クロトンアルデヒド(その他表記)crotonaldehyde

改訂新版 世界大百科事典 「クロトンアルデヒド」の意味・わかりやすい解説

クロトンアルデヒド
crotonaldehyde

不飽和アルデヒドの一つ。化学式CH3CH=CHCHO。刺激臭のある無色液体。融点-76.6℃,沸点104.0℃。水,有機溶媒可溶アセトアルデヒド塩化水素または塩化亜鉛を加えて加熱すると生ずるアルドール脱水によって得られる。

この方法で合成したものの二重結合の立体配置はトランス型である。工業的には,アルカリ触媒を用いたアルドール縮合と,酢酸触媒によるアルドールの脱水を組み合わせて製造する。重合しやすいので,ヒドロキノンなどの重合防止剤を加えて保存する。容易に酸化されクロトン酸CH3CH=CHCOOHとなる。二重結合を還元するとn-ブチルアルデヒドが,さらにカルボニル基も還元するとn-ブチルアルコールが生成する。クロトンアルデヒドは,そのほかに食品保存剤として重要なソルビン酸CH3CH=CH-CH=CH-COOH合成の原料となる。
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化学辞典 第2版 「クロトンアルデヒド」の解説

クロトンアルデヒド
クロトンアルデヒド
crotonaldehyde

2-butenal,C4H6O(70.09).CH3CH=CHCHO.アセトアルデヒドを2分子縮合させて合成される.刺激臭のある無色の液体.融点-76.5 ℃,沸点104 ℃.0.8715.1.4384.水蒸気蒸留できる.放置すると容易に重合する.酸化されてクロトン酸になりやすい.市販品は普通はトランス形である.[CAS 4170-30-3]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロトンアルデヒド」の意味・わかりやすい解説

クロトンアルデヒド
crotonaldehyde

化学式 CH3CH=CHCHO 。アセトアルデヒドに少量のアルカリを加えると,二分子縮合体を生じる。これを加熱すると分子内脱水によってクロトンアルデヒドを生じる。刺激臭のある液体。融点-76.5℃,沸点 104~105℃。水に可溶。空気中で酸化されてクロトン酸を生じる。

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世界大百科事典(旧版)内のクロトンアルデヒドの言及

【アセトアルデヒド】より

… CH2=CH2+PdCl2+H2O―→  CH3CHO+Pd+2HCl Pd+2CuCl2―→PdCl2+2CuCl 2CuCl+1/2O2+2HCl―→2CuCl2+H2Oアセトアルデヒドは,多くの有機工業製品の製造原料となる重要な中間体である。酢酸,無水酢酸,ケテン,酢酸エチル,クロトンアルデヒド,n‐ブチルアルコール,2‐エチルヘキシルアルコール,クロラール,ピリジンなど多くのものが製造される。とくに酢酸,無水酢酸の製造に,かなりの部分が消費される。…

※「クロトンアルデヒド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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