お目出たき人(読み)オメデタキヒト

デジタル大辞泉 「お目出たき人」の意味・読み・例文・類語

おめでたきひと【お目出たき人】

武者小路実篤小説。明治44年(1911)発表理想実現のため一人少女結婚を願うが、結局は失恋する。その過程を真摯に、善意をもって描いた初期代表作

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精選版 日本国語大辞典 「お目出たき人」の意味・読み・例文・類語

おめでたきひと【お目出たき人】

小説。武者小路実篤作。明治四四年(一九一一)刊。理想主義的な青年の失恋事件を、きわめて楽天的に描いたもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「お目出たき人」の意味・わかりやすい解説

お目出たき人 (おめでたきひと)

武者小路実篤の中編小説。1911年(明治44)洛陽堂刊。作者の失恋に取材した自伝的作品である。あしかけ7年の恋,4年にわたる熱心な求婚であったが,武者小路の一人ずもうに終始した。小説では相手の女性が富裕な工学士と結婚する終末になっているが,実際はまだ求婚中であった。小説が事実に先行し,作者の願いに反して事実が小説の終末を追う形になった。清純な慕情とはげしい性本能の交錯する青年期特有の苦悶を,露悪やてらいを知らないナイーブ感性文体でつつみ,《白樺》派世界の本質を明示した。文壇にはまだ認められなかったが,夏目漱石などはその精神の高貴さにいちはやく注目した。
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