デジタル大辞泉
「海山」の意味・読み・例文・類語
かい‐ざん【海山】
深海洋底から1000メートル以上の高さに隆起している海中の地形。比較的孤立しているものをいう。ふつう玄武岩からなる。1000メートル未満のものは海丘とよぶ。
[類語]海嶺
うみ‐やま【海山】
1 海と山。「海山のシーズン」
2 海のように深く、山のように高いこと。愛情や恩恵などの深く大きいことのたとえ。「海山の御恩」
3 きわめて多いこと。たくさん。副詞的にも用いる。
「言ひ分―ありといへども」〈浮・御前義経記・七〉
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うみ‐やま【海山】
- 〘 名詞 〙
- ① 海と山。海や山。
- [初出の実例]「海山(うみやま)も隔たらなくに何しかも目言(めこと)をだにもここだともしき」(出典:万葉集(8C後)四・六八九)
- ② 海のように深く、山のように高いこと。恩恵や慕う気持などが深いことのたとえ。
- [初出の実例]「まことに御おんうみ山まで」(出典:海人刈藻物語(1271頃)四)
- ③ ( 形動 ) ( ②から転じて ) 物事の程度のはなはだしいこと。また、そのさま。たくさん。たいそう。
- [初出の実例]「此に怨が海山(ウミヤマ)ななんどと云心ぞ」(出典:三体詩幻雲抄(1527))
- ④ 大阪地方で、正月の重詰めをいう。魚類の料理を詰めたものを「海」とし、野菜、くだものなどの精進料理を詰めたものを「山」とした。また、その重詰めに使用する箸紙に書く文字。これももともと「海」「山」と別々であったが、明治以降合わせ書くようになった。
- [初出の実例]「正月の重詰に海山といふことがあるぢゃア厶(ござ)りやせんか」(出典:滑稽本・街能噂(1835)三)
かい‐ざん【海山】
- 〘 名詞 〙
- ① 海と山。
- [初出の実例]「鍪貂蝉両一夢、唯見海山蒼蒼連二神京一」(出典:山陽詩鈔(1833)三・壇浦行)
- ② 大洋の底から一〇〇〇メートル以上の高さで孤立してそびえる底面が円形または楕円形の地形。多くは玄武岩質の海底火山と考えられる。一〇〇〇メートル以下のものを海丘という。
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海山(三重県)
みやま
三重県南部、北牟婁郡(きたむろぐん)にあった旧町名(海山町(ちょう))。現在は紀北(きほく)町の南西半を占める地域。旧海山町は、1954年(昭和29)引本(ひきもと)、相賀(あいが)の2町と船津(ふなつ)、桂城(かつらぎ)の2村が合併して成立。海山の名は海と山の特性をもつ町としてつけられた。2005年(平成17)紀伊長島町と合併して紀北町となった。大台山系が熊野灘(なだ)に落ち込む所で、しかも海岸はリアスのため平地に乏しい。年降水量4000ミリメートルを超える多雨地帯でもある。JR紀勢本線、国道42号が通じる。本来は暖帯照葉樹林帯であるが、江戸時代から紀州藩によるヒノキの密植造林が行われ、良質の建築用尾鷲(おわせ)材を産することで知られる。相賀はその集散地。引本港は遠洋漁業、島勝浦港は勇壮なブリ網漁の基地。
[伊藤達雄]
『『海山町史』(1984・海山町)』
海山(海底地形)
かいざん
seamount
海底の盛り上がりで、麓(ふもと)から頂上までの高さ(比高)が1000メートル以上あって、比較的孤立しており、頂上付近の広がりが狭い海底地形の一つ。海洋底には多くの海山があり、その総数は不明であるが、1万個以上になると推定される。いままでに採取された海山の岩石は、大部分が火成岩で、海山が火山性のものであることを物語っている。ことに深海底のものは、すべて玄武岩からなり、陸性でないことを示している。
[安井 正]
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海山 (かいざん)
seamount
比較的平坦な海洋底からそびえる大きな孤立した高まりで,ほぼ円錐形をなすもの。比高が1000m以上を海山,1000m以下を海丘というが,その境は厳密ではない。海山や海丘は,火山岩の採取または海底写真によって,その多くは海底火山であることが知られており,ギヨー,環礁,火山島とともに大洋底火山活動の一つのタイプをなす。海山をつくる火山活動には,ホットスポットの上をプレートが移動するとき,アセノスフェアからマグマが供給されて火山島を形成し,プレートの移動方向に並ぶ火山島やそれが沈下した海山,環礁,ギヨーを形成する場合がある。またプレートの移動方向が変化した場合にトランスフォーム断層がプレート移動方向に平行でないとプレート間に間隙を生じ,海底火山を形成することがある。このほか非火山性海山も知られている。海山の成因は多様であり,まだ十分に解明されてはいない。
