日本大百科全書(ニッポニカ) 「タリム盆地」の意味・わかりやすい解説
タリム盆地
たりむぼんち / 塔里木盆地
中国、新疆(しんきょう)ウイグル自治区南部にある盆地。北は天山、南西はカラコルム、南は崑崙(こんろん)、アルトゥンの各山脈に囲まれ、東西約1500キロメートル、南北約600キロメートルで、中国最大の内陸盆地である。年降水量25~40ミリメートルで、著しく乾燥し、砂漠が発達、全国の砂漠面積の47%を占める。盆地中央部にはタクリマカン砂漠があり、面積53万平方キロメートル、大部分が移動砂丘で、砂丘の高さは普通80~150メートルで、三日月形や格子状、魚鱗(ぎょりん)状などさまざまな形状を示す。北縁にはタリム河が東流し、また砂漠の中にはケリヤ河、ホータン河など多数の河川が流れ込むが、多くはワジ(涸(か)れ谷)や流失河川となる。周囲の山麓(さんろく)地域にはゴビ(礫質(れきしつ)砂漠)のほか、オアシスが広がり、アクス、カシュガル、ホータン、ケリヤなどの集落が発達し、放牧や灌漑(かんがい)による農業が行われ、小麦、トウモロコシや米、ワタ、果樹などの栽培が盛んである。
[駒井正一]