改訂新版 世界大百科事典 「オリビ」の意味・わかりやすい解説
オリビ
oribi
Ourebia ourebi
小さなシカに似た優美な偶蹄目ウシ科の哺乳類。サハラ以南のアフリカに分布。肩高50~70cm,体長90~110cm,体重12~22kg。四肢が細長く,背が曲がり腰が高く,雄の角は短く,20cm以下で頭上に直立し,軽く前方に曲がる。雌には角がない。体毛は短く滑らかで,体の大部分は黄褐色ないし赤褐色,耳介の内面,のど,胸,腹,尾の下面は白色。目の前と耳の下に黒い裸出部(腺)がある。耳介の先端と尾の上面は褐色~黒色。密林以外は,低地から標高3000mまでのほとんどの環境にすむが,草が低く木が少ない大草原を好み,水がなくても耐えることができる。雌雄1対,または5頭くらいまでの小群ですみ,朝と夕方および月夜に草を食べに出かける。9~10月に1子を生む。妊娠期間は6.5~7ヵ月,雄が子を守る。子は生後1週間で草をとり始め,2ヵ月で離乳,雌は12ヵ月,雄は14ヵ月で性的に成熟する。寿命は8~10年,飼育下では14年生きた例がある。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報