バルビツル酸(読み)バルビツルさん(その他表記)barbituric acid

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルビツル酸」の意味・わかりやすい解説

バルビツル酸
バルビツルさん
barbituric acid

化学式は C4H4N2O3マロニル尿素ともいう。生体中ウラシルの分解過程で生成する含窒素ヘテロ環化合物で,水に可溶,水溶液は酸の性質をもつ。これはさらに分解し尿素マロン酸になる。バルビツル酸の誘導体は 1865年,ドイツの A.バイエルによって尿中の尿酸と,リンゴに含まれるマロン酸から合成され,82年に初めて医学的に利用された。催眠剤として応用されるものが多く,トランキライザが開発されるまでは,鎮静,催眠剤の主役であった。代表的なものとしては,最初に臨床上に応用されたベロナール (バルビタール) ,第2の転機となったルミナール (フェノバルビタール) などがあり,合計 2500種以上,臨床で用いられるものだけでも 60種以上を数える。作用発現までの時間で分類されるほか,作用機序から腎臓排泄型,肝臓で変化し腎臓から排泄される型,主として肝臓で変化する型などに分けられる。使用上の注意は,(1) 肝・腎障害時は避ける,(2) 肥満者,刺激伝導系障害,呼吸困難などのある者には注意が必要,(3) ショック時は使用不可。

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化学辞典 第2版 「バルビツル酸」の解説

バルビツル酸
バルビツルサン
barbituric acid

2,4,6-trioxohexahydropyrimidine.C4H4N2O3(128.09).マロニル尿素ともいう.マロン酸ジエチルと尿素とをナトリウムエトキシドを用いて縮合させて合成する.無色結晶.分解点248 ℃.水,エタノールに微溶,エーテルに不溶.熱水に溶けて酸性を示す.Ka 9.9×10-5(25 ℃).5位のメチレン基活性で,臭素アルキル基などで置換することができる.生体中では,酵素作用によりウラシルから生成し,尿素とマロン酸とに分解される.置換していないバルビツル酸は催眠作用がないが,誘導体は催眠作用をもち,医薬用に用いられる.[別用語参照]バルビタール[CAS 67-52-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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