
拍車を掛ける(はくしゃをかける)
(馬腹に拍車を当てて馬を進ませるところから)事の成り行きを一段と速める。物事の進行に一段と力をそえる。
「インフレ傾向に拍車をかける」
薄氷を踏む(はくひょうをふむ)
ひじょうに危険な状況にのぞむことのたとえ。
「薄氷を踏む思いでの勝利」
化けの皮が剥がれる(ばけのかわがはがれる)
正体が現われる。包み隠した素性が現われる。偽りが露顕する。馬脚を露わす。
「にせ医者の化けの皮が剥がれる」
恥の上塗り(はじのうわぬり)
恥をかいたうえに、さらに恥をかく。重ねて恥をかく。
馬車馬のよう(ばしゃうまのよう)
(馬車をひく馬はわき見をしないように目の両側に覆いをされることから)わき目もふらずに一途に物事をするさま。
「馬車馬のように働く」
恥を知る(はじをしる)
恥ずべきことを知る。恥を恥として知る。
恥を雪ぐ(はじをすすぐ)
(「雪ぐ」は、恥、不名誉を除き払う意)名誉をとりもどす。不名誉を償(つぐな)う。恥をそそぐ。
バスに乗り遅れる(ばすにのりおくれる)
(英語の miss the bus の訳から)時流にとり残される。他におくれをとる。好機を逃す。
「合理化のバスに乗り遅れる」
弾みを食う(はずみをくう)
他の余勢を受ける。弾みを食らう。
「前のランナーが転倒した弾みを食って、あやうくつんのめりそうになる」
旗色が悪い(はたいろがわるい)
形勢がよくない。負けそうである。
「反対派の旗色が悪い」
肌が合わない(はだがあわない)
(「肌」は、気質、気性の意)自分の性質と合わない。気が合わない。
裸一貫(はだかいっかん)
資本や財力などがまったくなくて、自分の身一つであること。
「裸一貫から財を築く」
畑違い(はたけちがい)
自分の専門分野に属さないこと。自分のたずさわっている領域と異なった領域にあること。また、そのもの。
「畑違いの仕事」
肌を許す(はだをゆるす)
女性が身を任せる。体を許す。
破竹の勢い(はちくのいきおい)
(竹は、一節割れ目を入れると、次々に割れて行くところから)猛烈な勢いで進むこと。また、勢いが盛んで押さえがたいこと。
「破竹の勢いで勝ち進む」
蜂の巣をつついたよう(はちのすをつついたよう)
騒ぎが大きくなって、手もつけられないようになるさま。上を下への大騒ぎをするさま。
「事件が明るみに出て、蜂の巣をつついたような騒ぎになる」
ばつが悪い(ばつがわるい)
(「ばつ」は、その場の具合の意の「場都合」の略とも、終わり・結びの意の「跋」からともいう)その場の調子が悪い。ぐあいが悪い。きまりが悪い。
「ばつが悪そうに頭を掻く」
発破を掛ける(はっぱをかける)
(「発破」は、鉱山や土木工事で爆薬を仕かけて岩などを爆破すること。また、その爆薬の意)荒々しいことばで督励する。あらっぽく注意して励ます。気合いをかける。
八方塞がり(はっぽうふさがり)
(陰陽道の占いで、どの方角も不吉で事を行なえないことから)他人の援助や信用などをすっかり失ってしまっていること。どの方面にも障害があって手の打ちようがないこと。
「八方塞がりで打つ手がない」
鳩が豆鉄砲を食ったよう(はとがまめでっぽうをくったよう)
突然のことに驚いて目をみはるさま、あっけにとられきょとんとしているさまのたとえ。
歯止めを掛ける(はどめをかける)
それ以上事態が進みすぎないようにおさえとどめる。
「物価の高騰に歯止めをかける」
鼻息が荒い(はないきがあらい)
思いこみが強く、人の説を受けつけない。意気ごみがはげしい。
「今度こそ優勝してみせると鼻息が荒い」
鼻息を窺う(はないきをうかがう)
恐る恐る人の意向をさぐる。人の機嫌をうかがう。
「社長の鼻息を窺う」
鼻が利く(はながきく)
(嗅覚が鋭い意から)ちょっとしたことから秘密や役に立つ事柄などを見つけ出す能力がある。
「儲け話にはいたって鼻が利く男だ」
鼻が高い(はながたかい)
得意なさまである。誇らしい。
鼻が曲がる(はながまがる)
悪臭があまりにひどく、耐えられないさまをいう。
「鼻が曲がるような臭気」
鼻毛を読む(はなげをよむ)
女が、自分におぼれている男を見ぬいて、思うようにもてあそぶ。
話が弾む(はなしがはずむ)
互いに気が合ったり、興味の持てる話題だったりして、話に活気が出る。
話にならない(はなしにならない)
問題にならない。あきれてものがいえない。お話にならない。
話に花が咲く(はなしにはながさく)
それからそれへと、いろいろ興味ある話が出る。
話に実が入る(はなしにみがはいる)
興に乗って話す。話に熱中する。
話の腰を折る(はなしのこしをおる)
調子に乗った談話を、中途で挫折させる。話を中途からさえぎる。
鼻っ柱が強い(はなっぱしらがつよい)
(「鼻っ柱」は、鼻柱(鼻筋)のことで、ここでは負けん気の意)自分の考えを強く主張して譲らない。人に張り合う気持が強い。はなっぱしが強い。
鼻であしらう(はなであしらう)
相手のことばにろくに返事もしないで冷淡にあしらう。すげない態度をする。
「相手の頼みを鼻であしらう」
鼻で笑う(はなでわらう)
鼻先でふんと笑う。軽蔑した笑い方にいう。
鼻に掛ける(はなにかける)
自慢する。得意がる。自慢顔をする。
「学歴を鼻にかける」
鼻に付く(はなにつく)
(1)いやな臭いが鼻を刺激する。
(2)飽きていや気が起こる。また、いやみに感じる。
「彼の成金趣味が鼻につく」
鼻の下を長くする(はなのしたをながくする)
女の色香に迷う。女に対してでれでれする。
「女性にやさしくされて鼻の下を長くする」
花道を飾る(はなみちをかざる)
(「花道」は、歌舞伎劇場で、舞台左側(下手)から観客席を縦に貫いて設けた、俳優の出入りする道のこと)最後にはなばなしく活躍して去る。引き際を美しくして去る。
「引退の花道を飾る」
鼻持ちがならない(はなもちがならない)
(臭気がひどくてがまんができない意から)言動ががまんならない。嫌味である。鼻持ちならない。
洟も引っ掛けない(はなもひっかけない)
(「洟」は、鼻汁、鼻水の意)相手にしない。無視する。鼻も引っかけない。
「少し売れてくると昔の仲間になんか洟も引っかけない」
花も実もある(はなもみもある)
(木または枝に花、実ともに有する意から)外観も美しく、内容も充実している。名実ともに備わる。
鼻を明かす(はなをあかす)
だしぬいたり思いがけないことをしたりして、優位に立っていた相手を驚かせる。
「ライバルの鼻を明かしてやる」
花を咲かせる(はなをさかせる)
(1)はなやかにする。にぎやかにする。盛んにする。
「思い出話に花を咲かせる」
(2)栄えるようにする。成功する。名をあげる。
花を添える(はなをそえる)
美しさを加える。はなやかさを増す。
「錦上花を添える」
鼻を高くする(はなをたかくする)
面目を施す。自慢する。得意になる。
「少しばかりの成功に鼻を高くする」
鼻を突く(はなをつく)
嗅覚を刺激する。鼻を打つ。
「悪臭がぷんと鼻をつく」
鼻を鳴らす(はなをならす)
鼻から出るような音をさせる。犬がくんくんと鳴く声などにいう。また、鼻にかかった声を出して、甘えたりすねたりする動作にもいう。
花を持たせる(はなをもたせる)
勝利や功名を相手にゆずる。相手を立てる。
「先輩の顔を立てて花を持たせる」
歯に衣着せぬ(はにきぬきせぬ)
つつみ隠すことなく、思ったままを率直に言う。はっきりと、飾らないで言う。
「歯に衣着せぬ論調」
羽が生えたよう(はねがはえたよう)
商品がよく売れる様子のたとえ。また、金や物などがどんどん減っていくようすのたとえ。
「出した本が評判を呼び羽が生えたように売れる」
羽を伸ばす(はねをのばす)
押さえられた状態から自由になって思うようにふるまう。
「たまには温泉へでも行って羽を伸ばそう」
歯の抜けたよう(はのぬけたよう)
まばらでふぞろいなさま。また、あるはずのものが欠けて、さびしい様子。
「廃業が相次ぎ歯の抜けたような商店街」
歯の根が合わない(はのねがあわない)
寒さや恐怖のために、ふるえおののくさまにいう。
「あまりの寒さに歯の根が合わない」
幅を利かせる(はばをきかせる)
自分の存在を大きく認めさせるようにする。威勢をふるう。
「演劇界ではかなり幅を利かせている」
羽目を外す(はめをはずす)
(「はめ」は「馬銜(はみ)」の転で、轡(くつわ)の馬の口にくわえさせる所。それを外すと手綱で御すことができず、馬が勝手に走り回ることから)興に乗って度を過ごす。調子づいて節度を失う。
波紋を投じる(はもんをとうじる)
何事もない静かな所を波立たせる。特に、事を起こしたり、問題を提起したりして、その影響を広げるのにいう。
早い話が(はやいはなしが)
手短にいえば。要するに。つまり。早い話。
腹が黒い(はらがくろい)
心の中がきたない。根性(こんじょう)が悪い。はらぐろい。
腹が据わる(はらがすわる)
物事に動じなくなる。落ち着く。覚悟する。度胸が据わる。
腹が立つ(はらがたつ)
怒る。癪(しゃく)にさわる。立腹する。
腹が太い(はらがふとい)
度量が広い。胆力が大きい。
腹鼓を打つ(はらつづみをうつ)
腹いっぱい食べて腹をつづみのように打ち鳴らす。腹いっぱい食べて、満足する。
腹に据えかねる(はらにすえかねる)
怒りをおさえることができない。がまんができない。
「今度という今度は腹に据えかねる」
腹の皮が捩れる(はらのかわがよじれる)
おかしくて、腹の皮がよれるほど大笑いする。腹の皮を捩る。
「あまりにおかしくて、腹の皮が捩れる」
腹の虫が治まらない(はらのむしがおさまらない)
(しゃく)にさわって我慢ができない。腹立つ心を抑えがたい。
腸が煮えくり返る(はらわたがにえくりかえる)
どうにもこらえることができないほど、ひどく腹が立つ。
腹を抱える(はらをかかえる)
おかしさに耐えられないで大笑いをする。
「腹を抱えて笑う」
腹を固める(はらをかためる)
覚悟する。決心する。腹を決める。
「力士になろうと腹を固める」
腹を決める(はらをきめる)
覚悟をきめる。決心をする。腹を固める。
「いよいよ独立の腹を決める」
腹を括る(はらをくくる)
どんな結果になってもたじろがないように意を決する。覚悟をきめる。腹を据える。
腹を探る(はらをさぐる)
それとなく人の意中をうかがう。
「政敵の腹を探る」
腹を据える(はらをすえる)
気を落ちつけ、対処のしかたを決める。覚悟をきめる。
