花虫類(読み)かちゅうるい

精選版 日本国語大辞典 「花虫類」の意味・読み・例文・類語

かちゅう‐るい クヮチュウ‥【花虫類】

〘名〙 刺胞動物の一綱。イソギンチャクイシサンゴウミトサカウミエラなどの仲間を含み、ポリプ型だけでクラゲ型はない。大部分は固着性で、単体、あるいは群体をつくる。はなむしるい。

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デジタル大辞泉 「花虫類」の意味・読み・例文・類語

かちゅう‐るい〔クワチユウ‐〕【花虫類】

花虫綱に属する腔腸動物総称。群体または単体で、石灰質または角質骨格をもつものが多い。六放サンゴ八放サンゴなどに大別される。珊瑚虫さんごちゅう類。はなむしるい。

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改訂新版 世界大百科事典 「花虫類」の意味・わかりやすい解説

花虫類 (かちゅうるい)

腔腸動物(刺胞動物)門花虫綱Anthozoaに属するグループ。〈はなむしるい〉とも呼ぶ。生活史の中でポリプ型の体制だけをもちクラゲ型は出現しない。ポリプには単体のものと無性的にポリプが増えて群体をつくるものがある。体は口盤,体壁,足盤の三部からなる。口盤の周囲に触手が並び,中央に卵形や裂状の口が開いている。触手の形には単一管状のものと羽状のものとがある。ポリプの胃腔内は8枚または6の倍数隔膜で仕切られ,放射状に室が並んでいる。石灰質や角質の外骨格または内骨格をもつものが多い。すべて海産で,ほとんどのものが他物に着生している。

 ポリプの触手の数や胃腔内の隔膜数などによって,八放サンゴ亜綱Octocoralliaと六放サンゴ亜綱Hexacoralliaに分けられる。八放サンゴ亜綱にはクダサンゴ,ウミケイトウ,ウミトサカヤギサンゴイソバナウミエラなどが含まれる。ポリプは羽状の8本の触手をもち,胃腔内は8個の完全な隔膜で仕切られている。ウミトサカ類のポリプは共肉の溝道で互いに連絡しており,共肉内に無数の骨片を含み,軸骨はつくらないが,ヤギ類では内部に硬い軸骨をつくる。六放サンゴ亜綱にはイソギンチャク,イシサンゴ,スナギンチャクハナギンチャクなどが含まれる。胃腔内の隔膜の数は6の倍数あり,これらの隔膜には体壁から口道まで達する完全なものと,途中までの不完全なものがあり,これらでいくつかの室に分けられている。イソギンチャク類は筋肉がよく発達していて骨格はつくらないが,イシサンゴ類はポリプの外層から分泌した石灰質で外骨格をつくり,大きな群体を形成する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「花虫類」の意味・わかりやすい解説

花虫類
はなむしるい
Anthozoa

刺胞動物門花虫綱に属する種類の総称。現生種は八放サンゴ亜綱と六放サンゴ亜綱に大別される。ポリプ型(→ポリプ)のみで,生活史のなかでクラゲ型(→クラゲ)の時期がない。ポリプは円筒形で,上端にある口盤は触手冠(→触手)で囲まれている。外部形態は放射相称であるが,内部は左右相称形である(→相称)。石灰質や角質の外骨格または内骨格をもつものも多い。すべて海産。単体または群体で生活し,多くは他物に着生している。スナギンチャクハナギンチャクなど世界で約 6000種(うち日本産は約 1500種)が知られている。(→刺胞動物無脊椎動物

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