改訂新版 世界大百科事典 「ウダヤナ」の意味・わかりやすい解説
ウダヤナ
Udayana
インドの980年ごろの哲学者。生没年不詳。師バーチャスパティミシュラの跡をうけ,ディグナーガ,ダルマキールティ,ジュニャーナシュリーミトラらの仏教論理学派,クマーリラらのミーマーンサー学派の学説を激しく批判したニヤーヤ学派の論客。バイシェーシカ学派の作品も著しており,両派融合の傾向を初めて具体的な行動に移した。仏教徒の論難にたいして主宰神(イーシュバラĪśvara)の存在証明を積極的に展開したことで,正統バラモン主義の哲学者の間で,仏教徒を打ちのめした偉人として賞賛された。また,従来にない厳密な定義づくりを試み,13世紀以降確立した新ニヤーヤ学派の先駆者と見なされている。著作は《アートマンの真理の弁別Ātmatattvaviveka》など多数。
執筆者:宮元 啓一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報