執筆者:佐藤 任弘
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海山【かいざん】
比高1000m以上の孤立した海底の山。海底から普通3000〜4000m。平面形は円ないし楕円形,斜面は急で麓に凹地を有し,頂上は比較的狭い。比高1000m以下は,海丘という。太平洋で現在約2000の海山が知られ1万はあろうと予想される。海面に達したことのない海底火山がほとんどで,非火山性のものもある。頂上に平たん面を有するものをギヨー(平頂海山)という。
→関連項目海底火山|海底地形|コバルト・リッチ・クラスト
海山[町]【みやま】
三重県南部,熊野灘に面する北牟婁(きたむろ)郡の旧町。大部分が森林で,ヒノキ材の産で有名。屈曲の多い海岸は良港に恵まれ,遠洋漁業,養殖漁業,水産加工が盛ん。米作,野菜栽培,畜産も行う。紀勢本線が通じる。2005年10月,北牟婁郡紀伊長島町と合併し町制,北牟婁郡紀北町となる。146.35km2。1万341人(2003)。
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海山
みやま
三重県南部,紀北町南・西部の旧町域。熊野灘に臨む。 1954年引本町,相賀町と船津村,桂城村が合体し海山町が成立。 2005年紀伊長島町と合体して紀北町となった。紀伊山地が海に迫るため平地に乏しい。また国内有数の多雨地帯で,主産業は林業と漁業。地名は海,山の幸を願って命名された。大台ヶ原山の山頂にいたる大台林道は木材輸送と登山道を兼ねる。引本港は遠洋漁業の基地。引本湾ではハマチ,真珠,カキの養殖が行なわれる。東端の島勝浦にはブリの大敷網がある。中心地区の相賀は木材の集散地。
海山
かいざん
seamount
深海底から 1000m以上高くそびえている孤立した海底火山。北太平洋に多い。頂上部の広くて平らな海山をギヨーという。
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知恵蔵
「海山」の解説
海山(かいざん)
海底から突出した円錐形の孤立した高まりで、比高(裾から山頂までの高さ)が1000m以上のもの。これより小さい高まりは海丘という。ほとんどが海底火山起源。太平洋には少なくとも2万個が知られており、特に西太平洋中部に密集している。噴出直後は山頂が海面上に出ていて山頂が平らになっている海山も多く、ギヨー(平頂海山)と呼ばれる。山頂付近に古いサンゴ礁に由来する石灰岩が見いだされることが多い。サンゴの成育には温かい海水と太陽光が必要なので、その存在は沈降量と生成海域、生成時期の指標となる。現在北緯40度以北にある襟裳海山(白亜紀)や推古海山(年齢約6000万年)などの山頂にサンゴ礁起源の石灰岩が認められ、太平洋の海底に載って北に運ばれたものであることが分かる。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
海山
海底の盛り上がりで,麓から頂上まで1 000m以上あって,比較的孤立しており,頂上付近の広がりが狭い海底地形である.頂上が平らになったものがギヨー(guyot)である.
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海山(みやま)
三重県北牟婁郡紀北町にある道の駅。国道42号に沿う。
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世界大百科事典(旧版)内の海山の言及
【海底地形】より
…この用語は大部分にわたって峡谷状の特徴を有する地形に対しては一般に使用されない。 海山seamount大きな孤立した高まりで,円錐形をなすのが特徴。 海山列seamount chain一線に並ぶいくつかの海山。…
【海底地形】より
…プレートが生産され離れていくにしたがい,トランスフォーム断層の痕跡は大洋底に伸び出し[断裂帯]を形成する。断裂帯は海山,トラフ,海底崖などを伴うきわめて細長い地帯で,プレート運動の方向を示す過去の構造帯であり,地震活動はみられない。 海洋プレートの表面にあたる大洋底は,古いものほど水深が深くかつ堆積物におおわれ平たん化されているが,その中に多くの海山がある。…
【堆】より
…海底物質は岩でも堆積物でもよい。普通は大陸棚にある浅所に用い,さらに沖合にある約200m以深の孤立した高まりは海山または海丘と呼ぶが,厳密な定義はない。大洋中の200m以浅の高まりを大洋堆ということがある。…
※「海山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」