「もうやるしかないと腹を据えた」
腹を立てる(はらをたてる)
怒る。立腹する。
「約束を守らないので腹を立てる」
腹を割る(はらをわる)
本心をうちあける。包み隠さずすべてをさらけ出す。
「腹を割って話し合う」
腫れ物に触るよう(はれものにさわるよう)
(痛い腫れ物にふれるような感じであることから)恐る恐るたいせつに扱う。きげんをそこなわないように気をつかうさまのたとえ。
歯を食いしばる(はをくいしばる)
くやしさや怒り、または苦痛などを必死にこらえる。
万事休す(ばんじきゅうす)
(「休す」はやむの意)もう施すべき手段がなく、すべて終わりである。何事も全く見込みがない。
「この作戦が失敗したら、もう万事休すだ」
半畳を入れる(はんじょうをいれる)
(芝居小屋などで、役者に不満や反感を持ったりする時に、敷いている半畳を舞台に投げるところから)他人の言動に非難、冷評、野次、茶化しなどの声をかける。半畳を打つ。
「説明の途中で半畳を入れる」
判で押したよう(はんでおしたよう)
まったく同じことの繰り返しで、少しの変化もないこと。また、きまりきっていることをいう。
「判で押したように毎日始業十分前に出社する」
万難を排する(ばんなんをはいする)
あらゆる困難を乗り越える。種々の障害を押しのける。
「万難を排して行う」
範を垂れる(はんをたれる)
(「範」は、模範。「垂れる」は、示す意)手本を示す。模範となる。
【ひ】
火が消えたよう(ひがきえたよう)
活気を失ってさびしくなるさま。
火が付く(ひがつく)
あることがきっかけで事件、騒動が起こる。
「紛争に火がつく」
引きも切らない(ひきもきらない)
絶え間がない。ひっきりなしである。次々と続く。
「弔問客が引きも切らない」
びくともしない(びくともしない)
少しも動かない。また、驚かない。
「少々の地震ではびくともしない」
引くに引けない(ひくにひけない)
引き下がりたくても引き下がれない状況にある。いやでもやるしかない立場である。
引けを取らない(ひけをとらない)
他に劣らない。勝負や競争をして負けない。
「練習量では引けを取らない」
膝が笑う(ひざがわらう)
山道を下りる時などに、疲れて膝のあたりの力が抜け、がくがくすることをいう。
膝を打つ(ひざをうつ)
はっと思い当たったり、感心したり、また、おもしろいと思ったりした時などに手で膝を軽くたたく動作をいう。膝をたたく。
「はたと膝を打つ」
膝を崩す(ひざをくずす)
きちんとした姿勢をくずして、楽にすわる。
「どうぞ膝を崩して楽にしてください」
膝を屈する(ひざをくっする)
(膝を折って、からだをかがめる意から)相手に屈従する。膝を屈(かが)める。
膝を進める(ひざをすすめる)
(1)前へにじり出る。相手に近づく。
「テレビを間近で見ようと膝を進める」
(2)乗り気になる。興味を持つ。
「好きな釣りの話に思わず膝を進める」
膝を乗り出す(ひざをのりだす)
前へにじり出る。また、興味を感じて乗り気になる。膝を進める。
「膝を乗り出して話に聞き入る」
膝を交える(ひざをまじえる)
同席して親しく話し合う。うちとけて語り合う。
「旧友と膝を交えて歓談する」
肘鉄砲を食わせる(ひじでっぽうをくわせる)
(肘の先で突きのける意から)誘いなどを拒絶する。肘鉄を食わせる。
額を集める(ひたいをあつめる)
(互いに顔をくっつけ合うように近寄って相談することから)顔を寄せ合って相談する。集まって相談する。
「額を集めて対応策を考える」
左団扇で暮らす(ひだりうちわでくらす)
(団扇を利き腕でない左手でゆったりあおぐさまから)安楽な生活をおくる。
左前になる(ひだりまえになる)
(「左前」は、着物の右の衽(おくみ)を普通と逆に左の衽の上に重ねて着ること。死者に経帷子(きょうかたびら)を着せる際にそうする習慣があるので忌む)物事が順調にいかなくなる。運や金まわり、商売などがうまくいかなくなる。
「会社が左前になる」
引っ込みが付かない(ひっこみがつかない)
途中で引き返したり、途中で関係を断ったりすることができない。行きがかり上、身を引いたり、意見などを取り下げたりすることがしにくい。
「言い出した手前、今更引っ込みがつかない」
筆舌に尽くし難い(ひつぜつにつくしがたい)
文章やことばではとても表現できない。なんとも表現のしようがない。
「筆舌に尽くし難い辛酸を嘗(な)める」
一足違い(ひとあしちがい)
ちょっとの時間の行き違い。
「一足違いで会えなかった」
一泡吹かせる(ひとあわふかせる)
相手の不意をついて驚きあわてさせる。
一息入れる(ひといきいれる)
少し休憩をとる。
人聞きが悪い(ひとぎきがわるい)
人に聞かれると、恥ずかしくて困る。外聞が悪い。
「人聞きの悪いことを言う」
一筋縄では行かない(ひとすじなわではいかない)
(「一筋縄」は、一本の縄。転じて、通常の手段の意)普通の方法では思うままにできない。
「彼の説得は一筋縄では行かない」
一溜まりもない(ひとたまりもない)
少しの間も持ちこたえられない。やすやすとうちくずされる。
「今、敵に襲われたら一たまりもない」
人手に掛かる(ひとでにかかる)
(1)他人の手で殺される。
「自殺のはずはない、人手にかかったにちがいない」
(2)他人の助けを受ける。他人に養育される。
一旗揚げる(ひとはたあげる)
新しく事業などを起こす。意欲をもって新しい運命をきりひらく。
「一旗揚げようと東京に出る」
一肌脱ぐ(ひとはだぬぐ)
(着物の袖から腕を抜き、上半身をあらわにして働くことから)本気になって助力する。
「友人のため一肌脱ぐ」
一花咲かせる(ひとはなさかせる)
一時成功して栄える。また、成功して得意な時代を送る。一花咲かす。
瞳を凝らす(ひとみをこらす)
まばたきもしないで見つめる。凝視する。じっと一点を見つめる。
人目に立つ(ひとめにたつ)
人の目につく。人目をひく。
人目に付く(ひとめにつく)
他人に目立って見える。人目をひく。
「人目につくように掲示板にポスターをはる」
人目を忍ぶ(ひとめをしのぶ)
人に見られないように気づかいをする。人に知られないようにかくれてする。
「人目を忍んで会う」
人目を憚る(ひとめをはばかる)
人に見られないように心をくばる。
「人目を憚って裏口から出る」
人目を引く(ひとめをひく)
様子・態度などが、他人の注意を引く。
「人目を引く奇抜なデザイン」
一役買う(ひとやくかう)
一つの仕事を進んで引き受ける。力をかす。手助けする。
「新会社の設立に一役買う」
一山当てる(ひとやまあてる)
(「山」は鉱山のこと。山師が鉱脈を掘り当てる意から)万に一つをねらっておおもうけする。投機によってひともうけする。
「株で一山当てる」
一人相撲を取る(ひとりずもうをとる)
相手がなかったり、あっても全く問題にされていなかったりするのに、ひとりで夢中になってその事に取り組む。また、その結果何も得ることなく終わる。
人を食う(ひとをくう)
人を人とも思わないような言動をする。
「人を食った応対ぶりに腹を立てる」
火に油を注ぐ(ひにあぶらをそそぐ)
(火に油を注ぐと、さらに火の勢いが増すことから)勢いのあるものにさらに勢いを与えるようなことをする。状況をさらに悪化させる。
非の打ち所がない(ひのうちどころがない)
非難すべきところがない。完全である。
「非の打ち所がない答え」
火の車(ひのくるま)
(仏教で、生前悪事を犯した者を乗せて地獄に運ぶという、火の燃えている車のこと。その車に乗っているように苦しいことから)家計が非常に苦しいこと。生計のやりくりに苦しむこと。
「一家の台所は火の車だ」
火の付いたよう(ひのついたよう)
(1)激しいさま。性急なさま。
「事件現場は火の付いたような騒ぎだ」
(2)赤ん坊などが、大声ではげしく泣き叫ぶさま。
「赤ん坊が火の付いたように泣き出す」
日の出の勢い(ひのでのいきおい)
朝日がさしのぼるような盛んな勢い。全盛であること。
「日の出の勢いの大スター」
日の目を見る(ひのめをみる)
(「日の目」は、日差しの意)埋もれていたものが、世に知られるようになる。世に出る。
「彼の研究もやっと日の目を見た」
火花を散らす(ひばなをちらす)
(刀を交えて激しく切り合うとき、刀がぶつかり合って火花が散ることから)互いに激しく争う。
「火花を散らす論戦」
火蓋を切る(ひぶたをきる)
(火縄銃の火蓋を開いて点火の用意をする意から)物事に着手する。戦い、競技などを始める。
「熱戦の火蓋が切られる」
暇に飽かす(ひまにあかす)
(「飽かす」は、あるにまかせて十分に使うの意)ひまにまかせて物事に多くの時間を費やす。
「暇に飽かして読書をする」
悲鳴を上げる(ひめいをあげる)
(苦痛、驚きなどのために思わず叫び声を出す意から)物事があまりに大変で他に助けを求めたり、弱音を吐いたりする。
「きびしい練習に悲鳴を上げる」
百も承知(ひゃくもしょうち)
十分に承知していること。
「そんなことは百も承知だ」
冷や飯を食う(ひやめしをくう)
(残り物のつめたい飯を食わされることから)冷遇される。
「上司にさからって冷や飯を食わされる」
氷山の一角(ひょうざんのいっかく)
(氷山の海面上に見える部分は全体の7分の1から8分の1であるところから)物事のごく一部分が外に現われていることのたとえ。根深く広がっている、好ましくない物事についていう。
「この事件は氷山の一角にすぎない」
日を追って(ひをおって)
日がたつにつれて。日一日と。だんだん。
「日を追って病気が快方に向う」
火を見るより明らか(ひをみるよりあきらか)
道理が明白であって、疑いを入れる余地がない。この上もなく明白であることにいう。
ピンからキリまで(ぴんからきりまで)
(「ピン」はポルトガル語 pinta(点の意)から、カルタや賽の目の1の意。
「キリ」も、ポルトガル語 cruz(十字架の意)から、10の意)始めから終わりまで。最上のものから最低のものまで。上等なものから下等なものまで。
顰蹙を買う(ひんしゅくをかう)
見る人に、眉をひそめさせるような行為をして、きらわれる。
「電車の中で大騒ぎして、ひんしゅくを買う」
貧すれば鈍する(ひんすればどんする)
貧乏になるとその性質や頭の働きまでも愚鈍になる。また、貧乏するとどんな人でもさもしい心をもつようになることにもいう。
