知恵蔵 「クリミア独立宣言」の解説
クリミア独立宣言
しかし米国やEU諸国は、軍事力を背景としたロシアによる非合法な侵略行為と強く非難。同年2月の「ウクライナ政変」(親ロ派ヤヌコビッチ大統領の追放)で成立したばかりのウクライナ暫定政府も、ロシアの違法な介入であり住民投票は無効として、独立を認めない姿勢を強調した。国連安全保障理事会でも住民投票が実施される前、住民投票を無効とする決議案が検討されたが、ロシアの拒否権発動によって否決されている。国際法は国家間の合意を得ないままの帰属変更を認めていない。しかし、ロシアは民主的な手続きを経ていないウクライナ暫定政権を正式な政府と認めず、またロシア編入はクリミアの民族自決権を尊重した「合法的」なものとして、欧米諸国の非難を退けた。黒海に面するクリミアはロシアにとって海洋軍事の要衝であり、セバストポリ特別市にはロシア黒海艦隊の基地が設けられている。
(大迫秀樹 フリー編集者 / 2014年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報