改訂新版 世界大百科事典 「カスタ戦争」の意味・わかりやすい解説
カスタ戦争 (カスタせんそう)
La Guerra de Castas
1847年から約半世紀にわたり,メキシコのユカタン半島を席巻したマヤ族を中心とするインディオ反乱。直接的契機は,ユカタン半島東・南部へのサトウキビ大農園の拡大による土地収奪と債務奴隷化,州政府および教会による税収奪に対する反発であったが,しだいに非インディオ系住民の絶滅とマヤ独立王国の建設の主張へと発展し,48年中ごろまでには,半島の5分の4が反乱側の支配下に入った。一方ユカタン地方の分離独立を主張していた一部支配層は,アメリカに支援を求めると同時に同国への併合を申し入れたが,隣接するイギリス領ホンジュラス(ベリセ)の英軍は,反乱側への資金・武器援助をもってこれに対抗した。49年秋メキシコ政府軍の大量投入と3人の初期指導者の暗殺を境に戦況は逆転し,53年9月16日にマヤの1集団は停戦に応じたが,他の2集団は1901年最後の砦チャン・サンタ・クルスが政府軍の手に陥落するまで戦闘を続行した。なお,1849年から61年まで捕虜となったマヤ族の多くは,キューバへ奴隷として売却された。
執筆者:清水 透
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報