太平洋の赤道潜流の別称。1950年代にこの潜流を発見したアメリカの研究者クロムウェルTownsend Cromwell(1922―1958)の名を冠してこの名でよぶこともあるが、旧日本海軍はずっと以前からその存在を知っていたという説もある。赤道表層は西向きの流れであるが、その直下、数十~200メートル程度の深さを、潜流は東向きに流れる。南北の幅は200~300キロメートルで、エルニーニョ現象が現れていないときは、流速は毎秒1メートル、流量は毎秒30~40メガトン(Mt)にも達する。西から東へ1万キロメートル以上の距離を流れる。距離では南極海流に次いで世界第2位、流量では黒潮に匹敵し第3位か4位である。エルニーニョ現象が現れると、潜流は弱まり、消失することもある。大西洋の赤道潜流は19世紀末にすでに観測されていた。インド洋の赤道潜流は北東季節風が吹く冬に現れる。
[高野健三]
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…赤道では表層に西向きの南赤道海流が流れていることは昔からよく知られていたが,1950年代に東太平洋で東向きの潜流が発見された。発見者クロムウェルT.Cromwellの名前を記念してクロムウェル海流とも呼ばれる。その後,大西洋やインド洋でも赤道潜流の存在が確認された。…
※「クロムウェル海流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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