亜鉛と塩素の化合物。金属亜鉛あるいは酸化亜鉛を塩酸に溶かし、溶液を濃縮すると得られる無色の結晶。水溶液からは28℃以上では無水和物が得られ、融解して急速に冷却するとα(アルファ)型が、ゆっくりと冷却するとβ(ベータ)型が、室温に近い水溶液からはγ(ガンマ)型が得られる。それ以下の温度では各種の水和物(26℃では1.5水和物、13℃では2.5水和物、7℃では三水和物、-30℃では四水和物)が得られる。潮解性で、きわめて水に溶けやすい。エタノール(エチルアルコール)、アセトン、エーテルなどの有機溶媒にもよく溶ける。水溶液はいくぶん加水分解して、弱酸性を示す。木材に注入して防腐剤として用いられる。また耐火性を与える。乾電池材料、医薬品(収斂(しゅうれん)薬、防腐薬その他)、染色剤などとして用いられる。劇薬。
[中原勝儼]
化学式ZnCl2。亜鉛または酸化亜鉛を塩酸に溶かした溶液を蒸発すると得られる無色の結晶性粉末。工業的には金属亜鉛に塩化水素ガスを通じてつくる。1648年にドイツのJ.R.グラウバーによって最初に合成された。融点283℃,沸点732℃,比重2.91(25℃),水に対する溶解度432g/100gH2O(25℃)。結晶構造は,温度等によって変化する多形を示すが,亜鉛のまわりに4個の塩素が四面体型に結合した形が基本になっている。潮解性が大で,28℃以下で水和物をつくり,水分子の結合数は28℃で1,26℃で1.5,11.5℃で2.5,6℃で3,-30℃で4の5種の水和物が知られている。濃厚溶液は粘度が高く,著しく蛍光を発する。アルコール,アセトン,グリセリン,エーテルにも溶ける。羊毛の難燃性処理,にかわ製造,防腐剤などに用いられる。蒸気はきわめて有毒で,鼻咽頭,呼吸系を侵し,チアノーゼを起こす。
執筆者:水町 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ZnCl2(136.32).亜鉛または酸化亜鉛を塩酸に溶かし,溶液を蒸発すると得られる.28 ℃ 以上では無水物が,それ以下では種々の水和物が得られる.また,高温で亜鉛に塩化水素を作用させると無水物が得られる.白色の粉末.融点283 ℃,沸点732 ℃.密度2.9 g cm-3.無水物は非常に吸湿性である.水,エタノール,アセトン,エーテルに易溶.乾電池材料,めっき,はんだ付け用フラックス,触媒,石油精製,繊維加工,木材の防腐剤,医薬,乾燥剤などに用いられる.劇薬,有毒.[CAS 7646-85-7]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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