日本大百科全書(ニッポニカ) 「カギバラバチ」の意味・わかりやすい解説
カギバラバチ
かぎばらばち / 鉤腹蜂
昆虫綱膜翅(まくし)目カギバラバチ科Trigonalidaeに属する寄生バチの総称。種類数は少ないが世界各地に分布する。日本にも数種を産するが、まれである。翅脈相は高等な有剣類に近いが、多数節の触角と2節の転節(脚(あし))をもつ点では原始的な有錐(ゆうすい)類で、系統的には古いものである。雌バチの腹端が鉤状に下に曲がっているのが和名の由来。ある種類は無数の微小卵を草木の葉の縁に産み付ける。これらの卵は、葉を食べるガやハバチの幼虫の体内に取り込まれて孵化(ふか)するが、その体内に寄生性のハチやハエの幼虫がいるときに限って、これらに寄生して成育を遂げる。ある種類はスズメバチの幼虫に寄生するものもあり、オーストラリアにはユーカリハバチの幼虫に直接寄生するものもある。
[平嶋義宏]