日本大百科全書(ニッポニカ) 「キサンゴ」の意味・わかりやすい解説
キサンゴ
きさんご / 木珊瑚
腔腸(こうちょう)動物門花虫綱六放サンゴ亜綱イシサンゴ目キサンゴ科のキサンゴ属Dendrophylliaの海産動物の総称、またはそのなかの1種。この類は太い樹状の群体を形成し、枝上にポリプの収まる莢(きょう)が突出するのが特徴で、第1次外隔壁が第2次以下の内隔壁よりよく発達することにより、キサンゴ科のイボヤギ属Tubastreaやスリバチサンゴ属Turbinariaと区別され、群体をつくることによってハナタテサンゴ属Balanophylliaから区別でき、群体が樹状をなすことによってムツサンゴ属Rhizopsammiaから区別される。一見、貴重サンゴ類の骨格に似ているが、骨格は多孔質で白く、細工には用いられない。一般に共肉は朱色、触手は黄色で透明、全面に鮮黄色の刺胞塊を分布させる。
キサンゴDendrophyllia ijimaiは、本州中部地方以南の水深50~100メートルの海底に普通に産する。群体は30センチメートルぐらいで、主幹の径は約3センチメートルになり、莢は枝上に4列に互生し、各莢は枝先方向に斜めに出る。隔壁は6+6+12+24の48枚。近縁種ナンヨウキサンゴD. micranthusは、共肉や触手が暗緑色で、群体の高さは50センチメートルを超え、莢は枝の両側に2列に配列する。ジュウジキサンゴD. arbusculaは、群体の高さ10センチメートルほどで、枝上に突出する莢は枝軸にほぼ直角である。オノミチキサンゴD. cribrosaは、幹や枝が太く、その上の莢はほとんど突出しない。
[内田紘臣]