貧乏くじを引く(びんぼうくじをひく)
(「貧乏くじ」は、いちばん不利なくじの意)損な役まわりに当たる。つまらぬめぐりあわせに会う。
【ふ】
ふいになる(ふいになる)
何もかもなくなる。駄目になる。努力が空しい結果に終わる。
「せっかくの休みがふいになる」
不意を討つ(ふいをうつ)
相手の油断をみて、いきなり何かをする。奇襲する。また、おどろかす。不意を衝く。
不意を衝く(ふいをつく)
相手が予期していないとき、ところをねらって事をしかける。
風雲急を告げる(ふううんきゅうをつげる)
(「風雲」は、事の起こりそうな天下の情勢の意)大事件の起きそうな情勢がさしせまってくる。ただごとでない情勢になる。
風雪に耐える(ふうせつにたえる)
きびしい自然の力に負けずにこらえる。また、人生のきびしい試練や苦難に屈しないで進む。
風前の灯(ふうぜんのともしび)
(風の吹きあたるところに置かれた灯火はたちまち吹き消されることから)物事のはかなくもろいこと、危険に直面し、生命の今にも絶えようとすることのたとえにいう。
不覚を取る(ふかくをとる)
油断して失敗する。思わぬ恥をかく。
「ノーシードの対戦相手に不覚を取ってしまった」
分が悪い(ぶがわるい)
わりが悪い。損である。不利である。
不興を買う(ふきょうをかう)
目上の人から好ましくなく思われる。機嫌を損ねる。
「社長の不興を買う」
伏線を張る(ふくせんをはる)
小説、戯曲などで、のちに述べる事柄の準備のために、それに関連した事柄を前の方でほのめかす。転じて、あとのことがうまくいくように、前もってそれとなく手を打っておく。
含む所がある(ふくむところがある)
心のうちにひそかに恨みや怒りをいだいている。恨みに思っている。
「彼は私に含む所があるようだ」
袋の鼠(ふくろのねずみ)
袋の中に追いこまれた鼠。逃げ出ることのできないたとえ。袋の中の鼠。
「犯人はすっかりとり囲まれて袋の鼠だ」
不幸中の幸い(ふこうちゅうのさいわい)
不幸な出来事の中にあって、わずかに救いとなること。
「事故にあって軽傷ですんだのは不幸中の幸いだ」
二つ返事(ふたつへんじ)
(「はい、はい」と2つ重ねて返事をする意)ためらうことなく、すぐに気持よく承知の返事をすること。
「二つ返事で承知する」
二股を掛ける(ふたまたをかける)
同時に2つのことをしようとする。また、結果がどちらになっても損のいかないようにあれとこれの両方に働きかける。両天秤に掛ける。
二目と見られない(ふためとみられない)
あまりにも醜かったり、悲惨だったりして見るに堪えない。
蓋を開ける(ふたをあける)
(1)事を始める。また、事の実情や結果などを見る。
「選挙結果は蓋を開けてみないとわからない」
(2)劇場などで、興行を始める。初日をあける。
「今度の芝居は蓋を開ける前から評判が高い」
物議を醸す(ぶつぎをかもす)
世間の論議を引き起こす。
「首相の発言が物議を醸す」
降って湧いたよう(ふってわいたよう)
(天から降ったか地から湧いたかしたようの意)物事が思いがけなく起こるさま。
「降って湧いたような幸運」
筆が立つ(ふでがたつ)
文章を書くのがじょうずである。
筆を入れる(ふでをいれる)
添削する。詩文をなおす。
「文章に筆を入れる」
筆を擱く(ふでをおく)
文章を書き終える。また、書くのをやめる。
筆を加える(ふでをくわえる)
書き加える。書き足して文章をなおす。
筆を断つ(ふでをたつ)
文筆活動をやめる。筆を折る。
筆を揮う(ふでをふるう)
書や絵画を書く。
懐が寒い(ふところがさむい)
所持金が少ない。財産がわずかしかない。懐が寂しい。
「今日は何かと物入りで懐が寒くなってしまった」
懐が深い(ふところがふかい)
(1)相撲で四つに組むときに、両腕と胸とで作る空間が広く、相手になかなかまわしを与えないことをいう。
(2)度量が広い。また、理解力や能力に幅がある。
「彼は反対意見にも耳を傾ける懐が深い人だ」
腑に落ちない(ふにおちない)
(「腑」は、はらわた。転じて、心。考えの意)納得できない。合点がいかない。
「何故あんなことをしたのか腑に落ちない」
舟を漕ぐ(ふねをこぐ)
(船をこぐ姿に似ているところから)居眠りをする。
「電車で座ったとたん舟をこぎだした」
不問に付す(ふもんにふす)
問いたださないで、そのままにしておく。
「本人も反省しているので今回は不問に付す」
振り出しに戻す(ふりだしにもどす)
(すごろくで振り出し[出発点]にこまを戻すことから)物事の初めの状態にもどる。出発点にもどる。
「勝負を振り出しに戻す」
篩に掛ける(ふるいにかける)
(篩を使って粉などを選り分ける意から)ある基準によって、多くの人・物を選び分けて、その基準に適さないものを排除する。
「応募者全員を篩にかける」
踏ん切りが付く(ふんぎりがつく)
きっぱりと決心する。決断する。
踏んだり蹴ったり(ふんだりけったり)
(踏まれたり蹴られたりの意から)一度にさまざまな被害にあうこと。さんざんな目にあうこと。泣きっ面に蜂。弱り目に祟り目。
褌を締める(ふんどしをしめる)
十分に決心してとりかかる。気持を引き締めて事に当たる。
分秒を争う(ふんびょうをあらそう)
ごく短い時間を問題とする。事態がひどくさし迫っているたとえ。
【へ】
平行線を辿る(へいこうせんをたどる)
(意見が平行線を進んでいくように交わらないということから)互いに自分の意見に固執して、いつまでたっても、意見や話が一致しない。
「交渉は平行線をたどる」
臍が茶を沸かす(へそがちゃをわかす)
おかしくてたまらない、また、ばかばかしくてしかたがないたとえ。多くあざけりの意をこめて用いる。臍で茶を沸かす。
「ばかばかしくってへそが茶を沸かすよ」
臍を曲げる(へそをまげる)
機嫌をそこねて意固地になる。すねる。
「彼に話を通さなかったので、へそを曲げられた」
下手の横好き(へたのよこずき)
下手なくせに好きで熱心であること。
「下手の横好きで絵を書く」
屁とも思わない(へともおもわない)
意味あるものと思わない。なんとも思わない。物の数とも思わない。
「これぐらいの雨、へとも思わないよ」
蛇に見込まれた蛙(へびにみこまれたかえる)
身がすくんで動くこともできないさまのたとえ。とても勝ち目のない相手に会った時などに用いる。蛇に睨まれた蛙。
蛇の生殺し(へびのなまごろし)
(半死半生にして、殺しもせず生かしもしない意から)物事に決着をつけず、不徹底のままにして苦しめることをたとえていう。
減らず口を叩く(へらずぐちをたたく)
負け惜しみや屁理屈(へりくつ)をいう。減らず口を利く。
弁が立つ(べんがたつ)
弁舌がうまい。演説や話し方がうまい。雄弁である。
ぺんぺん草が生える(ぺんぺんぐさがはえる)
(「ぺんぺん草」は、ナズナの異名。荒れ果てるとナズナがしげることから)家、屋敷などの荒れ果てたさまのたとえ。住む人のいなくなった家屋や、建物が取り払われ、空地となった所の荒れ果てる様子をいう。
片鱗を示す(へんりんをしめす)
(「片鱗」は、魚の一片の鱗。転じて、全体のごくわずかな部分の意)学識・才能などの一部分をちらりと見せる。
「才能の片鱗を示す」
【ほ】
棒に振る(ぼうにふる)
それまでの努力や苦心の結果をすっかり無駄にする。駄目にする。
「せっかくの地位を棒に振る」
這う這うの体(ほうほうのてい)
今にもはい出さんばかりの様子。ひどく恐縮し、またさんざんな目にあい、あわてて逃げ出すさまをいう。
「ほうほうの体で逃げ出す」
吠え面をかく(ほえづらをかく)
泣き顔をする。
「後で吠え面をかくな」
頬被りをする(ほおかぶりをする)
(頭から頬・あごへかけて衣服や手拭いなどを被って顔を隠すことから)知っていながら知らないふりをする。
墓穴を掘る(ぼけつをほる)
(自分で自分の墓を掘る意から)自分の行為が原因となって破滅する。みずから滅亡の方向に進んで行くことのたとえ。
矛先を向ける(ほこさきをむける)
攻撃の目標とする。攻撃する。
「怒りの矛先を向ける」
反故にする(ほごにする)
(「反故」は、書画などを書き損じて不用となった紙のこと)役に立たないものにする。約束や契約などをないものとする。
「約束を反故にする」
矛を収める(ほこをおさめる)
(武器である矛をしまう意から)戦いをやめる。争いをやめる。
ほしいままにする(ほしいままにする)
(1)自分勝手にする。つつしみなく、我がものとする。
「権力をほしいままにする」
(2)心ゆくばかりにする。わがものにして十分に満足する。
「雄大な景観をほしいままにする展望台」
臍を固める(ほぞをかためる)
(「ほぞ」は、へその意)かたく決意する。覚悟する。
臍を噛む(ほぞをかむ)
後悔する。悔やむ。
ボタンの掛け違い(ぼたんのかけちがい)
(衣服のボタンのかけ違いにたとえた語)手続きや手順が狂うこと。
「ボタンのかけ違いから大きなもめごとになる」
ほとぼりが冷める(ほとぼりがさめる)
熱した感情がさめる。興奮がおさまる。また、事件などに関する世間の注目や関心がなくなる。
「事件のほとぼりが冷めるまで身を隠す」
骨がある(ほねがある)
しっかりしている。意志を貫く強い気持ちがある。気骨がある。
「骨がある人物」
骨が折れる(ほねがおれる)
困難で苦労する。面倒である。
「骨が折れる仕事」
骨抜きにする(ほねぬきにする)
(1)性根などをなくさせてしまう。
(2)考えや計画などの重要な部分を抜き去って、内容のないものにする。
「法案を骨抜きにする」
骨までしゃぶる(ほねまでしゃぶる)
(生き物の肉などを、骨をしゃぶるまで食いつくす意から)欲をみたすために、徹底的に他人を利用し苦しめる。
骨身にこたえる(ほねみにこたえる)
全身に強く感じる。心身に強く深く感じる。
「彼のことばが骨身にこたえる」
骨身を惜しまず(ほねみをおしまず)
労力や面倒をいとわない。一心に働くさまにいう。
「骨身を惜しまず働く」
骨身を削る(ほねみをけずる)
からだがやせ細るほど苦心や努力をする。
「骨身を削る思いでためた金」
骨を埋める(ほねをうずめる)
(死んでそこに埋葬される意から)その場所で生涯を過ごす。また、ある事柄に一生取り組む。
「異郷の地に骨を埋める」
骨を折る(ほねをおる)
労苦をいとわず、精を出して仕事に励む。面倒がらないで努力する。また、苦心して人の世話をする。
