化学辞典 第2版 「オロト酸」の解説
オロト酸
オロトサン
orotic acid
uracil-6-carboxylic acid.C5H4N2O4(156.10).オロチン酸ともいう.G. Biscaroら(1904年)によって牛乳から分離され,さらにP. Mitchellら(1948年)によって,パンかびや酵母の培養からも分離された.白色の結晶.融点345~346 ℃.λmax 205,280 nm(ε 10.9×103,7.52×103).定量法にはバルビツル酸にかえ,p-(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒドで比色する方法や,酵素でウリジル酸に変化させ,紫外部吸収の変化を測定する方法がある.オロト酸は,核酸成分であるピリミジン塩基の生合成中間物質の一つであり,オロト酸から生成するUDPやCDPは核酸の生合成材料となるだけでなく,糖質や脂質の代謝に補酵素となり,種々の代謝系に影響を与えているものと考えられる.オロト酸は乳汁中に特異的に多く,幼動物に対して発育効果を有する.A.F. Novakら(1948年)が,アルコール蒸留廃液中にネズミに対する成長促進因子の存在することを認め,B13 という名称を与えたが,B13 とオロト酸は同一物であることも知られている.[CAS 65-86-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報