改訂新版 世界大百科事典 「キンモウワラビ」の意味・わかりやすい解説
キンモウワラビ
Hypodematium crenatum(Forsk.)Kuhn ssp.fauriei(Kodama)K.Iwatsuki
美しい金褐色の鱗片でおおわれる特徴的な根茎をもち,通常,石灰岩の割れ目に生じるメシダ科のシダ。根茎は短く匍匐(ほふく)し,背腹性があり,葉は背側にこみあってつく。根茎と葉柄基部にのみ長さ2cmの細長い金褐色鱗片が密生する。葉全体に白色の鋭くとがった毛がつく。葉は長さ30~50cmで,葉身は卵状三~五角形,3~4回羽状複葉,淡緑色である。胞子囊群は葉脈の背側につき,円腎形で表面に毛がある包膜でおおわれる。関東・四国・九州の石灰岩地に産し,日本固有変種である。変種は東アジア南部,東南アジアからアフリカにかけて広く分布する。キンモウワラビ属の分類上の位置については異論が多いが,メシダ科に含めるのが無難である。
執筆者:加藤 雅啓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報