「後輩のために骨を折る」
法螺を吹く(ほらをふく)
大言を吐く。虚言をいう。
惚れた欲目(ほれたよくめ)
惚れた相手を、実際以上に良く思ってしまう心情。
襤褸が出る(ぼろがでる)
かくしていた短所や欠点が現われる。失敗の跡が現われる。
本腰を入れる(ほんごしをいれる)
真剣になって物事に取り組む。本気になる。腰を入れる。
「本腰を入れて練習に打ち込む」

ま行


【ま】
枚挙に遑がない(まいきょにいとまがない)
(「枚挙」は、一つ一つ数えあげること)あまりに沢山あるのでいちいちならべたてることができない。
「この類の犯罪例は枚挙にいとまがない」
魔が差す(まがさす)
心の中に悪魔がはいったように、ふと悪念を起こす。思いもよらない出来心を起こす。
「魔が差して他人の物に手を出す」
間が抜ける(まがぬける)
することにぬかりがある。ぼんやりする。
「間が抜けた返事をよこす」
間が持てない(あいだがもてない)
(1)時間をもてあます。あいた時間に、どうしてよいかわからない。
「待ち時間が長すぎて間が持てない」
(2)話しにくい相手であったり、話題につまったりしてどうしてよいかわからない。また、対談の際に話題が続かないで苦慮する。
「会話がとぎれ間が持てなくて困る」
曲がりなりにも(まがりなりにも)
不十分ではあるが、どうにかこうにか。不完全ながら。
「生活必需品はまがりなりにも揃っている」
間が悪い(まがわるい)
(1)きまりが悪い。ばつが悪い。
「うわさ話をしていたら本人が来て間が悪かった」
(2)運が悪い。まわりあわせが悪い。
「間が悪いことに電車は出た直後だった」
幕が上がる(まくがあがる)
幕があいて、芝居などが始まる。転じて、物事が始まる。
幕が下りる(まくがおりる)
芝居などが終わって幕がしまる。転じて、物事が終わりになる。
「人生の幕が下りる」
枕を高くする(まくらをたかくする)
安心して寝る。安眠する。転じて、安心する。
「枕を高くして寝る」
幕を開ける(まくをあける)
幕をあけて、芝居などの演技を始める。転じて、物事を始める。
「プロ野球のペナントレースが幕を開ける」
幕を切って落とす(まくをきっておとす)
幕が開いて芝居が始まる。転じて、物事をはなばなしく始める。
「大会の幕を切って落とす」
幕を閉じる(まくをとじる)
芝居などが終わって幕をしめる。転じて、物事を終わりにする。
「オリンピックは、先週、幕を閉じた」
負けず劣らず(まけずおとらず)
互いに優劣なく競い合うさま。互いに優劣のつけがたいさま。
「両チーム負けず劣らずの強力打線」
勝るとも劣らぬ(まさるともおとらぬ)
価値や数量・程度などが、比較するものと同等かそれ以上である。
「師に勝るとも劣らぬ腕前」
間尺に合わない(ましゃくにあわない)
(「間尺」は、家屋や建具などの寸法。転じて、物事の計算。割合の意)割に合わない。損益がつりあわない。損になる。
「間尺に合わない仕事」
股に掛ける(またにかける)
ひろく各地を歩きまわる。各地をとび歩いて活動する。
「世界を股にかける」
末席を汚す(まっせきをけがす)
(分に過ぎているが、下座にでも座らせていただくという意で)会合に出席したり仲間に加わったりすることを謙遜していう語。
「この度、委員会の末席を汚すことになりました」
待てど暮らせど(まてどくらせど)
待って日を暮らすけれども。いくら長く待っても。
「待てど暮らせど帰ってこない」
的を射る(まとをいる)
(矢を放って的に命中させる意から)的確に要点、本質をとらえる。
「的を射た意見」
的を絞る(まとをしぼる)
目的、目標とする対象の範囲を限定する。
「若者に的を絞った商品」
俎板に載せる(まないたにのせる)
批評などの対象とする。俎上(そじょう)に載せる。
「いじめ問題を俎板に載せて論じ合う」
まなじりを決する(まなじりをけっする)
(「決する」は裂く意)大きく目を見ひらく。怒りや決意の表情にいう。まなじりを裂く。
「まなじりを決して事に当たる」
真に受ける(まにうける)
ことば通りに受け取る。ほんとうだと思う。
「冗談を真に受ける」
目の当たりにする(まのあたりにする)
目の前でみる。実際に自分の目で見る。
「事故を目の当たりにする」
眉に唾を付ける(まゆにつばをつける)
(狐、狸などにだまされないように眉に唾をつけるというところから)欺かれないように用心する。
眉を曇らせる(まゆをくもらせる)
心配したり不快を感じたりして、暗い表情になる。
眉を顰める(まゆをひそめる)
心の中に心配事や憂いごとがあったり、他人のいまわしい言動に不快を感じたりして、顔をしかめる。眉根を寄せる。眉をしかめる。眉を寄せる。
「あまりの傍若無人に眉をひそめる」
真綿で首を締めるよう(まわたでくびをしめるよう)
(真綿の繊維は細く柔らかいが切れにくいところから)遠まわしにじわじわと責めたり痛めつけたりすることのたとえ。
真綿に針を包む(まわたにはりをつつむ)
表面はやさしいが、内心に害意があって底意地が悪いさまのたとえ。害意や底意地の悪さを隠すことのたとえ。
満更でもない(まんざらでもない)
まったくだめだというわけではない。必ずしも悪くはない。
「おだてられてまんざらでもないような顔だ」
まんじりともしない(まんじりともしない)
(「まんじり」は、ちょっと眠るさま)少しも眠らないさま。
「心配のあまりまんじりともしないで夜を明かした」
満を持す(まんをじす)
(弓を十分引きしぼって、そのまま構えている意から)準備を十分にして時機の来るのを待つ。
「満を持して発表した大作」
【み】
見得を切る(みえをきる)
(「見得」は歌舞伎で、雰囲気、感情が最高潮に達した場面で、役者が目立った表情、動作をし、一瞬動きを止める演技のこと)自分を誇示するような言動をする。
「俺に任せとけと見得を切る」
見栄を張る(みえをはる)
ことさらに外観を飾る。うわべをとりつくろう。
「借金してでもいい服を着て見栄を張る」
磨きを掛ける(みがきをかける)
練習や経験を積み重ねて、技や芸をよりすぐれたものにする。洗練させる。また、程度を甚だしくする。
「技に磨きをかける」
身が入る(みがはいる)
物事に熱心になる。真剣に取り組める。
「仕事に身が入る」
右から左(みぎからひだり)
自分の所に留まったり、身についたりすることなく、すぐ他へ出ていくこと。
「給料が右から左へなくなる」
右といえば左(みぎといえばひだり)
人の言うことに対し、ことさらに反対すること。
「右といえば左と何でも反対する」
右に出る(みぎにでる)
すぐれている。凌駕(りょうが)する。上位に位置する。
「英会話では社内で彼女の右に出る者がない」
右へ倣え(みぎへならえ)
(右端を基準にして整列するときの号令のことばから)最初に行なった人の真似をすること。
「社長がゴルフを始めたら皆右へ倣えだ」
見切りを付ける(みきりをつける)
見込がないと判断する。見限る。
「才能に見切りをつける」
御輿を上げる(みこしをあげる)
(「輿を上げる」に「腰を上げる」をかけた語)すわりこんでいた腰をあげる。また、事にとりかかる。
水が合わない(みずがあわない)
その土地の気風が気性に合わない。そこの社会になじめない。
「彼に東京の水は合わない」
水が入る(みずがはいる)
相撲で、勝負が長びいて両力士とも疲労がはなはだしいときに、勝負を一時中止し力士に休養を与え、力水をつけさせる。また、一般に争いや勝負事を一時中止する。
水と油(みずとあぶら)
(水と油は、溶け合わないことから)しっくりと調和しないこと、たがいに性分(しょうぶん)のあわないことのたとえ。
「あの二人は水と油だ」
水に流す(みずにながす)
過去にあったことを、すべてなかったこととする。過ぎ去ったことをとがめないことにする。
「これまでのことは水に流して仲良くやる」
水の泡(みずのあわ)
努力したことがふいになること。
「長い苦労も水の泡になった」
水も滴る(みずもしたたる)
きわだって美しいさまの形容。水の滴るよう。
「水も滴るいい男」
水も漏らさぬ(みずももらさぬ)
(1)すきまなく敵をとり囲むさま。また、警戒・防御・用意などがきわめて厳重なさま。
「水も漏らさぬ警備」
(2)きわめて親しい仲の形容。
「水も漏らさぬ夫婦仲」
水をあける(みずをあける)
(水泳やボートレースなどで、一身長または一艇身以上の差をつける意から)競争相手を目立ってひきはなす。
「対立候補に水をあけられる」
水を打ったよう(みずをうったよう)
多くの人々が話を聞こうとして静まりかえるさま。
「水をうったように静まりかえる」
水を差す(みずをさす)
物事に打ち込んでいるとき、また物事がうまく進行しているときに、はたから邪魔だてをする。
「二人の仲に水を差す」
水を向ける(みずをむける)
(巫女(みこ)が霊魂を呼ぶ口寄せをする時、水をさし向けるところから)相手がある事を話しはじめるようにうまく仕向ける。また、関心をそちらに向けるようにもちかける。
「うまく水を向けて話を引き出す」
店を畳む(みせをたたむ)
店じまいをする。商売をやめる。
「赤字続きで店をたたむ」
味噌を付ける(みそをつける)
失敗する。しくじる。また、面目を失う。
道草を食う(みちくさをくう)
(馬が道ばたの草を食って進行が遅くなることから)目的地に行く途中で、他のことに時間を費やす。
道を付ける(みちをつける)
(道路をこしらえる意から)後進の者に手引きをする。また、進むべき方向の糸口をつくる。
「平和解決の道をつける」
三日にあげず(みっかにあげず)
(三日とあいだをあけないでの意から)間をおかないさま、たび重なるさまにいう。
「三日にあげずたずねてくる」
身に余る(みにあまる)
分不相応である。過分である。身に過ぎる。また、負担が大き過ぎて、自分の身には耐えられない。
「身に余る光栄」
身に覚えがない(みにおぼえがない)
わが身に思い当たる記憶がない。
「身に覚えのない事で訴えられる」
身に染みる(みにしみる)
(1)しみじみと身に味わう。痛切に感じる。
「人の情けが身にしみる」
(2)寒気、冷気などが強く身に感じられる。
「冬の寒さが身にしみる」
身に付く(みにつく)
知識、技能、習慣が自分のものとなる。また、環境や立場などに慣れる。
身につまされる(みにつまされる)
他人の不幸などが、ひとごとでなく思われる。
