タリム盆地(読み)タリムボンチ

デジタル大辞泉 「タリム盆地」の意味・読み・例文・類語

タリム‐ぼんち【タリム盆地】

Tarim中国新疆しんきょうウイグル自治区南部にある盆地。北を天山山脈、南を崑崙こんろん山脈、西をパミール高原に囲まれ、中央部にタクラマカン砂漠がある。古代には、その周辺オアシス都市を結んでシルクロードが発達した。

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百科事典マイペディア 「タリム盆地」の意味・わかりやすい解説

タリム盆地【タリムぼんち】

中国,新疆ウイグル自治区の南半を占める乾燥盆地。漢字では塔里木盆地。天山・崑崙(こんろん)両山脈の間にあり,西はパミール高原に限られる。中部にはタクラマカン砂漠,北縁はタリム川が東流,東端にロブ・ノールがある。周辺の山麓扇状地上にはオアシス都市があり,これらを中心に綿花・小麦・雑穀・果実・絹などの産がある。古来シルクロードの通過地で,東西交通の要路。おもなオアシス都市にヤルカンドカシュガルホータンアクスがあり,乾燥化によって廃虚となったものに楼蘭ニヤ,インバン,アンデレ,古ホータンがある。19世紀末より,ヘディンスタインペリオ,橘瑞超らが探検し,古代遺跡を調査。約53万km2
→関連項目クチャ高昌崑崙山脈西域新疆新疆ウイグル自治区中央アジア天山山脈

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タリム盆地」の意味・わかりやすい解説

タリム盆地
たりむぼんち / 塔里木盆地

中国、新疆(しんきょう)ウイグル自治区南部にある盆地。北は天山、南西はカラコルム、南は崑崙(こんろん)、アルトゥンの各山脈に囲まれ、東西約1500キロメートル、南北約600キロメートルで、中国最大の内陸盆地である。年降水量25~40ミリメートルで、著しく乾燥し、砂漠が発達、全国の砂漠面積の47%を占める。盆地中央部にはタクリマカン砂漠があり、面積53万平方キロメートル、大部分が移動砂丘で、砂丘の高さは普通80~150メートルで、三日月形や格子状、魚鱗(ぎょりん)状などさまざまな形状を示す。北縁にはタリム河が東流し、また砂漠の中にはケリヤ河、ホータン河など多数の河川が流れ込むが、多くはワジ(涸(か)れ谷)や流失河川となる。周囲の山麓(さんろく)地域にはゴビ(礫質(れきしつ)砂漠)のほか、オアシスが広がり、アクス、カシュガル、ホータン、ケリヤなどの集落が発達し、放牧や灌漑(かんがい)による農業が行われ、小麦、トウモロコシや米、ワタ、果樹などの栽培が盛んである。

[駒井正一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タリム盆地」の意味・わかりやすい解説

タリム(塔里木)盆地
タリムぼんち
Tarim pendi

中国北西部,シンチヤン (新疆) ウイグル (維吾爾) 自治区の南半を占める中国最大の盆地。東西約 1500km,南北約 600km,面積 53万 km2。北をテンシャン (天山) 山脈,西をパミール高原,南をクンルン (崑崙) 山脈に囲まれる。標高は西端で 1300m,東部のロプノール (羅布泊) 湖で 792mである。中央部は中国最大の流動砂漠であるタクラマカン (塔克拉瑪干) 砂漠で,その周辺をオアシス地帯が取巻き,さらにその周辺を高山山麓の礫質砂漠が取巻くという環状構造を示している。降水量はきわめて少く,特に南東隅のチェルチェン (車爾臣) 県,チャルキリク県では年に 10mmにすぎない。周辺の高山の雪どけ水に涵養された多くの内陸河川が流入する。最大の河川はタリム川で,南西部から流入し,砂漠の西縁,北縁を流れて,東部に広いアルカリ性湿地を形成する。ほとんどの河川は扇状地でいったん伏流水となるが,その末端地表に現れて,オアシスを形成し,砂漠では涸れ川となる。人民共和国成立後,各地で灌漑水路の建設が進んでおり,特に西部のアクス (阿克蘇) 地区,カシュガル (喀什 噶爾) 地区,ホータン (和田) 地区では砂漠の縁辺部に広い耕地が造成された。オアシスを連ねる南北2本の隊商路が古代から開かれており,シルクロードの名で知られるが,環状自動車道路が完成し,トゥルファン (吐魯番) 市からカシュガル市まで盆地北縁を通るナンチヤン (南疆) 鉄道が延びている。

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改訂新版 世界大百科事典 「タリム盆地」の意味・わかりやすい解説

タリム盆地 (タリムぼんち)
Tarim

中国の北西,天山山脈の南,崑崙山脈の北の盆地。塔里木盆地と漢字表記される。〈アジアの心臓〉とも称される。東西約1500km,南北約600km,面積約53万km2。地質時代の湖が陸地化し,さらに乾燥気候で中央に広大なタクラマカン砂漠ができた。しかし,周囲には山脈からの河川によるオアシスが点在し,古くはここに都市が発展,〈天山南路〉が栄えた。9世紀中ごろウイグル族がこの地に支配を確立し,今日もその特色がみられる。現在,オアシスでは灌漑による農業が盛んである。
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旺文社世界史事典 三訂版 「タリム盆地」の解説

タリム盆地
タリムぼんち
Tǎlǐmù Péndì

中国新疆 (シンチヤン) ウイグル自治区南半部を占める盆地
中央の大部分はタクラマカン砂漠で,古来,これをはさんで南北にオアシス都市が点在し,またこれを結ぶ交通路は東西交渉における天山南路として重要な役割を果たした。現在の住民はウイグル人で,農工商に従事している。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「タリム盆地」の解説

タリム盆地(タリムぼんち)
Tarim

中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区南部の地方。北は天山,南は崑崙(こんろん)山脈に限られ,その大部分はタクラマカン砂漠である。沿辺のオアシスに小都市が散在する。

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