親銅元素(読み)シンドウゲンソ(英語表記)chalcophile element

デジタル大辞泉 「親銅元素」の意味・読み・例文・類語

しんどう‐げんそ【親銅元素】

地球化学的な元素分配における元素分類の一。亜鉛カドミウム水銀などをさし、硫化物鉱床に集まる性質がある。ノルウェーの鉱物学者V=ゴルトシュミット提唱。→親石元素親鉄元素

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百科事典マイペディア 「親銅元素」の意味・わかりやすい解説

親銅元素【しんどうげんそ】

V.M.ゴルトシュミットの地球進化に伴う地球化学的元素分配過程での元素分類法の一族。彼はこの一族を地球の中心部の鉄核心(親鉄元素)とケイ酸塩皮殻(親石元素)との中間の硫化物・酸化物の層に主として濃集する元素と考えた。S,Se,Te,Cu,Zn,Cd,Pb,As,Sb,Bi,Ag,Au,Pd,Hg,Ga,In,Tlなどである。→親気元素親生元素

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「親銅元素」の意味・わかりやすい解説

親銅元素
しんどうげんそ
chalcophile element

元素分配の第一段階で、地球の表面から深さ1200キロメートルないし2900キロメートルの硫化物に富む液相に集まったと考えられている元素。化学的性質は硫黄(いおう)と化合しやすく、その硫化物が硫化鉄に溶けやすい元素である。たとえば、銅、銀、亜鉛、カドミウム、水銀、ガリウムインジウムタリウム、硫黄、セレンテルルなどが親銅元素である。

[中原勝儼]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「親銅元素」の意味・わかりやすい解説

親銅元素
しんどうげんそ
chalcophile element

隕石質の物体が融解して金属相,硫化物相,ケイ酸塩相に分離した仮想的な状態において,硫化物相 (特に硫化鉄) に濃集する傾向がある元素。 V.ゴルトシュミットによる元素の性質に関する地球化学的分類 (1922) の一つ。銅,銀,鉛および亜鉛以下の IIb 族,ガリウム以下の IIIb 族,ヒ素以下の Vb 族,硫黄以下の VIb 族に属する元素がこれに含まれる。

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岩石学辞典 「親銅元素」の解説

親銅元素

硫化物鉱床に濃集しやすい元素で,S, Se, Te, Fe, Ni, Co, Cu, Zn, Cd, Pb, Ge, As, Sb, Ag, Au, Hg, Pd, Pt, Ga, In, Tlなどをいう[Goldschmidt : 1954].サルフォファイル元素(sulpophile elements)[Niggqli : 1948].

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化学辞典 第2版 「親銅元素」の解説

親銅元素
シンドウゲンソ
chalcophile element

岩石などの硫化物層に集まる元素.S,Se,Te,Cu,Cd,Pb,Sn,Ge,As,Sb,Biなどがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の親銅元素の言及

【元素】より

…HSAB則による元素または配位原子の分類は,化学結合の本質的な把握をその根底に置くもので,この規則を巧みに適用すると,化合物の安定性,難溶塩の溶解度,反応速度,平衡位置をはじめ,元素の産状,鉱床の形成,元素の分配や輪廻(りんね)などに関し,広範囲に及ぶ統一的な説明・解釈が可能になる。軟らかい酸およびそれに類似した性質を示す中間の酸に属する金属元素は,毒性の強いものが多く,地球化学的には親銅元素と呼ばれるものがこれに相当する。
【元素の分布と分配】
 隕石(いんせき)の分析結果や地震波の伝搬速度などから,現在最も確実と考えられている地球の構造は,中心部にある半径約3500kmの高密度の核,その外側のマントル層,地表から平均約33kmの厚さの地殻,およびそれを取り巻く大気から成る,およそ4種の同心球構造である。…

※「親銅元素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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