「がんの闘病記録をよみ、身につまされる思いだった」
身になる(みになる)
(1)からだの血や肉になる。
「病人に身になるものを食べさせる」
(2)役に立つ。ためになる。
「身になる知識」
(3)その人の身の上になりきる。
「相手の身になって考える」
身の置き所がない(みのおきどころがない)
気持ちを安らかにする場所もない。引け目、恥かしさなどで、その場にいられない。
「非難の目を向けられて身の置き所がない」
身の毛がよだつ(みのけがよだつ)
寒さや恐ろしさのために、体の毛が逆立つ。ぞっとする。戦慄(せんりつ)する。
「身の毛がよだつような光景」
身のほど知らず(みのほどしらず)
自分の身分や能力などの程度・限界をわきまえないこと。また、その人やそのさま。
「身のほど知らずの計画を立て、失敗に終わる」
耳が痛い(みみがいたい)
他人のいうことが自分の弱点をついていて、聞くのがつらい。
「彼女の指摘は耳が痛い」
耳が早い(みみがはやい)
噂などを聞きつけるのが早い。すばやく物事を聞き知る。耳ざとい。
「そのニュースを知っているとは耳が早い」
耳に入れる(みみにいれる)
はなしを聞かせる。告げ知らせる。また、聞く。聞いて知る。
「是非お耳に入れておきたいことがあります」
耳に障る(みみにさわる)
聞いて不愉快に思う。
耳にする(みみにする)
聞く。
「彼のうわさを耳にする」
耳に胼胝ができる(みみにたこができる)
同じことを何度も聞かされることをいう語。
「説教は耳にたこができるほど聞かされた」
耳に付く(みみにつく)
(1)物音や声などが耳にとまって、気になる。
「波の音が耳について眠れない」
(2)同じことを何度も聞かされて、聞き飽きている。
「社長の訓辞も耳についた」
耳に残る(みみにのこる)
声や音が忘れられなくなる。
「彼女の歌声が耳に残る」
耳に入る(みみにはいる)
聞こえる。他人のいうことや、音、情報などがおのずと聞こえる。また、聞いて知る。
「この事が彼の耳に入ったら大変だ」
耳に挟む(みみにはさむ)
ちらっと聞く。ふと耳にはいる。
「近くに学校ができるという話を耳に挟む」
耳寄りな話(みみよりなはなし)
聞く値打ちのある話。聞いて得する話。
「近所の人から耳寄りな話を聞く」
耳を疑う(みみをうたがう)
聞いたことが信じられないことにいう。
「その話を聞いて、我と我が耳を疑った」
耳を貸す(みみをかす)
人のいうことを聞く。また、相手の相談にのる。
「人の意見に耳を貸す」
耳を傾ける(みみをかたむける)
注意して聞く。熱心にじっと聞く。傾聴する。
「すばらしい演奏に耳を傾ける」
耳を澄ます(みみをすます)
聞こうとして注意を集中する。注意して聞く。
「小鳥のさえずりに耳を澄ます」
耳を欹てる(みみをそばだてる)
声や物音のする方に注意を向けて、よく聞こうとする。
「ひそひそ話に耳をそばだてる」
耳を揃える(みみをそろえる)
(大判、小判の縁(へり)を揃える意から)金額を不足なく整える。
「耳を揃えて返す」
耳を劈く(みみをつんざく)
耳を突き破る。非常に大きな音のとどろくさまにいう。
「爆音が耳をつんざく」
見向きもしない(みむきもしない)
まるで興味がない。目もくれない。
「甘い物など見向きもしない」
身も蓋もない(みもふたもない)
(「身」は、入れ物の意)露骨すぎて、情味も含蓄もない。直接すぎて、話の続けようがない。
「そう言ってしまっては、身も蓋もない」
身も世もない(みもよもない)
自分の身のことも世間の手前も考えていられない。
「身も世もなく泣きくずれる」
脈がある(みゃくがある)
(脈拍が絶えないでいる意から)見込みがある。まだ望みが残されている。
「あの話にはまだ脈がある」
冥利に尽きる(みょうりにつきる)
(「冥利」は、人が知らず知らずの間に、神仏などから与えられる恩恵の意)自分の身分や商売などによって受ける恩恵が、あまりにも多くてありがたい。
「役者冥利に尽きる大役」
見る影もない(みるかげもない)
見るにたえないほどみすぼらしい様子である。
「町は見る影もなく破壊された」
見るに見かねる(みるにみかねる)
見ていて堪えられない。安んじて見ていられない。
「見るに見かねて荷物を持ってあげた」
身を入れる(みをいれる)
物事を、心をこめてする。一生懸命にする。
「勉強に身を入れる」
身を固める(みをかためる)
(1)身なりを整える。しっかりと身じたくをする。
「鎧(よろい)(かぶと)に身を固める」
(2)結婚して家庭を持つ。
「そろそろ身を固めてもいい年ごろだ」
身を切られる(みをきられる)
つらさや寒さなどが非常にきびしく、からだが切られるように感じる。
「身を切られるような辛さ」
身を削る(みをけずる)
非常に苦労する。苦労や心配で身をやせさせる。骨身を削る。
「身を削るようにして絵を完成させる」
身を焦がす(みをこがす)
思慕の情に堪え切れずもだえ苦しむ。恋い焦がれる。身を焼く。
「かなわぬ恋に身を焦がす」
身を粉にする(みをこにする)
労苦をいとわずに、一心に努める。身を砕く。粉骨砕身する。
「身を粉にして働く」
身を立てる(みをたてる)
(1)立身出世する。身を起こす。
「身を立て、名をあげる」
(2)生活の手段とする。生活を立てる。
「針仕事で身を立てる」
身を挺する(みをていする)
あることのために危険をかえりみず自分の体を投げ出す。また、率先して事に当たる。
「身を挺して消火に当たる」
身を投じる(みをとうじる)
身を置く。また、物事に打ち込む。熱中する。
「政界に身を投じる」
身を退く(みをひく)
これまでかかわってきたことや地位などから離れる。
「第一線から身を退く」
実を結ぶ(みをむすぶ)
(植物の実がなる意から)努力しただけの十分な結果が生まれる。成果が現われる。成功する。
「長年の努力が実を結ぶ」
身を持ち崩す(みをもちくずす)
身持ちを悪くする。不品行でだらしのない生活をする。身を崩す。
「酒で身を持ち崩す」
身を以て(みをもって)
直接、自分のからだで。一身を投げうって。
「身を以て手本を示す」
身を窶す(みをやつす)
目立たない姿に身を変える。みすぼらしい姿に身を変える。
身を寄せる(みをよせる)
たよりとする。また、ある人の家に住みこんで世話になる。
「友人の家に身を寄せる」
【む】
向こうに回す(むこうにまわす)
相手とする。敵とする。
「強敵を向こうに回して、互角に戦う」
向こうを張る(むこうをはる)
相手となる。対抗する。はりあう。
「専門家の向こうを張る」
虫がいい(むしがいい)
自分勝手である。自分の都合だけを考えて、他人のことなどはまったく考えない。あつかましい。ずうずうしい。
「虫がいい考え」
虫が知らせる(むしがしらせる)
なんとなく心に感じる。どうもそのような感じがする。予感がする。
虫が好かない(むしがすかない)
どことなくいやな感じがして気にいらない。どうも好感がもてない。
「虫が好かない奴」
虫唾が走る(むしずがはしる)
(「虫唾」は、胸がむかむかしたとき、胃から口中に逆流してくるすっぱい液)口中に虫唾が出て、吐き気を催す。多く、ひどく忌み嫌うたとえにいう。
「顔を見ただけで虫唾が走る」
虫の息(むしのいき)
弱りはてて今にも死にそうなかすかな息づかい。
「病院に運ばれたときはすでに虫の息だった」
虫の居所が悪い(むしのいどころがわるい)
機嫌が悪く、ちょっとしたことでもすぐ腹を立てる。不機嫌なさまにいう。
「父はいま虫の居所が悪いので、例の話はまたにしよう」
虫の知らせ(むしのしらせ)
なんとなく良くないことが起こりそうな気がすること。予感がすること。
虫も殺さない(むしもころさない)
虫さえも殺さないほどおとなしいさまの形容。
「虫も殺さない顔をして」
無駄飯を食う(むだめしをくう)
何の役にも立たないでむだに日を送る。仕事もしないでぶらぶらと暮らす。
胸が痛む(むねがいたむ)
心に苦痛を感じる。心痛する。悩む。
「いじめに苦しむ子供のことを耳にするたびに胸が痛む」
胸が一杯になる(むねがいっぱいになる)
悲哀・歓喜・感動などで心が満たされる。感極まる。
「胸が一杯になり何も言えません」
胸が躍る(むねがおどる)
期待・興奮などで浮き浮きして落ち着かなくなる。胸がどきどきする。胸がわくわくする。胸が弾む。
「期待に胸が躍る」
胸が騒ぐ(むねがさわぐ)
不安、期待などで心が動揺する。むなさわぎがする。
胸がすく(むねがすく)
気分がさわやかになる。胸のつかえがとれる。溜飲が下がる。
「胸がすくような啖呵(たんか)を切る」
胸がつかえる(むねがつかえる)
悲しみや心配事などのために、胸がしめつけられるように苦しくなる。
「悲しみのため胸がつかえて、ことばも出ない」
胸が潰れる(むねがつぶれる)
悲しみや心配事で心が強くしめつけられるように感じる。たいそう驚く。
「悲報に接して胸が潰れる思いだ」
胸が詰まる(むねがつまる)
悲しみ、悩み、感動などがこみあげてきて、胸がふさがるように感じる。胸が一杯になる。胸が塞がる。
胸が張り裂ける(むねがはりさける)
悲しみ、苦しみ、憎しみ、くやしさなどが大きくて、胸が裂けるような苦痛を感じる。胸が裂ける。
胸が膨らむ(むねがふくらむ)
希望や喜びで心の中がいっぱいになる。
「期待に胸が膨らむ」
胸が塞がる(むねがふさがる)
心配や悲しみなどで胸がいっぱいになる。胸が詰まる。
胸に描く(むねにえがく)
心の中に思い描く。思い浮かべる。
「自分の未来を胸に描く」
胸に納める(むねにおさめる)
口に出して言わないで、心の中にしまいこんでおく。
「これはあなた一人の胸に納めておいて下さい」
胸に刻む(むねにきざむ)
しっかりと胸にとどめて忘れない。
「恩師のことばを胸に刻む」
胸に迫る(むねにせまる)
いろいろの思いが胸に満ちていっぱいになる。
「万感胸に迫る」
胸に秘める(むねにひめる)
ある考えや思いを人に言わないで、心の中に大切にしまっておく。
「胸に秘める思い」
胸を痛める(むねをいためる)
ひどく心配する。
「両親の不和に小さな胸を痛める」
胸を打つ(むねをうつ)
強く感動させる。心を打つ。
「彼の犠牲的精神は多くの人の胸を打った」
胸を躍らせる(むねをおどらせる)
喜びや期待、また、不安などで胸をわくわくさせる。
「胸を躍らせて吉報を待つ」
胸を貸す(むねをかす)
