日本大百科全書(ニッポニカ) 「オートポイエーシス」の意味・わかりやすい解説
オートポイエーシス
おーとぽいえーしす
autopoiesis
マトゥラーナHumberto Romesín Maturana(1928―2021)とバレラが提唱した、新しい自己組織化理論。細胞、神経系、生物体などが、自分で自分自身をつくりだすというサイクルを反復することで、自律的に秩序が生成されるようなプロセスをいう。生命現象や社会現象の示す、真にダイナミックな様態を説明するための理論として注目されている。河本英夫(かわもとひでお)(1953― )は、古典的な動的平衡系を第一世代、自己組織化を第二世代、オートポイエーシスを第三世代システムと位置づけている。オートポイエーシスの特徴は、システムが閉じていること、つまり外部からの入力も出力もなしに、再生産が行われることである。いいかえればそこでは、自己言及性のもつ積極的・産出的な働きが注目されているといえる。
[吉岡 洋]