カルコゲン(その他表記)chalcogens

関連語 曽根

改訂新版 世界大百科事典 「カルコゲン」の意味・わかりやすい解説

カルコゲン
chalcogens

周期表第Ⅵ族(第ⅤIB族)に属する,酸素O,硫黄S,セレンSe,テルルTe,ポロニウムPoの5元素の総称。酸素族元素element of oxygen familyともいう。ポロニウムは放射性であり,また酸素は他の元素と性質がかなり異なるので,これらを除く3元素,硫黄族元素element of sulfur familyを呼ぶこともある。これら3元素は金属元素と化合して多くの特徴的な鉱石をつくるので,〈鉱石をつくる元素〉を意味するギリシア語をとって命名された。〈塩をつくる元素〉の意であるハロゲンに次ぐ陰性元素であるが,ハロゲンと同様に原子量の増加とともに陰性が著しく弱まる。例えば単体の性質は,無色気体の酸素─→黄色固体の硫黄─→硫黄に似た赤色型とやや金属的な灰色型のあるセレン─→灰色型セレンに似た銀灰色のテルル─→銀白色金属性のポロニウムと変化する。また各元素が希ガス元素と同構造の2価の陰イオンとなっている化合物でも,酸化物や硫化物には安定なものが多いが,セレン化物やテルル化物には分解しやすいものが少なくない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「カルコゲン」の解説

カルコゲン
カルコゲン
chalcogens

周期表16族元素.酸素O,硫黄S,セレンSe,テルルTe,ポロニウムPoの5元素の総称.χαλκó(chalkos)はギリシア語の“銅元素”を表す語で,γενν(genno)は“造る”を意味する.銅の主要鉱石が硫化物,たとえば黄銅鉱(chalcopyrite)CuFeS2であることから,もとは“銅の鉱石を造る”の意味であったものが拡張されて,これらの元素を造鉱物元素というようになった.とくに,硫黄,セレン,テルルの3元素をさして親銅元素ということもある.テルルでわずかに金属性を帯びはじめ,ポロニウムが金属性であることを除けば,一般にカルコゲンは非金属元素であり,多くのカルコゲン化物(chalcogenides)をつくる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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