(相撲で、上位の者が下位の者の稽古の相手をしてやることから)実力の上の者が、下の者の練習の相手をしてやる。
胸を借りる(むねをかりる)
(相撲で、下位の者が上位の者に稽古の相手をしてもらうことから)実力の下の者が、上の者に練習の相手になってもらう。
胸を焦がす(むねをこがす)
ひどく思いわずらう。思い焦がれる。
「胸を焦がす恋」
胸を反らす(むねをそらす)
得意になって、自信のある態度を示す。
「勝って得意げに胸を反らす」
胸を衝く(むねをつく)
(1)急の事態に驚いてどきっとする。はっとする。
「子供の無邪気な一言にはっと胸をつかれた」
(2)いろいろの思いが胸をいっぱいにする。心配の思いが急につのる。
「悲しみが胸をつく」
(3)坂や山道などの勾配が急である。
「胸をつく急な坂道」
胸を撫で下ろす(むねをなでおろす)
心配事が解消して、ほっと安堵(あんど)する。安心する。
「全員無事と聞いて胸をなでおろす」
胸を張る(むねをはる)
自信に満ちた態度をとる。また、威勢を示す。
「胸を張って生きる」
胸を膨らます(むねをふくらます)
期待や喜びなどが心の中をいっぱいにする。
「希望に胸を膨らます」
無用の長物(むようのちょうぶつ)
(「長物」は、長すぎて役に立たないものの意)あっても益のないもの。あっても役に立たないどころか、かえってじゃまになるもの。
【め】
明暗を分ける(めいあんをわける)
幸・不幸、勝ち負けなどが、はっきりと分かれて決まる。
「投手力の差が両チームの明暗を分けることとなった」
名状し難い(めいじょうしがたい)
ことばではなんとも言い表すことができない。
「名状しがたい光景」
目が利く(めがきく)
鑑識力がすぐれている。鑑定がじょうずである。
「あの人は古美術に目が利く」
目が眩む(めがくらむ)
あるものに心を奪われて、正常な判断ができなくなる。
「金に目がくらむ」
目が肥える(めがこえる)
同じ種類のものをたくさん見て、その価値を見分ける力がつく。いいものを見なれて鑑識力が増す。
目が覚める(めがさめる)
(1)眠気の去るような思いがする。あざやかさ、目新しさに驚く。
「目が覚めるような赤色」
(2)心の迷いが去って本来の姿に立ちかえる。自覚して、罪や非を悔い改める。
「さんざんだまされてようやく目が覚めた」
目頭が熱くなる(めがしらがあつくなる)
深く感じて、目に涙が浮かんでくる。涙が出そうになる。
「命がけでひなを護る親鳥の姿に目頭が熱くなる」
目が据わる(めがすわる)
じっと一点を見つめて目の玉が動かなくなる。酒に酔ったり怒ったりしたさまにいう。
「酔って目が据わる」
目が高い(めがたかい)
鑑識力がすぐれている。目がきく。
目が出る(めがでる)
(振った賽(さい)によい目が出る意で)幸運がめぐってくる。
芽が出る(めがでる)
(木や草の芽が出ることにたとえて)幸運が回ってくる。また、才能などが開花する。
「五十過ぎても芽が出ない小説家」
目が届く(めがとどく)
注意がいきとどく。監視がいきわたる。
「目が届く場所で小さな子を遊ばせる」
目がない(めがない)
(1)心を奪われて、思慮・分別をなくすほどである。われを忘れるほどそれが好きである。
「甘い物には目がない」
(2)正しく判断したり、見きわめたりする知恵がない。物事を的確に判断できない。
「人を見る目がない」
眼鏡に適う(めがねにかなう)
目上の人に気に入る。認められる。お眼鏡に適う。
「親の眼鏡に適う人と結婚をする」
目が離せない(めがはなせない)
いつも、注意、監督をしていなくてはならない。常に見守っていなければならない。
「いま最も目が離せない作家」
目が光る(めがひかる)
監視がきびしくなる。
「親の目が光っている」
目が回る(めがまわる)
目がくらむ。めまいがする。また、非常に忙しいさまを形容するのにもいう。
「準備で目が回るような忙しさだ」
目から鼻へ抜ける(めからはなへぬける)
りこうで物事の判断などの素早いさま。頭の回転が早くて抜け目のないさま。非常に賢いようすを形容していう。
目から火が出る(めからひがでる)
顔や頭などを強くうちつけたとき目の前が真っ暗になり、一瞬光の交錯することをいう。
目くじらを立てる(めくじらをたてる)
(「目くじら」は、目尻の意。目尻をつり上げる意から)他人の欠点を探し出してとがめ立てをする。わずかの事を取り立ててそしりののしる。
「何かと目くじらを立てて文句を言う」
目配せをする(めくばせをする)
目で合図をする。目で知らせる。
「目配せをして、それとなく知らせる」
目先が利く(めさきがきく)
先の見通しがきく。当座の処置がうまくできる。機転がきく。めはしがきく。
「目先が利いて売れる本を次々と出す」
目先を変える(めさきをかえる)
趣向を変えて目新しくする。
目じゃない(めじゃない)
たいしたことはない。問題ではない。論外である。
「ライバルとはいえ、あいつなんかめじゃない」
メスを入れる(めすをいれる)
災いの根を除くために思い切った手段をとる。事態を徹底的に分析し批判する。
「業界の腐敗体質にメスを入れる」
目処が付く(めどがつく)
将来うまくやって行ける見通しがはっきりする。めどが立つ。
「解決のめどがつく」
目と鼻の先(めとはなのさき)
二つの間の距離のきわめて近いことのたとえ。目と鼻の間。
「駅はここから目と鼻の先にある」
目に余る(めにあまる)
程度がひどすぎて、黙ってみていられないほどである。
「傍若無人な態度が目に余る」
目に浮かぶ(めにうかぶ)
そのときの姿やさまが目の内にありありと再現される。
「なつかしい友人の笑顔が目に浮かぶ」
目に角を立てる(めにかどをたてる)
怒った目付きで鋭く見る。目角(めかど)を立てる。
「目に角を立ててどなり散らす」
目にする(めにする)
実際に、自分の目で見る。目撃する。
「現場を目にする」
目に付く(めにつく)
目にとまる。目立って見える。
「悪質な犯罪の記事が目につく」
目に留まる(めにとまる)
心がひかれる。注意が引きつけられて印象に残る。気に入る。
「一輪の美しい花が目に留まった」
目に入る(めにはいる)
自然に目に見える。視野にはいる。
「ひときわ高い建物が目に入る」
目に触れる(めにふれる)
見える。目にはいる。目につく。
「目に触れるものすべてが新しい」
目に見えて(めにみえて)
目立って。見てはっきりわかるように。
「彼女は目に見えて元気になってきた」
目にも留まらぬ(めにもとまらぬ)
あまりに速くてはっきりと見定めることができない。
「目にも留まらぬ速さ」
目に物言わす(めにものいわす)
目づかいで相手にこちらの意を知らせる。
目に物見せる(めにものみせる)
相手をぎゃふんといわせる。ひどい目にあわせる。思い知らせる。
「今度会ったら、目に物見せてくれる」
目に焼き付く(めにやきつく)
見て強い印象を受ける。
「悲惨な光景が目に焼きつく」
目の色を変える(めのいろをかえる)
目つきをかえる。また、血走った目つきになる。怒りや驚き、また何かに熱中するさまの表現に用いる。
「目の色を変えてくってかかる」
目の上の瘤(めのうえのこぶ)
自分よりも力が上で、何かと目ざわり・邪魔になるもののたとえ。また、単に邪魔なものをいう場合もある。目の上のたん瘤。
目の敵にする(めのかたきにする)
なにかにつけて憎んで敵視する。
目の黒いうち(めのくろいうち)
生きているうち。存命中。目の玉の黒いうち。
「おやじの目の黒いうちは、この家を壊すことはできまい」
目の覚めるよう(めのさめるよう)
ひときわ目立って。見てはっと驚くような。
「目の覚めるようなクリーンヒットを打つ」
目の毒(めのどく)
見ると害になるもの。見て苦痛となるもの。また、見ると欲しくなるもの。
目の中へ入れても痛くない(めのなかへいれてもいたくない)
かわいくてかわいくてたまらないさま、盲愛するさまをたとえていう。目に入れても痛くない。
目の保養(めのほよう)
美しい物、珍しい物を見て楽しむこと。また、そのもの。
目の前が真っ暗になる(めのまえがまっくらになる)
ひどく失望したり、落胆したりしたときの気持にいう語。目の前が暗くなる。
目鼻が付く(めはながつく)
物事が、ほぼできあがる。大体の事が決まったり、結果の予想が立ったりする。
「完成の目鼻がつく」
目星を付ける(めぼしをつける)
(「目星」は、見当。見込みの意)だいたいこうだろうと見込みを立てる。また、目標にする。
「犯人の目星をつける」
目も当てられない(めもあてられない)
あまりにもひどくて正視することができない。悲惨で見るに堪えない。
目もくれない(めもくれない)
少しの興味・関心も示さない。見向きもしない。無視する。
「彼女は男などには目もくれない」
減り張りをつける(めりはりをつける)
ものごとに強弱、緩急などの調子をつけること。
「文章にめりはりをつける」
目を疑う(めをうたがう)
見た自分の目が信じられないほど不思議である。びっくりするほど意外なことにいう。
「わが目を疑う」
目を奪う(めをうばう)
あまりの美しさ、立派さなどで、すっかり見とれさせる。驚嘆させ夢中にさせる。
「華麗な衣装が人の目を奪う」
目を覆う(めをおおう)
見るにたえないほどひどい状態に、目隠しをして見ないようにする。事実を直視しないようにする。
「あまりの惨状に目を覆う」
目を落とす(めをおとす)
目を下に向ける。視線を下に落とす。下を向く。
目を掛ける(めをかける)
注意して面倒を見る。世話をする。ひいきにする。
「先生に目をかけてもらう」
目を掠める(めをかすめる)
人に見られないように、ひそかにする。目を盗む。
「親の目を掠めて、遊びに出かける」
目を配る(めをくばる)
注意して方々を見る。目くばりをする。
「ぬかりなく四方に目を配る」
目を晦ます(めをくらます)
人に見つけられないようにする。また、ごまかして正しく見えないようにする。人の目をごまかす。
目を凝らす(めをこらす)
じっと見つめる。凝視する。
「暗闇に目を凝らす」
目を皿のようにする(めをさらのようにする)
目を大きく見開く。物を探し求めたり、凝視して細かく見分けたり、驚いたりした時などのしぐさにいう。
「目を皿のようにして探す」
目を三角にする(めをさんかくにする)
目に角(かど)を立てこわい目つきをする。目を怒らす。
