ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オープンスカイズ条約」の意味・わかりやすい解説 オープンスカイズ条約オープンスカイズじょうやくOpen Skies Treaty 領空開放条約ともいう。非武装の偵察機により相互の領域内の軍事活動,施設を監視しあい,軍備および軍事行動の透明性を高めることを目的とする条約。相互の不信感を取除く信頼醸成措置の1つ。 1955年,アメリカのアイゼンハワー大統領は米ソ両国の領空解放を提唱したが,冷戦下の東西対立で進まず,その後は超高空を飛行する偵察機,偵察衛星の時代となり,この構想は忘れ去られた。 89年5月にブッシュ大統領は,この構想を米ソ2国間から多国間のものとして再提案。 90年2月カナダのオタワで北大西洋条約機構 NATOとワルシャワ条約機構 WTOの加盟国外相が集り交渉開始,92年3月 24日,ヨーロッパ安全保障協力会議 CSCE第4回再検討会議 (ヘルシンキ) で NATO,旧 WTOの 25ヵ国が調印し,同時に他の CSCE加盟国を含めてこの条約を評価する特別宣言を採択した。 (1) 査察の対象は条約調印国の全領土,(2) 年間の被査察回数,(3) 査察用航空機やカメラなどの査察機器は各国が協力して調達,(4) 査察結果は共有データとして相互交換,などを規定する。これまで東西冷戦・核対決の時代に,領空は国家安全保障の聖域とされてきたが,この条約はこれを撤廃して「ウラジオストクからバンクーバーまで」の空中相互査察を認める画期的な合意である。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by