改訂新版 世界大百科事典 「ガンゲーシャ」の意味・わかりやすい解説
ガンゲーシャ
Gaṅgeśa
13~14世紀ころのインドのミティラーの論理学者。生没年不詳。12世紀に不二一元論派のシュリーハルシャが《カンダナ・カンダ・カーディヤ》の中でウダヤナなどの知識論を痛烈に批判したが,その批判に答えるために彼は大部の《タットバ・チンターマニ》を著した。この書は4章より成り,直接知,推理,類比,言語という四知識手段を各章に配当して詳論している。16原理の順を追う従来のニヤーヤ学派の叙述方法はここに廃され,すべての問題を四知識手段の問題領域の中に組み入れた。また,従来の定義を総点検し,より厳密な定義と術語体系を考案,新ニヤーヤ学派を確立した。以後,論理学の研究は,この大著に対する注解というかたちで基本的には展開した。
執筆者:宮元 啓一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報