「目を三角にして怒る」
目を白黒させる(めをしろくろさせる)
(1)もだえ苦しんで、目の玉を動かす。
「餅がのどにひっかかって目を白黒させる」
(2)びっくり仰天してあわてる。ひどく驚き、まごつくさまの形容。
「突然の申し出に目を白黒させる」
目を据える(めをすえる)
目の玉を動かさないで、一点を見つめるようにする。激怒したり、酒に酔ったりした時などの形容。
目を注ぐ(めをそそぐ)
目をそちらに向ける。また、注意して見る。注目する。
目を背ける(めをそむける)
見るに耐えられなくて、視線をそらす。また転じて、かかわり合いを避けたり、逃避したりすることをいう。
「現実から目を背ける」
目を逸す(めをそらす)
見つめていた目を他の方へ移す。視線をはずして他の方へ向ける。視線をはずす。
目を付ける(めをつける)
(1)じっと様子を見る。目星をつける。注視する。
「いい所に目をつけた論文」
(2)特別な注意を向ける。関心を寄せる。
「将来いい選手になると目をつける」
目を瞑る(めをつぶる)
知っていて知らないふりをする。見て見ぬふりをして、欠点などをとがめないでいる。また、がまんする。あきらめる。
「今回の失敗には目をつぶる」
芽を摘む(めをつむ)
新しく成長するものを早いうちになくす。発展のもとになるものを潰す。
「悪の芽を摘む」
目を吊り上げる(めをつりあげる)
目尻の上がった、こわい目つきをする。
「目を吊り上げて大声でどなる」
目を通す(めをとおす)
ざっと見る。ひととおり見る。通覧する。
「書類に目を通す」
目を留める(めをとめる)
注意して見る。心をとめて見る。注目する。
「新聞の見出しに思わず目を留める」
目を盗む(めをぬすむ)
人に見つからないように、こっそりと事を行なう。人目を忍ぶ。
目を離す(めをはなす)
注意して見ていたものから目をそらす。わき見をする。
「ちょっと目を離したすきにいなくなってしまった」
目を光らせる(めをひからせる)
眼光鋭く見る。また、あやしいとにらんで監視する。
「汚職に対して目を光らせる」
目を引く(めをひく)
人の注意を向けさせる。他人の目にとまるようにする。
「派手な衣装で通行人の目を引く」
目を伏せる(めをふせる)
相手から視線をそらしてうつむく。
「はずかしそうに目を伏せる」
目を細める(めをほそめる)
うれしさや目にするものの愛らしさなどに誘われてほほえみを浮かべる。目を細くする。
「孫の成長に目を細める」
目を丸くする(めをまるくする)
目を大きく見開く。特に、驚いて目を見張るさまにいう。
「人通りの多さに目を丸くする」
目を回す(めをまわす)
(1)気絶する。
「びっくりして目を回す」
(2)忙しくてあわて惑う。忙しいおもいをする。
「あまりの忙しさに目を回す」
目を見張る(めをみはる)
目を大きく見開く。怒ったり驚いたりした時などの様子にいう。
「美しさに目を見張る」
目を剥く(めをむく)
怒ったり、驚いたりなどして目を大きく見開く。目玉をむく。
「目を剥いて怒る」
目を養う(めをやしなう)
たくさんのものを見て、そのよしあしを見分ける力をつける。
「人を見る目を養う」
面が割れる(めんがわれる)
顔写真による識別や面通しの結果、確かにその人物(特に、犯人)であると確認される。
「目撃者の証言から容疑者の面が割れる」
面子を立てる(めんつをたてる)
(中国語から)体面や名誉が保たれるようにする。
「彼の面子を立てて、いうとおりにする」
面目次第もない(めんぼくしだいもない)
はずかしくて人に合わせる顔がない。
「こんな不始末をして面目次第もない」
面目を一新する(めんぼくをいっしんする)
世間の評判をすっかり改める。
「最下位チームが優勝をとげ、面目を一新する」
面目を失う(めんぼくをうしなう)
名誉を傷つけられる。自分の不手際によって世評を悪くする。体面をそこなう。
「三振ばかりで、四番打者の面目を失う」
面目を施す(めんぼくをほどこす)
名誉を高める。ほまれを得る。また、体面をそこなわずにすむ。
「優勝を果たし、横綱としての面目を施す」
【も】
申し分がない(もうしぶんがない)
文句をつけるところがない。欠点がない。
「申し分がない出来映え」
藻屑となる(もくずとなる)
(「藻屑」は、海藻のくずの意)海などで死ぬことのたとえ。
「海の藻屑となる」
持ち出しになる(もちだしになる)
予定を越えた費用は自分で負担する。
「会の費用は持ち出しになった」
持ちつ持たれつ(もちつもたれつ)
互いに助けたり助けられたりするさま。
「持ちつ持たれつの間柄」
勿体を付ける(もったいをつける)
威厳をつける。いかにもものものしげな様子をする。もったいぶる。
「勿体をつけずに率直に話してくれ」
元の鞘に収まる(もとのさやにおさまる)
(抜いた刀を元の鞘に入れることから)仲たがいまたは離婚したものが、再びもとの関係にもどる。
元も子もない(もともこもない)
(元金も利息もなくなるという意から)すべてのものを失って、これまでの努力も無にしてしまう。
「健康のためのジョギングも、やり過ぎて体を痛めては元も子もない」
もぬけの殻(もぬけのから)
(セミやヘビのぬけがらの意から)人の抜け出したあとの寝床や住居などのたとえ。
「ベッドはもぬけの殻だった」
物言いが付く(ものいいがつく)
異議や抗議、言いがかりなどがされる。また特に相撲で、行司の判定に土俵下の審判委員などから異議が申し入れられる。
物がわかる(ものがわかる)
物の道理がよくわかる。
物心が付く(ものごころがつく)
世の中の物事がわかる年頃になる。幼年期を過ぎる。
「物心がついてから東京を出たことがない」
物ともせず(ものともせず)
問題にもしない。何とも思わない。物ともしない。
「嵐を物ともせずに出発する」
物にする(ものにする)
(1)目がけて手に入れる。所有する。
「勝利をものにする」
(2)技術などを習って身につける。習得する。
「英語をものにする」
物になる(ものになる)
(1)ひとかどの人になる。立派な人になる。
「彼は将来ものになるよ」
(2)思い通りになる。意図したように事が運び、成就する。
「店を始めて三年で何とかものになった」
(3)習い覚えたものが役に立つようになる。
「ピアノもギターも手をつけたが、ものにならなかった」
物の数(もののかず)
取り上げて数え立てるほどのもの。問題にすべきもの。意に介すべきほどのもの。多く打消の語を伴って用いる。
「北国ならこんな雪物の数に入らない」
物の弾み(もののはずみ)
物事のはずみ。ちょっとした動機や成り行き。
「けんかになったのは物のはずみだ」
物は言いよう(ものはいいよう)
同じ事について言っても、言い方ひとつで違って聞こえる。
物は相談(ものはそうだん)
(1)物事はなんでも、他人とよく相談をしてみるものである。
(2)相手に相談をもちかける時や相手の助けや知恵を借りたい時にいうことば。
「ものは相談だが手伝ってはもらえないか」
物は試し(ものはためし)
物事はなんでも、実地に試してみなければその成否やよしあしはわからない。ともかく一度やってみるがよいということ。
物を言う(ものをいう)
効力を発揮する。役に立つ。
「長年の経験がものをいう」
物を言わせる(ものをいわせる)
そのものの力を十分に出させる。威力を発揮させる。
「金にものをいわせる」
紅葉を散らす(もみじをちらす)
恥ずかしさや怒りなどで顔を赤くする。
「顔に紅葉を散らす」
諸肌を脱ぐ(もろはだをぬぐ)
(左右両方の肩を着物から脱いで、上半身をはだかにして働くことから)全力を尽くし、事にあたる。
門前払いを食う(もんぜんばらいをくう)
訪問したのに、会ってもらえず追い返される。また、願いや訴えが、始めから相手にされずにしりぞけられる。
「高層マンション建設反対の請願書を提出しに行ったが門前払いを食った」
もんどりを打つ(もんどりをうつ)
(「もんどり」は、宙返りのこと)空中で一回転する。宙返りをする。頭からころがる。
「もんどりを打って倒れる」
門を叩く(もんをたたく)
師について教えを受ける。弟子となる。入門する。
「力士を志し、相撲部屋の門を叩く」

や行


【や】
矢面に立つ(やおもてにたつ)
(敵の矢の飛んで来る正面に立ちはだかる意から)質問・非難・攻撃などの集中する立場に身をおく。
「非難の矢面に立たされる」
焼きが回る(やきがまわる)
(刃物などを焼くのに、火加減が行きわたりすぎて、かえって切れ味がにぶることから)頭のはたらきや腕前などが衰える。ぼける。
焼き餅を焼く(やきもちをやく)
(「焼き餅」は、嫉妬することを「焼く」というところから、餅を添えていった語)嫉妬(しっと)する。ねたむ。
焼きを入れる(やきをいれる)
(刀などを焼いて鍛える意から)ゆるんだ気持をひき締めさせる。ぼんやりしているものに活を入れる。また、制裁を加える。拷問にかける。
「生意気な部員に焼きを入れる」
役者が一枚上(やくしゃがいちまいうえ)
(芝居の看板は、上位の役者から名前を掲げることから)知略やかけひき、また、貫禄などにおいてぬきんでていることをいう語。役者が上。
安かろう悪かろう(やすかろうわるかろう)
値段が安いだけあって品質もまた劣ることだろう。安いものによいものはない。
易きに付く(やすきにつく)
やさしい方法に従う。また、安易な方、手軽な方を選ぶ。
痩せても枯れても(やせてもかれても)
どんなに落ちぶれても。
野に下る(やにくだる)
(「野」は、官途につかないこと)官職に就いていたものが退いて民間生活にはいる。下野(げや)する。
矢の催促(やのさいそく)
つぎつぎに放たれる矢のような、続けざまの催促。厳しくしきりに催促すること。
「金を返せと矢の催促だ」
藪から棒(やぶからぼう)
(「藪から棒を突き出す」の略)他人からの働きかけが、その手前の動作や発言と関連が全くなく、唐突であるさまのたとえ。だしぬけであるさま。突然であるさま。
破れかぶれ(やぶれかぶれ)
もうどうにでもなれという気持。また、そのさま。自暴自棄。やけ。
「破れかぶれの大博打(おおばくち)
山場を迎える(やまばをむかえる)
物事の最も盛り上がった重要な場面にさしかかる。
「大会の山場を迎える」
山を掛ける(やまをかける)
万に一つのしあわせをねらって事をする。また、おおまかな推定をもとに、ねらいを絞る。山を張る。
