日本大百科全書(ニッポニカ) 「オレンジラフィー」の意味・わかりやすい解説
オレンジラフィー
おれんじらふぃー
orange roughy
red roughy
deepsea perch
[学] Hoplostethus atlanticus
硬骨魚綱キンメダイ目ヒウチダイ科Trachichthyidaeの海水魚。ヒウチダイともいうが、日本のヒウチダイとは別種。アイルランドから喜望峰にかけてとパタゴニア海域の大西洋、オーストラリア、ニュージーランド、ニューカレドニアに広く分布する。体は卵円形で,著しく側扁(そくへん)する。頭には骨質隆起がよく発達し、それらは半透明の膜で覆われる。口は大きく、上顎(がく)の後端は目の後縁下に達する。両顎の歯は小さく、絨毛(じゅうもう)状の歯帯になる。体は小さい円鱗(りん)で覆われる。側線鱗は大きくて頑丈で、鰓孔(さいこう)の上方から尾びれ基底までまっすぐに走る。腹中線上の稜鱗(りょうりん)は小さい。背びれと臀(しり)びれは1基。胸びれは長くて肛門近くまで伸びるが、腹びれは短く、肛門に達しない。体と各ひれは一様に赤橙色。水深500~1400メートルの大陸棚斜面や海山に群れをなして生息し、中層の魚類、エビ類、イカ類などを食べる。冬に産卵のために密集し、群を形成する。オーストラリアやニュージーランドではトロール網で漁獲される水産重要種である。皮下に厚いワックスの層があり、これを切り落とした切身が高級魚として流通している。ワックスは潤滑油や化粧品のオレンジラフィー油になる。
[尼岡邦夫]