およす・く
〘自カ下二〙 (
連用形「およすけ」だけが使われる。「おゆ(老)」と関係ある語といわれる。「すく」の
清濁不明) 精神的・肉体的に、年齢以上におとなびているさまを表わす。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「
一宮のわか君の、今はおよすけて、琴ひかまほしうし給ふに」
※
源氏(1001‐14頃)
桐壺「いとど、この世の物ならず、清らにおよすけ給へれば」
② 年の割りにおとなびる。ませる。老成する。巧者である。
※
落窪(10C後)二「童なる子のいふやう『すべてうへのあしくし給へるぞ』とおよすけいへば」
※俳諧・葛の
松原(1692)「『
山吹』といふ五文字をかふむらしめむかと、をよづけ侍るに」
③ 年寄りじみている。地味である。
※
徒然草(1331頃)一九一「昼は、ことそぎ、およすけたる姿にてもありなん」
[
補注]
語源について「老就(付)く」から転じたとする説があるが、「およづく」は
古写本の仮名づかいからみて誤りである。また、老人の意の「およすけ」が動詞化したものとする説もある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「およすく」の意味・読み・例文・類語
およす・く
[動カ下二]《「す」「く」の清濁はともに未詳。連用形の例だけがみられる》
1 成長する。成人する。
「若君のいと美しう―・け給ふままに」〈源・浮舟〉
2 大人ぶる。ませる。
「まだきに―・けて、ざれありき給ふ」〈源・少女〉
3 じみである。老けた感じである。
「昼は、事そぎ、―・けたる姿にてもありなん」〈徒然・一九一〉
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