山を越す(やまをこす)
物事が最も重大な段階を過ぎて決着や結末に近づく。
「病気も山を越して快方へ向う」
止むに止まれぬ(やむにやまれぬ)
止めようとしても止められない。そうしないではいられない。
「止むに止まれぬ事情で会社を辞める」
止むを得ない(やむをえない)
しかたがない。どうしようもない。やむを得ず。
「やむを得ないので途中で引き返す」
矢も盾もたまらず(やもたてもたまらず)
(矢でも盾でも防ぎ止めることができないの意)勢いを制することができないさま、思いつめてこらえることができないさまのたとえ。「矢も盾もたまらず彼女に会いに行く」
遣らずの雨(やらずのあめ)
帰ろうとする人を、まるでひきとめるかのように降ってくる雨。また、出かけようとする時、折わるく降ってくる雨。
遣らずぶったくり(やらずぶったくり)
人に与えるというようなことはしないで、ただ取り上げるばかりであること。
槍玉に上げる(やりだまにあげる)
(槍の穂先で突きあげる。槍で突き刺す意から)多くの中から選び出して犠牲にする。特に、非難、攻撃の目標などにして責める。
「大臣の失言を槍玉に上げる」
【ゆ】
有終の美を飾る(ゆうしゅうのびをかざる)
(「有終」は、終わりをまっとうすること)最後までやり通して、立派な成果をあげること。終わりを立派にすること。
「引退試合でホームランを打って有終の美を飾る」
融通が利く(ゆうずうがきく)
(1)臨機応変にうまく処理できる。
「頑固で融通が利かない」
(2)金銭などに余裕がある。金に不自由しないですむ。
「少しの額なら融通が利く」
油断も隙もない(ゆだんもすきもない)
すこしも油断することができない。油断も隙もならない。
指一本も差させない(ゆびいっぽんもささせない)
人から非難、干渉、嘲笑などを受けるようなことはすこしでもさせない。
指折り数える(ゆびおりかぞえる)
指を折り曲げて一つ一つ数えあげる。特に、年月を数える時に用いる語。
「帰国の日を指折り数えて待つ」
指をくわえる(ゆびをくわえる)
うらやましがりながら、手出しができないでいる。空しく傍観する。また、なすことなく引き退く。
湯水のように使う(ゆみずのようにつかう)
金銭などを、あるにまかせてむだづかいすることのたとえ。
「大金を湯水のように使う」
弓を引く(ゆみをひく)
(弓に矢をつがえて射る意から)手向かう。反抗する。敵対する。
「主人に弓を引く」
夢を描く(ゆめをえがく)
将来への希望、設計を心に思い描く。
「獣医になって動物を救う夢を描く」
【よ】
用が足りる(ようがたりる)
用件が処理できる。また、役に立つ。間に合う。
「デパートだけで用が足りた」
要領を得ない(ようりょうをえない)
要点がはっきりしない。筋道が通っていない。
「要領を得ない説明」
用を足す(ようをたす)
(1)用事をすませる。用を弁ずる。用を達する。
「母に頼まれた用を足す」
(2)大便・小便をする。大便・小便をすませる。
用をなさない(ようをなさない)
役に立たない。その働きをしない。
「さびて鋏(はさみ)の用をなさない」
欲の皮が張る(よくのかわがはる)
(「欲の皮」は、欲の強いことを皮にたとえていう語)ひどく欲が深い。金銭などを必要以上に欲しがる。
横紙破り(よこがみやぶり)
(和紙は、すき目にそって縦に裂くと裂けやすいが、横に裂くと裂けにくい。それを、あえて横に破るということから)物事を無理に押し通すこと。我を通すこと。また、そのような人。
横車を押す(よこぐるまをおす)
横に車を押して動かすように理に合わないことを無理に押し通す。理不尽なことを強引にする。
「横車を押して中止させる」
横の物を縦にもしない(よこのものをたてにもしない)
めんどうくさがって何もしない。きわめて無精なたとえ。縦のものを横にもしない。
横槍を入れる(よこやりをいれる)
(両軍が入り乱れて戦っている時、別の一隊が側面から槍で突きかかる意から)人の談話、仕事などに横あいから、第三者が口出しをして邪魔をする。
「結婚話に横槍を入れる」
余勢を駆って(よせいをかって)
何かをなしとげた余りの勢いを駆り立てて、さらに何かをしようとするさまを表わす。勢いに乗って。
「地区大会優勝の余勢を駆って全国制覇を成し遂げる」
与太を飛ばす(よたをとばす)
(「与太」は「与太郎」の略で、愚か者。転じて、いいかげんなこと)でたらめやでまかせをいう。ふざけたことをいう。
予断を許さない(よだんをゆるさない)
前もってそれと判断することができない。
「予断を許さない病状」
世に出る(よにでる)
世に知られる。出世する。
「新進気鋭の詩人として世に出る」
余念がない(よねんがない)
あることを熱心に行ない、ほかのことを考えない。あることに熱中している。
「読書に余念がない」
夜の目も寝ずに(よのめもねずに)
一晩中眠らないで、あることに取り組むようす。
「夜の目も寝ずに看病する」
呼び声が高い(よびごえがたかい)
(1)人気があって、評判がよい。
「最高傑作との呼び声が高い作品」
(2)その地位、役職につくであろうという評判が高い。
「次期総裁の呼び声が高い人物」
呼び水になる(よびみずになる)
(「呼び水」は、ポンプの水が出ないとき、外から入れて水を引き出す水のこと)ある物事を引き起こすきっかけとなる。
「エラーが大量点の呼び水になる」
夜も日も明けない(よもひもあけない)
その物がなければ片時も過ごすことができない。それがないと、少しの間もがまんできない。一つの物にひじょうに執着しているさまにいう。
縒りを戻す(よりをもどす)
(縒り合わせたものを解きほぐす意から)もとどおりにする。多く、男女の仲をもとどおりにすることにいう。
寄ると触ると(よるとさわると)
いっしょに寄り集まるごとに。折さえあれば。何かというと。
「寄ると触るとその噂ばかりだ」
弱音を吐く(よわねをはく)
弱いことばをもらす。いくじのないことをいう。
世を去る(よをさる)
この世を去る。死ぬ。
夜を日に継ぐ(よるをひにつぐ)
(昼の時間に、夜の時間まで付け足すの意)昼も夜も休まないで物事を行なう。昼夜の別なく物事をする。
「捜索は夜を日に継いで行われた」

ら行


【ら】
烙印を押される(らくいんをおされる)
ぬぐい去ることのできない汚名を受ける。周囲からそうであると決められてしまう。
「卑怯者の烙印を押される」
埒が明かない(らちがあかない)
物事がはかどらない。てきぱきと事がはこばない。決着がつかない。
「愚痴を言いあっていても埒が明かない」
埒も無い(らちもない)
とりとめがなく、つまらない。たわいもない。
「埒もないことを言う」
喇叭を吹く(らっぱをふく)
大げさな事を言う。ほらをふく。大言壮語する。
【り】
李下に冠を正さず(りかにかんむりをたださず)
スモモの木の下で手を上げるとスモモを盗むと疑われるから、そこでは冠の曲がりを正すべきではない。嫌疑を受けるような行為はすべきではないという戒め。
理に適う(りにかなう)
理屈に合う。道理にかなう。
「理に適った話」
溜飲が下がる(りゅういんがさがる)
(「溜飲」は、胃の消化作用が不調となり、すっぱい液がのどもとにあがってくること。それがとれて胸がすっきりすることから)胸がすっきりする。不平・不満が解消して気が晴れる。
「試合に勝って溜飲が下がる」
柳眉を逆立てる(りゅうびをさかだてる)
(「柳眉」は柳の葉のように細く美しい眉。美人の眉をたとえていう語)美人が眉をつりあげて怒るさまをいう語。
両手に花(りょうてにはな)
2つの美しいものやよいものを同時に手に入れることのたとえ。また、1人の男性が2人の女性を連れていることのたとえにいう。
【る】
類がない(るいがない)
他に比べるものがなく、きわだっている。
「犯罪史上類がない凶悪事件」
累を及ぼす(るいをおよぼす)
(「累」は他の人との関係で、身に及んできたわざわいの意)自分をめぐる悪い事態の影響を他人に及ぼす。まきぞえにする。迷惑をかける。
「一族に累を及ぼした」
【れ】
レッテルを貼られる(れってるをはられる)
人や物の値打ちを一方的・断定的に評価される。
「怠け者のレッテルを貼られる」
【ろ】
路頭に迷う(ろとうにまよう)
生活の手段がなくなったり、急に住む家がなくなったりしてひどく困り、途方にくれる。
露命を繋ぐ(ろめいをつなぐ)
(「露命」は、露のようなはかない命の意)ほそぼそとはかない命を保つ。かろうじて生活を続ける。
呂律が回らない(ろれつがまわらない)
(「呂律」は、ものを言う時の調子、ことばの調子の意)ことばがはっきりしない。小児や酔っぱらいなどが、舌がうまくまわらず、ことばが不明瞭になる。
論を俟たない(ろんをまたない)
論ずるまでもない。当然のこととして明らかである。

わ行


【わ】
若気の至り(わかげのいたり)
若さにまかせて無分別な行ないをしてしまうこと。血気にはやりすぎたこと。
脇目も振らず(わきめもふらず)
その物事以外に目や心を向けないで、専心するさま。一心不乱であるさま。
「脇目も振らずに勉強する」
訳はない(わけはない)
容易である。簡単である。わけがない。わけもない。
「この問題を解くのはわけはないだろう」
綿のように(わたのように)
身体から力が抜けてぐったりとし、張りも気力もなくなってしまったさま。多く、ひどく疲れたさまの形容に用いる。
渡りを付ける(わたりをつける)
話し合いのきっかけをつくる。関係をつける。また、了解を得るよう交渉する。交渉して了解を得る。
「取材先にあらかじめ渡りを付けてから取材にでかける」
我に返る(われにかえる)
はっと気がつく。意識をとりもどす。また、他の事に気を取られていたのが本心にかえる。正気にかえる。
「我に返って反省する」
我を忘れる(われをわすれる)
あることに夢中になって自分の存在を忘れる。また、他のことへの配慮をしなくなる。興奮して理性を失う。茫然自失する。
「我を忘れて外に飛び出す」
輪を掛ける(わをかける)
(ひとまわり大きくする意で)倍加する。一層はなはだしくする。さらに誇張する。
「親父に輪をかけた酒飲みだ」

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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